テヘラン到着

夜が明けると飛行機はチベット高原を抜け、イランに近づいていた。飛行機の窓から見えるイランの大地は赤茶けた地面と遠くに広がる雪をいただいた山脈だけだ。テヘランの街から雪山が見えるというのは文章で読んではいたけれど、自分の目で雪山を見るとイランという言葉の響きと結びつかない。どうも乾燥した荒野をイメージしてしまう。


空港に到着したのが9時45分、飛行機が止まると機内の女性たちが一斉に頭にスカーフを巻き始めるのが不思議な風景だ。さっきまでは華やかな機内だったのに、一瞬にして黒い色が多くなる。入国審査が混雑していて終えたのが10時30分を過ぎていた。たぶんテヘランの空港を開港して以来一度に大量の日本人が来国した記録になるのかもしれないね。
空港を一歩出ると、少し肌寒い空気、抜けるような青空、排気ガスの臭い、そして思ったより近くに雪山が見える。こんなに山脈が近い街だったんだ。現地の人々も日本人の団体に興味津々という感じだ。


移動のバスは良く走っているなと思うくらいの古いバス。シートに座ると床に足が着かない。これはイラン人サイズなのか。街行く車もみんな古いけれど、時々新しい車も走っている。それにしても交通ルールなどないに等しい大通りだ。人も車も車道を進んでいる。ちょうど正月休みなので、これでも交通量は少ないとのことだが、走る車はクラクションを鳴らしっぱなしだ。譲り合いとかはないんだろうな。イランの秋葉原だというダウンタウンを通り抜けホテルへ向かう。
通りを走っているとタクシーや一般の車が寄ってきては手を振ったり、我々イランが勝つとアピールしてくる。わざわざ車を寄せてまでやらなくてもいいのに。でも、イランの人々はかなり日本人にフレンドリーだ。我々が勝つというアピールも殺伐としたものではなく、にこやかなものだった。イランが2点取って勝つという意見が多かったが。


0泊3日の弾丸ツアーだが、スタジアムに行く前にホテルで休憩できる時間があるツアーだった。でも、ホテルに着いたのが11時45分。食事を終えたのが12時30分。14時30分にはスタジアムに向けて出発だ。覚悟していたとはいえ、待ち時間、移動、待ち時間、移動の繰り返しだ。さすが弾丸ツアー。


ホテルでの昼食はイラン料理のバイキングスタイル、サラダコーナーとメインディッシュ、スープ、ドリンクだった。サラダは日本人の味覚にも合うものばかりだったが、どリンクが大変だったらしい。自分では頼まなかったが、ヨーグルトドリンクのボトルを頼んだ他の人たちは一様に、「まずい」とか「歯磨き粉みたい」とかほとんど一口だけで残していた。選ばなくてラッキーだったような、残念なような。
部屋で2時間ほど休んだら、スタジアムへ出発だ。