トリノ五輪 女子フィギュア再び

テレビを点けたら、NHK-BSで女子フィギュアの再放送をやっていたので思わず見てしまいました。競技当日も見たので、この放送では選手の表情を中心に見ていました。誰が可愛いとか、綺麗だとか、そういう視点ではないですよ、念のため(笑)。
滑りだす前の表情、滑っている最中の表情、滑り終わったときの表情。特にこの総集編では有力選手のショートプログラムとフリーの演技を短時間で続けて見ることができたので、その表情の差が凄かった。ショートプログラムでのスルツカヤ選手とコーエン選手の表情の伸び伸びとしていること。一転してフリーの直前の固い表情。その中で荒川選手はショートプログラムもフリーの演技も、ほぼ同じような表情、自分のリズム、自分の間合いで滑っているように感じました。


そして勝敗の決るフリーの演技前のスルツカヤ選手の表情の固さがそのまま演技の固さに出てしまったのでしょうか。特に演技中盤で転倒した直後の笑顔が印象的でした。転んで立ち上がっているときに笑っているように見えたのです。そしてそれ以降のジャンプの何か突き抜けたような思い切りのよさ。それまでの演技はメダルへの思いや前回大会の悔しさ、これまでの人生など様々な重い荷物をその肩や背中に乗せて滑っているようでしたが、あの転倒によってそれまで守っていたもの、失いたくなかったものがすべて吹っ切れて、本来の滑りが出たように感じました。
運悪く演技中に転倒してしまった後に、その選手の本当の精神的強さ、人間力が出るような、怖い競技ですね。


また惜しくもメダルは逃してしまった村主選手ですが、滑り終わった直後の表情に余裕が無いですよね。演技を終えた直後はどの選手も一杯一杯だとは思うのですが、荒川選手やスルツカヤ選手の競技直後の余裕ある表情に比べると、やはり余裕が無いかなと。荒川選手などはもう1分滑れと言われたら滑れそうな余裕ですよね。体力の問題なのか、その他の要素が影響しているのか、選手の滑り終わった後の表情、満足とか不満とか自分への評価を越えた部分での表情の余裕の違いも興味深かったです。


表彰式と国歌演奏も見ましたが、やはり何かを成し遂げた後に国歌が流れるのはなんとも言えない感慨がありますね。良くサッカー日本代表の試合を見に行く身としては国歌は比較的聞いている方だと思うのですが、それでも競技終了後の表彰式で聞く国歌は格別です。歌詞などにいろいろと異論のある国歌ですが、やはりあの公式演奏(?)バージョンで聞く君が代ジーンと来るものがあります。日本サッカー協会も、もっと試合前の国歌を大事にしたほうが良いと思うのですけど。
話がそれましたが、荒川選手が表彰台の中心で、左にコーエン選手、右にスルツカヤ選手を従える絵は鳥肌モノでした。荒川選手は本当に凄いことを成し遂げたのですね。最後に、この写真のコーエン選手の視線の先が、心情を物語っています。金メダルを逃した悔しさと、全てが終わった安堵。エキシビションでのスルツカヤ選手の表情は最高でした。

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