カザフスタンはUEFA移籍で何を得たか 大住良之さん

AFCかUEFAかということは昨年のアジアカップの時も少し考えましたが、こうやって現実に実行している国もあるのですよね。地理的な要因が違うとはいえ、少し羨ましい。

アジアでも勝てない状況は、カザフスタンの選手やファンらに不満を募らせた。世界の舞台に出られないだけでなく、ヨーロッパのサッカーから離れていく一方で、選手たちは見てもらうチャンスがないと感じていた。

 2000年の協会総会で、UEFAへの「移籍」が大きな議題となった。投票の結果、「移籍支持」がなんと98%もの割合を占める。カザフスタン協会はさっそくUEFAとの接触を始めた。

ヨーロッパのサッカーから離れていく感覚というのは凄く分かる気がします。日本としては欧州の監督を招いていればヨーロッパの風を身近に感じることもできますが、この2〜3年南米の監督に任せているおかげでヨーロッパから日に日に遠くなっていくあきらめ感というものを感じています。


アジアの中で勝つことは大事なことですが、アジアの中で勝つだけでいいのか、日本代表の進化の答えはアジアとの戦いの中で見つかるのでしょうか。私はそうは思わない。ヨーロッパの風の中に日本が強くなるヒントが落ちていると思っています。

「UEFAの基準に合わせて、各地のスタジアムが改修され、スタンダードが急上昇した。選手たちはヨーロッパの舞台でアピールするチャンスを得て張り切っている。ファンも大喜びで、観客も増えた。各クラブの外国人選手枠も従来の5人からUEFA基準の7人に広がった。アジアでプレーしていた時も韓国のスピードや日本の戦術・技術など学ぶ面は多かったが、ヨーロッパのスカウトが見にくることはなかった。それだけではない。UEFAが主催するコーチや審判、クラブ運営役員の養成コースに参加することで、サッカーのあらゆる面で人材が育ってきている。UEFAへの加盟は、カザフスタンのサッカーにとって、まさに『ルネッサンス』だった」。