スポーツ中継と政治的背景

昨日の自分のエントリーでは、中途半端であるのと、コメントを頂いてから考えたこともあるので少しまとめたいと思います。


国歌の時のブーイングに対する放送の対応についての私のエントリーです。

まず、事実をありのままに伝え、その上でその問題について真摯に向き合い、深く考えるチャンスとする。ブーイングがあったことに触れないよりは、触れてその原因について思いをめぐらせる方が両国間の歴史や現在、未来を考えた上でよっぽど有意義だと思うのですが。

昨夜のNHK−BSの中継は日本の国歌の時のブーイングに対して、曲の途中で現地音声というかスタジアムの現場音声を明らかに絞ってブーイングを目立たなくしていました。微妙な問題に触れないことが報道なのですかね。


id:taideomouhibi さんから頂いたコメントの一部です。(いいよね、使わせてもらっても)

スポーツ中継内でブーイングに“あえて”触れる必要はないと思われます。基本的に選手や試合にはno businessなのですから。


それに対する私のコメントです。

中国問題は確かにサッカーの中で話すことではないかもしれませんが、サッカー好きの一部の日本人だけですが、中国に関心が向いている時に、複雑な歴史に興味を持ついい機会なのに……と思いまして。それが問題かどうかということより、中国に対する日本人の姿勢が無知や無関心な方が、怖く恥ずべきことのように感じました。私事で恐縮ですが、幼少の頃は欧州の国の位置関係や歴史にはさっぱり興味がなく、学校の勉強でも覚えられませんでしたが、サッカーに興味を持ち、あちらのサッカーを知るにつれ、歴史や背景がすうっと自分の頭に染み込んできた経験があったので、このアジアカップを機に、日本人が中国について理解が深まればいいと思っています。まあ、甘い考えかもしれません(笑)。


話が、中国、日本、国歌、国の代表という単語がたくさん出ているとより複雑で微妙な問題になってしまうので、違う例えで説明してみたいと思います。


スペインリーグのサッカーの試合の中継の中で、バスク地方のクラブとマドリードのクラブがバスクホームで戦っているときに、ホームのサポーターから大ブーイングが起こったと仮定してください。

  1. ブーイングについて一切触れない
  2. 大ブーイングです。まさしくアウェイの環境です、という伝え方
  3. この大ブーイングの中にはバスク問題を背景とした気持ちが入っているのかもしれませんね、とコメントする

放送者の姿勢としてはどの対応でもありだと思うのですが、視聴者がよりスペインやそのクラブの背景を理解する一助となるように、キーワードである『バスク問題』という言葉に1回くらい触れてもいいのではないかなと思うのです。もちろん、純粋にサッカーの試合についてはまったく関係ないことなので、触れる必要は無いという意見も理解します。ただ、サッカーが様々な問題を解決する手段になるなどとは思いませんが、サッカーを通じて自分の日常以外のいろいろな問題に興味を持つきっかけになれば、よりいっそう素晴らしいものになるんじゃないかな、と思ったもので。


放送者の意図として、臭いものにはフタをしろ、という気持ちはなかったかもしれませんが、サッカー中継の中で少しだけきっかけを作ることができれば、興味を持つ人も増え、より理解が深まるのではないかと。それが正しい、間違っている、とか、将来はこうあるべきだ、という議論は朝まで生テレビにまかせるとして。