ゴール裏の情景

私たちは「歴史の証言者」となれたのか?(1/2) スポナビ 宇都宮徹壱さん
私たちは「歴史の証言者」となれたのか?(2/2)
( 2/2より、一部引用 )

それにしても、今日の試合を国立競技場で観戦していた私たちは、本当に「歴史の証言者」として、現場にいなかったファンに対して胸を張ることができるのであろうか――。最後に、その点について幾ばくかの考察をしておくことにしたい。
 というのも、この試合のスタンドの雰囲気というものが、非常に劣悪なものに私には感じられてならなかったからだ。少なくとも、メーンスタンドの記者席にいた私の周囲は、残念ながらマナーを欠いた観客が非常に多かったと言わざるを得ない。

マナーの悪さの内容はぜひリンク先を読んでいただきたいのですが、少なくとも私がいたゴール裏の12入り口周辺では、観戦マナーを欠いた人は見当たらず、皆試合を楽しもうとしている人が多かったように思います。
もちろん空席も多かったし、あまりの寒さに座席から暖かいコンコースに逃げ出す人もいましたが、座席に残っている根性ある人たちは、ピッチで繰り広げられる試合に対して、内容に対する文句は言うものの試合を楽しんでいました。内容に対する文句は、例えばアルアハリは何十戦も無敗のチームには思えないとか、そこでバックパスしないで前に運べとか、ボールを奪われると「下手くそ」とか(笑)。


確かに見ている人々が惹き込まれるような魅力的な試合とは言いがたい試合でしたが、親子連れも、恋人同士も、友人グループも、女の子2人組も、男の子の兄弟2人組も、もちろん私も寒い中、結構試合を楽しんでいました。まあ、内容に文句がないと言えば嘘のなりますが、それでも写真でも分かるようにすぐ近くにアルアハリのサポーター数人がいたので、彼らのコールに合わせて手を叩いたり、「アレ、アレ」と言うような簡単なコールを口ずさんでみたりしながら、だんだんとアルアハリ贔屓で楽しんでいました。試合の低調さを彼ら数人のサポーターの存在に助けられた部分はあると思いますが、まあそれなりに私もまわりの人たちも楽しんでいるようでしたよ。
Jリーグのマイチームを応援するような熱狂はないし、有名チームが来日したときのようなフィーバーはないけど、試合内容分ぐらいは楽しんで観戦しているように思いました。


ただひとつ問題があるとすれば、この大会のチケット代が充分に試合内容を反映していないと思えることですね。今夜の豊田スタジアムでの試合や14日以降の試合で各クラブがどの程度の試合内容を見せてくれるか分かりませんが、昨年までのトヨタカップでも試合内容とチケット代のバランスが取れていなかったのに、今年はより以上格差が広がってしまっているのではないかと言う不安があります。どの程度タダ券が出回っているのかは分かりません。私もこの試合に関しては正規料金よりも安く譲っていただいてスタジアムに行きました。だから余計に試合内容に文句を言える立場ではないけれど、それでもスタジアムで生の試合が見られるなら、どんな試合でも”それなりに”楽しんで見ようとは思っています。昨夜に関しては、両チームのGKの反応が素晴らしかったと思っています。フィールドプレイヤーについては、ノーコメントですが。