ウクライナ戦後 ジーコ監督会見 スポナビ

気持ちはとても良く分かるのですが、監督が、それも一国代表監督がそこまで言ってしまうのもどうかと思います。でも、繰り返しになりますが、気持ちは良く分かるのですよ。

自分からは(今日の試合について)何もコメントすることはない。今ここにレフェリーを呼んで、彼からどういう基準で試合を進めたのか聞いてほしい。

――今日のウクライナのメンバーでびっくりした選手はいますか?

 びっくりしたのは、レフェリーだ。
(中略)
繰り返しになるが、本当に自分たちが一生懸命に練習をして、調整をして、試合に真剣に取り組む。そうやって、いい形で日本に帰ろうとしているのにもかかわらず、あの黒い服を着た人たちが、初めから結果が分かっているということを想定しながら試合に入る。それがまずいと分かっていながら、だんだん悪い方へ悪い方へと試合が傾いていって、最後はこういう形で負けてしまう。本当に疲れてしまった。

確かにあの主審は、最初のほうはフィジカルコンタクトをほとんど取らなかったのに、途中から取り始めたのですよね。だから、試合開始の基準で言えば、中田浩二選手のプレーもイエローレベルだったようには感じます。
ただ、そのような試合の流れを無視して、あのタックルだけを切り取ったVTRを見るとレッドもやむを得ないプレーでした。ただ、稲本選手に対するイエローもかなり基準が軽く感じたし、その後のプレーで「2枚目を出すぞ」とでも言うかのように胸に手を当てて稲本選手を注意していた場面もあったので、ウクライナ選手のプレーと日本選手のプレーで、ファウルを取る基準が違うんじゃないの、という疑問は感じていました。


でも、そこまで言っちゃうのはまずいですよね。試合後に主審に文句を言いに行っていて、かえって生放送でインタビューが全世界に向けて発信(オーバーかな)されないことが良かったかも、です。

 で、(中田)浩二があそこで退場になったが、その前の相手の高原へのファウルについては、カードどころか笛も鳴らなかった。絶対におかしい。あまりにも露骨すぎる。あんなのは犯罪だよ。警察に連れて行かれてもおかしくないと思う。


――試合後、主審にはどんなことを言いたいですか

 恥を知れ、ということだ。最悪なのは、自分の抗議に対して何ら反応していなかったことだ。何か言いたいことがあったら、何かしらの反応があったはずだ。こちらもあれほど激しく抗議したのだから。でも、そこで何も言わないというのは、きっとやましいことがあったからだ。


――今日の試合では、時間がたつにつれて相手の強さやスピードに対応していたが、どのような指示をしていたのですか

 ピッチ状態が悪い中、それでもボールをつないで次第にうちが盛り返してきた。そうなると、レフェリーが「これはまずい」ということで笛を吹き始める。


主審に対する不満は充分分かるのですが、それでもそこまで言わないで課題は課題として反省して次に生かさないと、結果だけでなく内容も台無しになってしまいますよ。

――それでも選手はよくやったと?

 それだからこそ悔しい。だが、選手たちにはこう言った。「もうこの試合は忘れよう。なかったことにしよう」と。

前半30分位までの、相手に体力があって押し込まれっぱなしのような時間帯には、どのような点を注意して守ろうとか、中田選手も言っていましたが相手の攻撃に力があるときに、では日本は少ない人数と手数でどのように鋭い攻撃をしようとか、この試合からでも課題はたくさん見え隠れする。1人退場になったときの戦い方のイメージの共有など、それはそれでいい経験をしたと思うのですけどね。


それにしても意外だったのが、松井選手は右で使っていたのですね。確かに、右に顔を出すことが多いなとは感じていたのですが、明確な指示があったのですね。

――1人少なくなってからPKで失点するまで、どのようなことを考えて選手交代をしていたのですか

 非常にスリッピーな状態で1人少ない中、ガスが満タンの選手を状況で起用していく、ということしか考えていなかった。中盤では中田英が前の方、稲本が少し後ろで松井が右。その3枚で押し上げていく。1枚少ない状況ではそれしかできなかった。

あの試合の中で、現在の日本の状況だと中村選手を下げてセットプレーの武器を失った瞬間に勝ちはないだろうと覚悟しました。最後は残念なPKで負けてしまいましたが、あの試合を引分に持ち込むことができれば充分です。


あとはもう、疑わしいことはエリア内ではしないことを気をつけるしかないですよね。欧州のDFなどはエリア内で相手と1対1の状況になった時など、手を後ろで組んで対応していることもあります。自分のボディバランスや動きやすさを考えたら手を広げてバランスを取ったほうがいいと思うのですが、あえて不利になっても疑わしいことはしない。
あの競り合いの場面でも箕輪選手はいつものJリーグのレフリーの基準で相手選手の肩に手をかけたのでしょうが、あれを吹く主審もいるということです。Jリーグ基準ではあれはファウルではないかもしれないけれど、相手(主審)に笛を吹かせる隙を与えてしまったことは事実です。それを教訓として残さないと、またいつか同じことをしてしまうかもしれません。結果や判定は不本意ですが、いい経験をしたと思っています。