浦和 - バルセロナ

helguera2005-06-15

埼玉スタジアムに行ってきました。今日の埼玉地方は1日中雨模様でしたが、スタジアムには57,000人を超える人々が集まっていました。ところが、さすがにいつもの浦和の試合とは雰囲気が微妙に違って、四六時中歌声が聞こえている状態ではなくプレーを見守るような雰囲気で、ピッチ上の良いプレーには拍手と歓声が、悪いプレーにはため息と舌打ちが聞こえるような、そんな良い感じでした。
サポーターの歌声も試合を構成する大事な要素ですが、試合内容に関係なく試合中ずっと聞こえているよりは、今日のように要所要所で歌われていると試合内容とシンクロしてとてもよい感じです。


試合については、バルセロナのプレーには良い意味で随所にため息が出てしまうようなプレーでした。とにかくボールが良く動く。横や後ろに無意味に下げるのではなく、例え後ろにボールが下がったとしても常に次の前に進むためのパスの準備のような、無駄なパスが一切無いような感じを受けました。とにかくボールがノッキングをすることなく、常にスッスッとピッチ上を滑るように滑らかに動いていくのです。ただそれはボールだけが動いているのではなくて、人も常に前に前に動いていくのですよね。
誰かが横にパスを出したとしたら、その出し手はすぐに走り出して位置を前に修正し、リターンパスは受け手より前に出ている位置で受けるので、いつの間にかボールは前に進んでいる。また、横パスが出ている間に3人目の選手が前のスペースへ走りこむので、ダイレクトでそこにパスが出る。やはりいつの間にかボールは前に進んでいるのですよね。


また、パスを受ける時の受け方も日本のチームとは一味違うのですよね。ダイレクトでボールが動くことも非常に多いのですが、トラップするにしても足元に止めるのではなくて、相手から一番遠いところに運んだり、寄せてくるDFの逆を取った方向に動かしたり。
パスの出し手も出す前にひとつフェイクの動きを入れてから出しますよね。それが足首だけの小さなものから、サイドに出すパスでも、ドリブルの方向を少しだけ中に進めてから外に出す。シンプルなことなのですが、出し手が皆そのように50cmから1mのフェイクを入れてからパスを出すので、受け手の使える時間とスペースが少しずつ広くなっていくのですよね。その繰り返しが最後には相手の守備を崩し大きなスペースを生んでいるように思えました。
それが中盤で起これば良い展開になるし、同じことが相手のゴール前で起これば決定的なチャンスになる感じです。


大好きなシャビの1点目も外に出す前に足首でフェイクを入れてから外に出し、自分は前に走りこんで折り返しのクロスを走りこんで決めた得点ですし、バルセロナの2点目もデコがボールはその場に残して自分の体を使ったフェイントを入れてから外に出して、折り返しのクロスをラーションがフリーで決めました。
偶然の得点ではなくて、完全に意図して相手の守備を崩しきった得点場面なので、見ていて素直に拍手したくなるような得点でした。


一方の浦和は前半はバルセロナの早いボールの動きについていけず、まったく良い所がないように感じましたが、後半はボールの動きに慣れたせいか、かなりチャンスの場面も作りました。が、『何で日本人のシュートは上にいくんだ』ということをつくずく考えさせるような上に外すシュートのオンパレードでしたね。
バルセロナの外したシュートがグラウンダーでゴールマウスの左右に外れていくのとは非常に対照的でした。いくつか決定的なチャンスもあったのですがバーに嫌われたりして最後まで得点できなかったのは残念でした。


かなり長時間降った雨の影響が両チームのパスに影響してしまうのではないかと試合前には心配したのですが、さすがに足元の技術のしっかりした選手ばかりなのでまったくそんな心配は杞憂に終わり、凄いプレーの連続で非常に楽しめました。凄いといってもスーパーなビッグプレーがひとつされるのではなくて、上手い選手が地味なプレーを手を抜かずに繰り返しつなげていく、その意識の徹底が日本基準で考えるととても凄いのです。アクロバティックなプレーを見せられるよりも、基本に忠実なプレーをスーパースターが手を抜かずやる凄み、そんなものを強く感じた試合でした。