ACL 東京ヴェルディ - 蔚山現代(KOR)

helguera2006-03-08

国立競技場に行ってきました。
まずは謝罪です。J2に降格したチームが馬鹿なフロントのためかスポンサーの意向か分かりませんが、ACLには参加すると言い張った結果がこの無様な敗戦だったことは日本の他のJクラブにお詫びをしなければいけない、そんな試合だったと思います。勝敗と言う結果は時の運が左右することもありますから、負けたことを申し訳なく思っているのではありません。それ以前にこの舞台で戦うにふさわしいレベルではないチームが、アジアの大事な大会に日本を代表するクラブとして出てしまったことを、深くお詫びをしなければいけないと思います。


もちろんそれはクラブが判断を誤ったことが大きな原因ではありますが、そのように参加まで天皇杯優勝と言う権利を得てから1年3ヶ月も待たされる現在の制度にも問題があると思います。それだけの時間があれば降格することもあるし、主力の大半がチームを去ってしまうこともある。欧州のCLでも、リーグの上位に入って出場権を得てから実際の大会まで4ヶ月ぐらいしか空きませんし、せめて翌シーズンならチームの計算も立てやすい。でも現在の日本のように、天皇杯チャンピオンは翌々シーズンという形だとまったくもってチームの予想がつきません。2つのコンペティション(国内リーグとACL)を同時に戦うためには元旦のチャンピオンがその年の3月にACLに出るのでは選手編成の時間がなさ過ぎるからというのが当初の翌々年にした理由だったと思いますが、そこは支配下選手の枠の拡充などで補って翌シーズン参加にした方が現実的だと思います。



さて試合についてですが、選手が入場してきてピッチに立ったとたん、ヴェルディの選手と蔚山の選手の大きさが一回りも二回りも違うことに驚きました。まるで大人と子供の戦いというか、まったく違う世代が試合をしているようでした。その瞬間に『これはセットプレーとか、ヘディングの競り合いは勝てないな』と思いましたが、ハイボールポストプレーなどでは随分ヴェルディは苦戦しました。また大きな割には足元の技術もそれなりにあり、ヴェルディにチャンスが訪れそうなのはスピードに乗った攻撃を仕掛けられた時だけでした。
前半チャンスになりかけたのはヴェルディの右サイドを広山(?)選手がドリブルでボールを持ち込み中央にクロス、このクロスは大きすぎましたがファーサイドで拾って再び中に折り返し、結果として相手の意識を大きく左右に振ったときには大きなチャンスになったのですが、ゴール前でフリーだったアナイウソン選手のヘディングシュートは惜しくも右に外れました。相手に守備陣形を整えられてからの攻撃では苦しかったですね。


苦しかったと言えば今のスタメンにはこのレベルで戦うには苦しい選手が何人か含まれていました。まずは右サイドの柳沢選手ですが、失点になったバックパスを相手にプレゼントしてしまった場面もひどいですが、それ以外でもクロスの精度は目を覆うばかりでした。守備がダメならクロスの精度など攻撃に特徴があるのか、それとも攻撃には目を瞑るけれど守備は安心して見ていられるとか、なんだかどっちつかずで結局どちらもダメでした。これから戦うJ2がどんなステージかはまだすべては分かりませんが、少なくともJ1ではとても通用しないプレーでした。


そしてもう1人ボランチにいた金沢選手。大宮時代から知っていますが、あそこで守備をするならもっと激しく行かないと。相手に寄せてはいくのですが、相手の自由を奪うまで体を寄せたりするわけでもないので、結局はその対面の相手の前進は止めてもボールを左右に展開されてしまう。ヴェルディの2点目ですが、相手の攻撃に移った時に中盤中央で潰せるチャンスはあったのですが潰せないまま展開されてシュートまで持ち込まれてダメ押しの2点目を入れられました。ボランチに入るような選手なら、あの位置での味方が攻撃に出た後の相手の攻撃を、クリーンに寄せて抜かれるようではダメで、ファールででも相手を削ってでも止めないとこのレベルでは戦えないと思います。イエローを貰っても勲章と思わせるようなプレーをしてくれないと、あの位置で今後もスタメンで出られても苦しいだけです。


逆にさすがの落ち着きを感じさせてくれたのは中盤右サイドで出場していた広山選手でした。実際のプレーを見たのは1年半ぶりになると思いますが、蔚山の選手に寄せられても慌てることなく落ち着いてボールをコントロールしプレッシャーを交わしていく。惜しいシュートもありましたし、今日のヴェルディの中では数少ない得点の気配を感じさせる選手だったのに、ラモス監督は途中交代させてしまいました。あの時点で完封負けは覚悟しました。
最初にも書きましたがヴェルディの攻撃が通用するのは相手の守備が準備できる前にスピードに乗った攻撃を仕掛けられた時だけだったので、柳沢選手とGKの凡ミスから相手に先制されてからは、引いて守る意識の強くなった相手に対し得点の可能性は限りなく少なくなってしまいました。このようなメンバーで戦わざるを得ない現場も可愛そうだとは思うのですが、負けという結果以上に戦えるレベルにないヴェルディというチームが情けなく思えてしまった試合でした。



それにしてもさすがは韓国のチームです。リードしてからは選手が倒れること倒れること。最初はヴェルディもボールをタッチに出して試合を切りましたが、2度目以降はヴェルディも主審も止めなくなったらあれほど倒れていた選手がすぐ起き上がるのだから、つくずく韓国の選手は精神力が素晴らしいと思いました。倒れるほど痛いのにプレーが止まらなければすぐ立ち上がれる、そのメンタルは素晴らしいスポーツマンシップです。見習いたくないけれど。そんな小狡さを発揮するチームに勝たせるのではなく、ギャフンと言わせて力で勝ちたいのですが、その力がないことも情けない。
見た後に空しさだけが残る試合でした。

関連リンク
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ACLヴェルディvsヒュンダイ One day,One kick さん