日本 - ブルガリア

helguera2006-05-09

長居スタジアムに行ってきました。
いや、面白かったですよ、エンターテイメントとしては。


もともと海外組が合流できない日程で、国内組もリーグ戦の中断前最後の試合をしてから中1日か中2日。相手がブルガリア代表とはいえ、主力を欠くメンバーで、対戦相手のネームバリュー的にもモチベーションの上がらない試合。
特に浦和と鹿島の選手を温存するとしたら、海外組もあわせて欠けている選手で1チーム組めそうな面子ですから、代表の強化と言う意味ではほとんど参考にならないような試合でした。ですが、ジーコオールスターチームとして気楽に見ていたら、楽しかったなぁ。
ドイツへ行けるかどうかのボーダーライン上にいると自覚している選手にとっては必死のアピールの場でしょうが、ほぼ当確マークが付いている選手にとっては、楽しいサッカーだったのではないでしょうか。失点の場面は悔しくてしょうがないと思いますが。


開始直後から試合は動きましたが、このブルガリアの先制点は鳥肌ものでした。今日はバックスタンドのホーム側のコーナー付近で見ていたのですが、得点に至る前のブルガリアのボールの動きが素晴らしかった。日本から見てブルガリア陣内右サイドでボールを持ったブルガリアの選手が低い弾道でクロスにサイドチェンジのパスを出す。弾道が低かったので、中央センターサークル付近にいる味方に出したパスかと最初は思ったのですが、どうも強さが違いすぎる。低い弾道のボールはそのまままっすぐに伸び、日本から見て左サイドの高い位置に張り出していた選手にピタリと合いました。そのままドフリーでサイドを突破して、中の選手が上がってくる時間を稼ぎながら切り替えした簡単に中沢選手を外す。後方から走りこんできた選手も一瞬のタイミングを逃さずニアサイドに飛び込んで、至近距離からのクロスを合わせて見事なゴールでした。


この失点を日本サイドから見ると、サイドチェンジのクロスが入った時点で失点を覚悟しました。左サイドでスタメンだった村井選手は中途半端に上がったポジションを取って、3バックの左側にいる中沢選手は中央に意識がある。この時点でブルガリアのサイドに高く張り出している選手を見ている日本選手はいませんでした。今日の日本代表はなんとなく試合に入ってしまったのでしょうか。
それ以降日本は攻めるのですが、中々ゴールには結びつきません。特に玉田選手はサイドに流れたり、下がってきてボールを受けたり、そこからスピードアップをして相手を交わしてシュートを放つなど、動きがキレてましたね。ただ、シュートだけが決まらなかったのですけど。何年か前の柳沢選手を見ているかのようでした。素晴らしいプレーの連続なのですが、それはシュート以外なのですよね。


また、日本の選手交代も面白かったなぁ。
特に後半16分の交代後は、中盤が技術系の選手ばかり。阿部、遠藤選手のボランチに、小野、小笠原選手の攻撃的MF。前線には玉田、巻選手。小野選手と小笠原選手が投入されてからの数分間は、サッカーを見ていると言うより、サッカーボールを使ったアトラクションを見ているかのようにボールが回りました。相手のゴール前に何度も迫ったのですけど、最後の最後がね。
そして後半の32分に巻選手に代わって佐藤選手が投入されてからは、よりいっそう技術系の選手かスピード系の選手ばかりになりました。巻選手のような武闘派の選手よりも技術系の選手のほうが好きなのかなと思ってしまうのは、穿った味方になってしまうのかな。


巻選手の交代直前の同点場面ですが、加地選手は三都主選手を狙ったクロスだったのか、それとも中央を狙ったのが逆サイドに流れてしまったのかを聞いてみたいですね。また、三都主選手の折り返しも、クロスだったのかシュートだったのかを聞いてみたい。まあ、どんな形でも日本の得点は嬉しいのですが。特にドイツに連れて行って欲しい巻選手や阿部選手の活躍ならね。
たぶんもう23人はほとんど決まっているのだと思いますが、巻選手や阿部選手を連れて行ったとしたら、最後の最後に代表監督を見直すことになるのですけどね。ないだろうな。


他に気がついたことをいくつか。
試合前の選手紹介でブルガリアストイチコフ監督が紹介されたときに、スタジアムから大歓声が起こったことは嬉しかったです。昔Jリーグを経験した選手が現役を引退して、その後さまざまな形で日本サッカーと再び交わってくれる。それはブッフバルト監督のように直接的に関わってくれたり、ストイコビッチ氏のように友好的に接してくれたり。日本でのことは思い出したくもないと思っている外国人選手もいるかもしれませんが、縁があって再び日本と接することがある場合は、暖かく受け入れられる雰囲気があると何だか嬉しくなってしまいます。


それと試合後に会場を一周する日本代表選手たちに対してのスタンドの雰囲気が何とも言えないものでした。かすかに沸き起こるブーイングの口笛とまばらな拍手。選手たちが整列して挨拶をするときには大きな拍手もありましたが、それでも心からの大きな拍手とまで言えないような雰囲気でした。何とも表現しがたい試合後の長居スタジアムだった。
また、村井選手の怪我は心配ですね。相手と接触しての怪我には見えなかったので、大きな怪我でないことを祈るばかりです。


最初にも書きましたが、日本代表の強化にはあまり貢献できないと思える日程のこの試合でしたが、エンターテイメントとしてはとても面白かった。ブルガリア選手の早くて強いパスや足元の確かな技術。そして少ない手数で日本のゴール前までボールを運ぶ力。

それに対してこれでもかとパスをつなぐ割には前に進めない日本の攻撃。弱くて短いパスの連続。縦へのパスに対し、圧倒的に多く感じる横へのパス。ワールドカップ1ヶ月前の出場国の試合と考えると空恐ろしいものがありますが、大丈夫ですよ、あと3試合”も”ありますから。