ツール・ド・フランス 第16ステージ

今年のツールでの最後の本格的な山岳コースでもあり、ランスにとっての最後の山岳コースでもあり。そんな第16ステージでしたが、第15ステージと同様、総合優勝争いではディスカバリーに対し、TモバイルやCSCが揺さぶりを掛けてランスのアスシトを落としランスを裸にしますが、結局その時にはTモバイルやCSCのアシストも消えていくので、結局のところランスとウルリッヒバッソの個人としての走力の対決になってしまいます。そうなるとすでに2人に対し総合タイムで上回っているランスが自ら勝負を仕掛ける必要はなく、ではウルリッヒバッソが仕掛けられるかと言えば、今の総合順位を失うリスクを賭けてまでは勝負に出られないし、出たとしてもランスを振り切るような決定的な差をつけることはできないのでしょう。


実況や解説は『ランスの最後の年だからこそ、ウルリッヒバッソには勝負に出て欲しい』と言いますが、それは失うものが何もない人の無責任な言葉にしか聞こえません。彼ら2人の心理を勝手に想像すると、『ランスに勝てるものなら勝ちたいけれど、本人が来年出ないと言っているのだから、来年勝てばいいや。今年は総合で表彰台には上がっておいて、スポンサーの顔を立てておこう。』、なんて考えてるかもしれませんよね。
超級の山岳の頂上を越えて、ランスが裸になっている瞬間に更なるアタックを掛けることも可能だとは思いますが、この日のステージだけを考えれば捨て身のアタックも有り得ますが、パリでの表彰台を考えたら攻めるよりは守る気持ちになるのもしょうがないとすら思えます。


そんなかなり決った感のある総合優勝争いとは違って、今日もステージ優勝争いは白熱しました。ただ、ステージ優勝が4人に絞られた段階で、今日の優勝はペレイロで決まりだなぁ、などと思ってましたけど。総合順位を考えているエヴァンスは別として、逃げたサンディオもマッゾレーニも第15ステージの結末は当然知っているでしょうし、心のどこかで『勝てないよな』とか思ったことでしょう。そんなことを思ってなかったとしても、ペレイロの勝ちたい気持ちのほうが上回っていたかもしれないけれど。