日本 - アンゴラ

helguera2005-11-17

国立競技場に行ってきました。
いや、寒かったっす。地球の温暖化で日本が年々暖かくなっているとはいえ、11月16日の夜は、中々寒いです。試合開始前の松浦亜弥さんの国歌斉唱で、さらに自分の心が冷えていくのがわかりました。もう、国内で行われる親善試合に真剣さは求めてはいけないのですね。協会にとってはイベントというか集金マシーンにしか見えていないのでしょうか。本番を半年後に控えた今年最後の強化試合。そして海外組と国内組が同じピッチで戦える機会は残り少ない。そんな大切な位置付けの試合だと思っていたのですが、協会の国歌の人選には正気を疑ってしまいます。


個人的には気を取り直しての試合開始でしたが、前半の日本は面白いようにボールをまわし、攻撃の起点となる中田選手からの長短織り交ぜた何本ものパスや、左サイドの三都主選手のピンポイントのクロスなどから何度も惜しいチャンスを作りますが、肝心なゴール内にボールを入れることができません。高原選手はクロスバーに当てる練習かと思うくらい見事に当てるし、柳沢選手は左右に流れて中盤からボールを引き出すものの相変わらず自分でゴールを狙う意識は希薄でしたね。試合前の選手コメントで、「1本打って入らないなら100本打つしかない」と中田選手が言っていたようですが、前半の日本はまさにそんな攻撃でした。いくら攻めていても1試合のシュート数は30本がいいところでしょうから、このままでは3試合でようやく得点が入るのだろうか、そんなことを考えてしまった前半でした。


しかし、前半の三都主選手は攻撃に効いていましたね。リーグ戦での得点の勢いをそのまま持ってきているかのような、吹っ切れた攻撃が印象的でした。前半は右サイドの駒野選手がバランスをとって自重していたのかもしれませんが、三都主選手のクロスがこれほど効果的な代表戦は久しぶりな感じがしました。
そして中田ヒデ選手。中盤の底で相手ボールを奪った後の、広い視野からの矢のようなロングパス。短い距離のパスは、足首の角度だけで相手選手の意表をつくようなコースへ素早くボールを動かす。もう1人の日本の中盤のエースである中村選手のボール扱いが”巧いなぁ”とするなら、中田選手のボールの動かし方は”上手いなぁ”という、見事なものでした。視野の広さと運動量の豊富さ、あとはシュートをもう少し打ってくれたら言うことはありません。前線にもうひとり中田選手がいればと思ってしまいます。


前半はいいところがなかったアンゴラですが、後半は切り替えてきましたね。前半のアンゴラの攻撃は、時おり日本のゴール前にボールを運んでくるものの、いかんせんゴール前に人が少なく、スーパーミドルシュートでも決らない限り失点はしないな、そんな印象でした。しかし後半は立ち上がりから攻撃に人数をかけてきて、日本のゴール前を本格的に脅かし始めました。これはハーフタイムに監督に怒られたなと思っていたら、「後半は日本の弱点を突くように指示をした。サイドを崩して、クロスを入れるということ。」だったようで、サイドで崩されて中で合わせられる場面が何度かありましたが、アンゴラのシュートの精度の低さに救われました。


後半は得点の気配が感じられなくなってしまった日本でしたが、後半20分過ぎから松井選手を投入して4バックにして攻める姿勢を見せ、さらに30分過ぎからは大黒選手、阿部選手とフレッシュな選手を投入してさらに攻撃をたたみかけます。ですがこのままスコアレスドローかと思い始めた後半45分にようやく松井選手のヘディングで得点し、1−0で勝利しました。


うーん、正直この勝利はどうなのでしょうね。日本が勝ったことは嬉しいのですが、「本当にこのチームが本大会に出るのか、よく予選を勝ち抜いたね」と思ってしまうような対戦相手に対し、あの時間帯まで得点できずスコアレスドローの雰囲気が濃厚な試合運び。前半にいくつも惜しいチャンスは作っていたものの、決められない攻撃陣。勝利という結果に浮かれて課題がかすんでしまうのではないかと心配してしまいます。
中田選手の「みんな何をしていいのか、役割分担ができていなかった」というコメントは重いですね。戦術による規制は少ないがゆえ、選手間の意図が共通していないとチームは簡単にバラバラに動いてしまう、そんな危険性を感じてしまいます。


欧州遠征では2試合とも不完全燃焼のような感じだったので、2005年を勝利して終わったことは喜ぶべきことかもしれませんが、3年2ヶ月経過しているチームにはとてもじゃないが見えない、そんな感想です。