アルアハリ - シドニーFC

helguera2005-12-17

国立競技場に行ってきました。
今日の試合を生観戦しに行ったことは後悔していないし、行ったからこそ分かったこともありますが、それでも今日の試合を見て、自分の中で何かが一線を越えてしまったように感じています。


今回の世界クラブ選手権のチケット代の価格設定には文句もあるし、これだけの過密日程を組むのには疑問もありました。試合数があるのにトヨタスタジアム以外はすべて首都圏開催というのも疑問でした。でも、いくつかの疑問があっても今回の大会に対して決して否定的ではなく、それなりに楽しもうと思っていたのです。
でも、今日の試合を実際にスタジアムで見て、『本当にこの5位決定戦は必要なのだろうか?』と、試合そのものの存在に対して否定的になってしまいました。今日の5位決定戦に対してさえ15,000人以上の観衆があつまりましたが、もしシドニーにカズの存在がなかったら、果たしてどれくらいの観衆が集まっていたのだろう。果たしてカズの存在がなかったら、観衆はこの試合の何処に興味を持てばいいのだろう。


試合自体は圧倒的にアルアハリ支配下に置かれ、アルアハリシドニーの実力差は、前日のリバプールとサプリサの実力差以上のものがあると感じました。試合の結果はシドニーの勝利でしたが、両クラブの繰り広げるサッカーには大人と子供以上の差があったように思います。たった2回のチャンスをモノにしたシドニーに対して、アルアハリには圧倒的な数のチャンスがありましたがモノにできませんでした。得点数は逆になりましたが、攻撃の比較よりも両クラブの守備力の比較により一層の実力差が出ているように感じました。


積極的なラインコントロールで相手の選手を明らかにオフサイドポジションに追いやる意図が感じられるアルアハリのDFラインに対し、シドニーのDFラインは漠然と押し上げているだけで、明確な意図は見られずに選手が少し後ろに残ったりしている。アルアハリの攻撃で何度もシドニーの右サイドを自由に使われても、一向に守備の修正はせずに同じところを何度も攻撃される。中盤のプレスも緩いし守備のチェックも軽く、アルアハリの選手にあっさりとタックルを交わされて置き去りにされてしまうシドニーの選手たち。
そしてマイボールになってもアルアハリの選手が詰めてくると局面の打開ができず、GKまでボールを下げるか、それとも相手にぶつけてしまう中盤のボールまわし。特にアルアハリの得点につながったシドニーの右サイドのパスミスは、世界クラブ選手権と銘打った世界大会では見せられたくないほど幼稚でひどいミスでした。シドニーの個々の選手が頑張っているのは充分伝わってくるものの、それでもお金を取って世界選手権と言えるレベルのものではないと感じました。


カズの頑張りやそれを後押しするスタジアムの雰囲気など、たくさん感じるものはありました。スタジアムで生観戦できて良かったと思っています。でも、もしこの5位決定戦にカズが出場していなかったら、シドニーにカズが移籍していなかったらと考えるとゾッとします。賞金の分配や、1回戦で負けてしまったチームが1試合しかできないなど、様々な理由があって5位決定戦を行っているのだと思いますが、本当に必要なのか強く考えてしまいました。カズの頑張りがあったからこそ、試合の意義そのものに余計疑問を感じてしまいました。


前半30分過ぎまで、アルアハリの攻勢の中で静まり返っているスタジアム。カズの動きに合わせ少しずつ盛り上がり、自然にわき上がるカズコール。試合終盤にはアウェイゴール裏から始まったコールがバックスタンドやホームゴール裏まで巻き込んで、スタジアムがひとつになった時は背中がゾクッときました。また89分にシドニーの選手交代でボードに”11”と出たときのスタジアム中から聞こえた『エエエエー!!』という声。スタジアムで歓声やブーイングは聞いたことがありますが、『エエーー!!』という声はめったに聞かない。そういう部分は楽しめたのです。


でも、”世界選手権”とか”大陸王者”と言う中でのオセアニア王者はどうなんだろう。もし今年昇格を決めた甲府シドニーが戦ったらどうなるのだろうとか、欧州からCLチャンピオンとUEFA杯のチャンピオンが出てきたほうが、世界王者にふさわしいのではないかと思ってしまうのです。
世界クラブ選手権とは何なのだろう…、単純だったトヨタカップと比べて、様々なことを考えてしまいます。

備忘録リンク
カズが暴いた「地球一」という矛盾 宇都宮徹壱さん スポナビ