ロスト・イン・トランスレーション

日本を比較的正しく理解している外国人監督の目で日本を撮影すると、この『ロスト・イン・トランスレーション』のように映るのですね、我々の国は。
もともとビル・マーレイが好きだということはありますが、それを差し引いても以前から気になっていた映画でした。純愛というより、ほのかな恋のようなストーリーって、結構好きなのです。古くは『ローマの休日』とか(古すぎる)。
立場の違う2人が、運命のいたずらで出会って、恋に落ちる。それが叶わぬ恋ならなおさらです。
『ノッテイングヒルの恋人』(原題の『ノッティングヒル』の方が、邦題より百倍いいと思うけど)のようにハッピーエンドよりも、切なく別れる結末にキュッときてしまう。
はっぴいえんど”といえば、サントラの「風をあつめて」もこの映画の日常の中の非日常感にとってもあっていて、この映画のための曲ではないかと思えます。映画のラストシーンではそんなにやられなかったのですが、この曲がかかったらグッとやられてしまいました。


いくつかの場面で気になる部分もあるけれど、それ以上に異国の中で孤独感を味わっている主人公2人の心情に惹きつけられてしまいます。主人公が映画の中で感じた異国の日本に滞在する孤独は、主役を演じる2人の俳優さんも実際の撮影で味わった孤独なはずで、そしてたぶん監督のソフィア・コッポラも昔々どこかの異国で味わった孤独なのだろうなと感じてしまいます。
ここで言う孤独感は砂漠の真ん中や大海原で味わう絶対的な孤独感ではなくて、周囲に人はたくさんいるのに理解されない理解できない孤独感=疎外感のような孤独感ですね。それは日常生活の中で外国でなくても、学校でも職場でも、時に家族の中でも感じるかもしれない誰でも感じる可能性のある気持ちかもしれません。そんな時に理解しあえる相手に出会ったら…


最後に、ボブはシャーロットに何と囁いたのだろう。