羽田空港より

22時に羽田空港国内線出発ロビーに集合。通常営業を終えたターミナルに青い服を着た異様な集団ともの凄い数の報道陣nおテレビカメラ、普段見る空港ロビーの景色と違って異常な空間だ。目立つ格好をした人は何回もインタビューを受けているが、質問も答えも予定調和に思えてしまう。何が聞きたくて、何を答えたいのだろう、『勝って欲しい』それ以外答えられないじゃないか。


列に並んで受付を済ませると弁当と青いスカーフ、青いタオルを渡される。出発が深夜だから機内食の代わりらしい。さっき夕食を食べたばかりだよ。食べられないけど持ち運べないので無理して食べる。空港ロビーはツアー関係の人でいっぱいで、床に直接座って食べる。普段のロビーでは考えられない風景だろうな。


23時30分、結団式と諸注意ということで旅行会社の代表からイラン滞在時の注意事項の説明を全員で受ける。滞在といっても16時間しかいないのに。
その後アウェイ観戦の注意事項として植田さんから過去のアウェイ戦の話。代表戦とは言ってもJリーグのしがらみも背負ってるので拍手はできないな。


24時から国際線ターミナルへの移動開始。今夜のチャーター便は2機飛ぶが、深夜2時の便乗客からバスに乗り込む。自分は深夜3時の便なので、まだ国内線のロビーに座り込んでいるだけだ。ようやく深夜1時過ぎ国際線のロビーへ移動、着いたら手荷物検査も混雑だ。みんな荷物を機内持込なので、結構時間がかかる。手荷物検査が2箇所しかないのも理由だと思うけど。
手荷物検査を終え、とうとう出国。0泊3日(実質0泊2日)なので海外へ行くという実感がわかないが出国審査を終えると小さな免税店もある。羽田空港国際線ターミナルなんて使うこともそうはないからね。でも、またここからが長かった。深夜3時のフライトまで1時間以上国際線ターミナルのロビーで椅子に座り込んでテレビを見る。五重塔はなぜ地震に強いか、とてもためになった。


深夜3時6分、いよいよフライト。これから決戦だという思いよりもようやく落着いたという思いが強い。羽田に来て5時間近く経過しているからね。機内の映像でジーコジャパンの1時予選のホームの試合のダイジェストとドイツ戦、カザフ戦、シリア戦、そして最終予選北朝鮮戦のダイジェストを見る。短いようでも長い道のりだ。すべてのゴールが思い出深い。考えてみると現地に行かなかったのは、ホームの試合では横浜のカザフ戦だけだ。それ以外はほとんどさいたまスタジアムでやっているというのもあるけれど。
映像の最後にイラン戦、バーレーン戦のメンバー発表時の監督会見がかなり長い時間流された。疲れていたので音声は聞かなかったけれど、監督の表情はプレッシャーというよりも疲れている人のそれに見えた。時々、頬が引きつるのが気になったけれど、それがプレッシャーの表れなのかな。


飛行機は名古屋を超え鳥取あたりから朝鮮半島を縦断した。竹島が眼下にあるのかなとか思いつつ機外をみていると韓国の街の灯が見えた。韓国の街灯はオレンジ色なんだね。特にソウルの灯りは、まるで巨大な蜘蛛の巣がオレンジ色に光輝いているようで凄かった。
ルート図を見ると、その後北朝鮮上空の海沿いになるはずだけど、韓国と比べるとほとんど町の灯りがなく、漆黒の闇に包まれているその姿は不気味でもあるが、そこに暮らす人々のことを考えると複雑でもある。上空から見れば一つの半島なのに、38度線を境にまったく違う表情だ。時々海を見ているのかと不安に思ったが、海岸線にはごくわずかな灯りが点り、そこが地上であることを教えてくれた。
中国上空に着いたときに再び輝きだした街の灯りがとても印象的で、韓国、中国の明るさとその間に挟まれた国の暗さがとても対照的だった。