日本 - ボスニア・ヘルツェゴビナ

アディダスのデザイナーは新ユニフォームの長袖のデザインで手を抜いたのでしょうか。それともまだ途中で、半袖に先を付けただけなのでしょうか。前半の45分間それが気になってしまって、アップになるたびに肘の部分ばかり注目してしまいました。それに日本テレビの放送スタッフ、アナウンサーの『ハーフウェイ辺りの芝の密集度が少なくなっています』というコメントの直後にジーコ監督の顔のアップを写すなんて、カメラを切り替えるタイミングが悪いですよ。それとも現地映像なのかな。
試合に関係ありませんでしたね、失礼。


前半が終了しましたが、ボスニア・ヘルツェゴビナが真剣に戦ってくれて中盤のプレスもそこそこ激しく来てくれているので良い練習になっていますね。少しでもボールコントロールをミスったり、判断が遅れてたりすると、あっという間にボールを2〜3人で絡め取られてしまう印象です。しかし中盤のプレスが厳しい分、ダイレクトで素早くボールを展開できれば相手の裏を取ることも出来る。引かれきってしまった相手を崩す練習よりは、今日の試合のような展開こそが本番のシュミレーションですよね。
また相手ボールになった時にも素早く攻撃を仕掛けてくれるので、ここ2試合あまり高い緊張感を保てなかったであろう日本の守備陣の良い練習になっているのではないでしょうか。まだシュートを打たないだろう距離でもチャンスがあれば打ってくるので、下がるだけの守備でもダメだし、プレスにいくと交わされそうだし、良い守備練習です。


そして前半終了間際の高原選手の得点ですが、マークしていたバルバレス選手を振り切っての見事なヘディングシュートでした。やったね。


後半開始からボスニア・ヘルツェゴビナが前半以上に勢いに乗ってきますね。前半終了間際の日本の得点がボスニア・ヘルツェゴビナの闘志に火をつけた感じでしょうか。前半以上にサイドをスピードに乗って突破することで、逆に日本の中央の宮本、中沢選手がサイドにつり出され中央が薄くなる。ボスニア・ヘルツェゴビナの1点目がPKになるようなプレーかどうかは微妙ですが、中央をスピードに乗って突破され、中沢選手が後ろから追いかける形になった段階で勝負ありでしたね。主審の判定が下される前から「PKだろう」と思っていましたし、形としてはシドニーアメリカ戦での酒井選手が取られたPKを思い出していました。


それからしばらくの間、この1点でさらに勢いに乗ったボスニア・ヘルツェゴビナの攻撃を止められない時間が続きましたね。日本の守備がどうこうよりも、日本の最終ラインでマイボールになってもDFから前にボールをつなげない時間帯があったのは反省点でしょうか。失点の場面で中盤の守備で相手の攻撃を遅くするフィルターが掛からないことも気になりましたが、それ以降の時間帯で日本のDFラインからボールを前に運べないことの方がショックでした。これを見ていた対戦国のスカウトは「前からプレスを掛ければ日本のDFはボールをつなげない」という確信を強めたのでしょうね。
そんな嫌な時間帯にセットプレーから2点目を奪われました。ファーサイドで数的同数を作られ、ゴール前で一番頼れるだろう中沢選手が振り切られたら日本に防ぐすべは残されていませんでした。形は違えども、中沢選手があのように振り切られる場面はアメリカ戦でも見たような気がします。川口選手がキャッチできれば良かったのですが、まあ失点する時はそんな時ですね。


日本はここで小野選手と稲本選手を投入しますが、一度失ったペースは取り戻せませんでした。放送では本大会でもこのような形はあるし、勝ち点1を取るシュミレーションと言っていましたが、見ている時に不思議と『ロスタイムで中村選手のフリーキックが決って同点に追いつくのかな…』などという根拠の無い予測を立てながら見ていましたが、まさか本当に後半ロスタイムに追いつくとは…。
右サイドで一瞬フリーになった中村選手のクロスから中央に詰めていた中田選手のヘディングシュート。決ったのは嬉しかったのですが、このようなゴールは本大会まで取っておいて欲しかった。それにしてもこの日の中田選手はクラブでのプレーとは違って輝いてましたね。前半は低い位置からはロングパスを左右のスペースに流れた選手にピタリと決めていたし、少し高めの位置からは縦に早いグラウンダーのスルーパスを通していたし。ボールを持たせて前を向かせれば働くのですけど、ボルトンの監督や他の選手は気がつかないのかな。それともボスニア・ヘルツェゴビナが修正してきた後半のようにスペースと時間を与えてもらえないからでしょうか。


その他の日本の選手ですが、高原選手は後半にも惜しいヘディングシュートがありましたね。中村選手の正確なFKがあるのなら高さでは勝てなくとも一瞬の抜け出すスピードで勝負できるかもしれない、そんな期待を抱きました。期待といえば久保選手ですが、ミドルシュートは迫力がありましたね。あのようなプレーを見ると、期待しちゃうのですよね。福西選手のチャンスも惜しかったです。GKがよく詰めてきたというところでしょうか。
一方、三都主選手の守備は相変わらずでしたね。直前のプレシーズンマッチでの出場を考慮しても、あれでは困ります。本大会でキレのあるサイドアタッカーに攻められたときに、イエローカードを2枚貰って退場する図が目に浮かびそうです。自分が対戦相手の監督だったら、日本の左サイドを攻めろという指示を出すでしょうねぇ。サイドで突破できればOKだし、突破できなくても中央の選手をおびき出して薄くなった左サイドと中央の間の隙間を2列目以降の選手に狙わせる、よなぁ。この形だと、中盤の中央で守備意識が高いMFは1人ですものね。


本大会の23人を発表する前の最後の海外組合流試合としての成果はどうだったのでしょう。目に見える形の2得点は良かったし、2失点は2失点とも修正すべき課題の見える失点だったので、これもこの試合をしたからこその課題でした。フィンランドやインドと日本で戦っても見えてこないものですし。アメリカ戦の失点ではシーズンに入りたての1試合目だから守備が崩されても気にする必要はないという考え方も成り立ちましたが、今日の2失点はそのような考え方は成り立ちません。もし、中盤の底を中田、稲本選手でいくのなら、日本の最終ラインと合わせられるのは直前合宿からの試合だけになってしまいます。この辺りを監督はどう考えているのでしょうか。あとは海外組との関係で言えば、中田浩二選手の左SBも試して欲しかったですね。左サイドの選択肢が少なすぎるのが気になります。
負けなかったことは良かったけれど、これでお気楽に「いける」という雰囲気がメディアに出て来たら嫌な感じです。この試合の結果は結果として、課題は課題としてきちんと見分けて欲しいですね。