G大阪 - 大宮

試合の感想と言うより、今年の大宮の苦悩の話になってしまいそうですが、雑感を少し。
G大阪は日本代表に選手を抜かれていつもとは違う形でやっているぎこちなさがあったかもしれませんが、大宮は昨年までのやり方を変えようか変えないかのぎこちなさがある、そんな感想を持ちました。


昨年の大宮はJ1昇格初年度ということで、最大で最低の目標がJ1残留であり、見事その目標を達成しました。しかしそのサッカーはフィールドプレイヤー10人のうち、8人で守って2人で攻めるというか、とにかく守りを固めてカウンターかセットプレーからの一瞬のチャンスを逃さず1−0で勝つ、そんなサッカーで残留を果たしました。しかし、そのようなリアクションサッカーでは稼げる勝ち点にも限界があるし、観客動員でも下から1、2位を争うクラブ事情を考えても、今年も同じようなリアクションサッカーをやるわけにはいかないというクラブ事情もあるのだろうと思います。


何せ同じさいたま市内に人気と実力を兼ね備えてしまった浦和というクラブが既にある。例えば大宮というクラブがホームとする街にプロスポーツのクラブがひとつもなくて、そこにクラブが存在するだけで人気を集められる、ある程度観客を動員できるのなら、悩みは少ないのだろうと思います。しかし、すぐそこに人気選手を揃え、実力的にも円熟期を迎えつつある浦和がある。その立地環境の中で昨年までのようなリアクションサッカーを展開し堅実に勝ち点を拾っても観客は増えない。そんな計算をクラブがするであろうことは想像できます。熱狂的なファンなら試合の面白さに関係なくマイクラブの勝敗だけで熱狂することも出来ると思いますが、観客動員を増やす為には、一見さんをいかに呼び寄せ固定客として取り込むか。それが出来ない限り、観客動員の増加は見込めませんからね。その為には守りを固めてカウンターからのサッカーからの脱却を図る必要がある。


そんな環境の中での今シーズンは中盤に攻撃のタレントを補強し、リアクションサッカーからの脱却と自ら仕掛けるサッカーの習得を目指して戦っているが故の苦悩を感じてしまうのです。
例えばG大阪戦でのスタメンの中盤中央は純マーカス選手と片岡選手でした。これは昨年までの守備に重心を置いた選手構成ですが、G大阪にアンラッキーな形で前半のうちに先制され、攻めるしかなくなった後半は純マーカス選手に代えて小林慶選手を投入し守備の意識の高い選手を削り攻撃に特徴のある選手を投入しました。その結果は見事にあらわれ、後半の早い時間で1−1の同点に追いつきました。
しかし、同点になったことで攻める気持ちが強くなったG大阪に対し、中央を小林慶、片岡選手で組む大宮の中盤は明らかに守備能力が落ち、見事なパスワークでG大阪に勝ち越し点を挙げられました。この場面ではG大阪のパスワークも芸術的だたのですが、大宮の守備と言う視点で見ると、どこかで体をぶつけて例えファールになっても止められなかったのかと言う悔いの残る失点だったと思います。でも、攻め型に切り替えた大宮の中盤に為す術はありませんでした。


昨年までのようにG大阪に対し80分間はひたすら守って0−0で推移させ、最後の10分で勝負を賭けたなら今年の戦いでも勝ち点が取れたかもしれません。でも、それでは昨年からの進歩がないことになってしまう。現実的な勝ち点を拾う行為と攻撃型に進化したサッカーの追求。この相反する目標の中で苦悩する大宮というチームがこれからどのように戦っていくのか。
まあ、他人事なのですがここ数日そんな事を考えていたのです。で、思ったことはそろそろ日本にもホームとアウェイでまったく戦い方を変えるチームが出てきても良いのではないかと。ホームでやる試合に関しては中盤に攻撃的な選手を多く並べ、リスクを賭けて攻めに出る。アウェイでやる試合に関してはひたすら守りワンチャンスに賭ける。直前のホーム清水戦も見たのですが、ある意味アウェイのような戦い方で勝ち点3をゲットしましたが、あのような戦い方では新しい観客は取り込めない。相手によって戦い方を変えるのも方法ですが、やはりホームでは自ら仕掛けて攻撃的にいって欲しいものです。今年の大宮はそんなホームトアウェイの戦い方の切り替えを実現するチャンスなのではないかと思った次第です。