日本 - UAE

国立競技場に行ってきました。
日本、負けましたね。負けた原因は個人的には分かっているので、あわてません。原因は試合会場が埼玉スタジアムではなかったことですから。えっ、この文章は読んだことがあるって? でも、冗談抜きにそんな気がしてきました。


先日の新潟でのペルー戦は内容もグダグダで負けるべくして負けた試合だと思いますが、今日のUAE戦の日本代表は小野選手と大黒選手の加入によって、攻撃のダイナミズムも随分感じるようになりましたし、ボールも素早く動く。特にサイドチェンジですが、いつもならDFラインを3〜4本のパスを消費してサイドが変わるのですが、今日は小野選手の強くて早いパス1本でサイドが変わり局面を打開したり、また大黒選手もボランチにボールが納まりかけた瞬間に既に前線でDFの裏を取るような動き出しを見せ、それに対し小野選手からDFの裏を狙った大きなパスがすかさず出るので、先日の新潟での試合のようにパスはつながるけれど横パスやバックパスばかりというもどかしい試合ではありませんでした。それでも、負けましたね。


でも結局のところ、昨年のワールドカップ一次予選のホームでのオマーン戦やアウェイのシンガポール戦、今年の最終予選の北朝鮮戦やバーレーン戦。どの試合も結果としては勝ちましたが、内容的には日本が押していたとはいえ、どちらに転んでもおかしくない試合ばかりでした。しかしその4試合をすべて勝利という結果で乗り切ってきました。さしたる理由もなく。
今回のキリンカップの2試合は内容としてはこれらの試合とたいした違いはなく、ただ今までは日本に運がありましたが、こんどは相手チームに運があったというだけなのではないかと思えるのです。


チームとしての戦い方は出場する選手任せ、出場する選手の顔ぶれが変わったら、戦い方もまったく変わる。多少の実力差があったとしても、圧倒的な力の違いを見せ付けられる方法は持たない。得点を取れるのは、個人のひらめきとゴール前のアクシデントだけ。
だって、3月30日のバーレーン戦だって、相手のオウンゴールだけで日本人選手は無得点ですからね。その直前のイラン戦も1得点、北朝鮮戦もフリーキックとロスタイムの大黒選手の得点。こう考えると、ここにきて急に戦い方や内容が悪くなったわけではなくて、同じような戦いをしているけれど、コインの表が出たか裏が出たかの違いだけのように感じます。


個々の選手でいえば、大黒選手と小野選手はやはり相性がいいように思いましたし、小野選手のテクニックは別世界でした。ためるところ、ボールをダイレクトではたいて攻撃に加速をつけるところ、自分が前に進出してチャンスメイクをするところ、中に切り込んでシュートをするところ。終盤は少し守備をさぼっているように見えましたが、それでも別格と感じました。
右サイドに戻ってきた加地選手も縦への突破から惜しいクロスを放っていましたし、特に前半の攻撃はほとんど右サイドばかりだったのではないかと思うほどでした。ただ、ボールが加地選手に納まった瞬間に大黒選手が前線で相手DFと駆け引きをして裏を取っているのに、加地選手には見えていないのか見ていてもパスの自信がないからかは分かりませんが、DFの裏を狙うような長いパスが出なかったのは残念でした。2001年のコンフェデでの中田浩二選手から鈴木選手に出たような、ピッチを斜めに横切る長いパスが出ると、攻撃にもっとメリハリがつくのにと思います。


失点の場面はペルー戦もUAE戦も同じ選手が相手のFWに振り切られているようにも感じますが、問題はDFラインまで相手の攻撃がスピードに乗ってきてしまうことだと思うので、誰か1人の責任で失点しているわけではないでしょう。
今日のUAEの攻撃は、FWにボールを当てて、こぼれを後ろの選手が狙うという形がはっきりしていましたが、こぼれるエリアに日本の選手がいないことが良くありました。これはチームとしてどうするかを考えないといけませんよね。DFがセイフティに下がりながら対応した時のバイタルエリアの守り方、ここに不安を覚えました。同じことを選手も感じているようなので、バーレーン戦までに何とかしてくれるのでしょう。


これで予選のヤマであるアウェイのバーレーン戦直前のテストマッチ2試合を2連敗で終えたわけですが、この監督ではこんな戦いにしかならないということは昨年から分かっていたことなので、今さら驚きません。ですが、協会会長やサッカー殿堂入りのため国立競技場を訪れていた日本サッカーの恩人であるクラマーさんなどの正直な感想を聞いてみたいです。特に会長に監督選びで後悔をしていないかどうか聞いてみたいですね。あなたの考えのないアイデアで、ここまで日本代表が迷走している感想を率直に聞いてみたい。