7年前、日本代表が戦った街トゥールーズ 横尾愛さん

本当のタイトルは『ル・マン松井、台風の目の中で』(横尾愛の「ようこそフランス・リーグへ!」)なのですが、コラム冒頭の記述で、私も7年前のあの日が鮮烈に蘇ってきてしまいました。

確かにあれから7年経っているけれど、『プラチナ』ではなく「消えうせた」という意味で『ゴースト・チケット』と呼ばれた対アルゼンチン戦のチケットを探して歩き回った街並みを、チケットをあきらめて絶望しながら歩いたスタジアムへの川沿いの道を、そして幸運にも最後の最後で入場を果たし、日本代表の戦いを目の前で見たあのスタジアムを、忘れられるはずがなかった。

夜行列車で早朝の駅に到着して、ホームにいた機関銃を持った警備に驚き、当てもなく一日中町を歩いて、最後の最後でチケットが手に入って、急ぎ足で歩いたスタジアムへの川沿いの道。
厳重な警備を通り抜けてスタンドに足を踏み入れると、ピッチ上ではすでに日本代表選手がアップをしていて、自分の席を見つけてから改めて湧いてきた実感。『ここにいるんだ』という気持ち。
スタジアムのコンコースから客席に入る階段を上って、ピッチが目に飛び込んできた時の”まぶしさ”を強烈に思い出しました。


いかん、感傷に浸ってる場合じゃない。もう来年はドイツ大会だ。でも、この試合のこの日のチケット騒動を潜り抜けてきたからこそ、現在の自分がある、そんな経験をした日だったと思っています。