東京ヴェルディ - 湘南

helguera2006-05-27

国立西が丘サッカー場に行ってきました。
ふぅ、勝って良かった。この試合前のヴェルディの状況は、リーグ戦4連敗中でACLまで含めて6試合連続無得点。勝利どころか得点を取ったのも4月29日の同じ西が丘サッカー場での札幌戦まで遡らなければならないという、明るい兆しは何も感じられない1ヶ月間を過ごしてきました。今日の試合だけは、内容がどうとか戦術がどうとかよりも、とにかく得点、とにかく勝利が欲しい試合でした。とにかく、勝って良かった。


スタジアムには試合開始1時間前に到着したのですが、そのころから雨が降ったりやんだり。席に着いたらすぐにカッパを着なければならない状況でした。時おりやんだり、時には強くなったり。そういえば、1ヶ月前の最後の勝利となった札幌戦も雨でした。まあ、東京周辺は5月になってから雨ばっかりなのですけどね。
試合は開始からヴェルディの戦う気持ちは感じられるものの、効果的な攻撃を仕掛けているのは湘南でした。ヴェルディの攻撃はパスは多少つながるものの、相手のゴール近くになると選手間の意思の連携が感じられず、受け手のいないスルーパスを出す始末でした。これだけ負けているのだから、スルーパスじゃなくてもっとシュートの意識を持とうよ。


そんな膠着した立ち上がりでしたが前半の20分過ぎ、セットプレーの流れからゴール前の混戦になって、ペナルティエリア外側近くにこぼれたボールを大野選手がミドルシュート、これがゴールネットを揺らします。今日もバックスタンドに座っていたのですが、ちょうど大野選手のシュートの軌道の延長線上の真後ろに当る位置だったので、シュートが放たれた瞬間に枠に飛んでいるのが分かりました。あとは誰にも当るなと念じていたのですが、海が割れた映画のようにちょうどボールの軌道の50cmくらいだけ道が開けて、そのままに吸い込まれていきました。
得点自体が同じ西が丘サッカー場で行われた札幌戦の後半20分過ぎの斉藤選手の得点が最後でしたから、6試合以上590分ぶりの得点でした。はぁ、長かった。


これで先制はしたものの、リードしたヴェルディが試合を優位に進めているとは言い切れない試合でした。ボールを保持していても中々前に進めないし、シュートも打てない。FWを走らせたいのか、パスをつないで崩していきたいのか、それが分からないうちに中盤でボールを失ったり、苦し紛れにクロスを放り込んでみたり。徳島戦もそうでしたが、攻撃の意図が見ている側に伝わってこない。そんな攻撃の連続だからFWが動き出してもボールが出ないし、MFがパスを出したところにFWがいない。このチグハグさの原因が選手個々にあるのか、メンバーを固定しきれない監督にあるのか微妙なところですが、この攻撃ではこれからも得点を取るのに苦労しそうです。


試合としては後半に湘南のシュートがクロスバーに嫌われる場面などもありましたが、一番ヒヤッとしたのはヴェルディGKの高木義成選手が転んだ場面でした。湘南の「だいたいこんなもんだろ」的な大きなクロスでしたが、中に湘南の選手は少なく、『これはキーパーボールで安心だ』と思ったのも束の間、次の瞬間に高木選手の姿がピッチ上から消えました。実際には斜め前に出る動きの中で滑ったのか芝に足を引っ掛けたのかで倒れたようですが、『このままクロスが直接ゴールに入るんじゃないか』という不安で心臓を鷲掴みにされたようでしたよ。幸いにも起き上がった高木選手がボールを触れたし、落ち着いて考えればゴールマウスを捉える軌道ではなかったかもしれませんが、高木選手が転んだ瞬間、頭の中にワンバウンドしたボールがヴェルディゴールマウスに消えていく映像が見えていました。危なかった。


試合はその後も両者にたいしたチャンスもないまま推移し、後半の30分過ぎに途中交代で入っていた平本選手の突破に対しPKをいただけて、これを平本選手が自ら決め試合の決着をつけました。
この場面ですが、平本選手が湘南のDFとMFの間のスペースでボールを持てた瞬間、『よーし、突進しろ! スペースはあるぞ!!』と思ったのですが、DFを交わすためのボールの持ち出しが少し長すぎたので、『ああ、GKが取るな…』と諦めかけたときに不可解な笛が…。なんとPKでした。確かにDFともつれて倒れましたが、横から見た限りでは「ラッキー!!」と思うしかない場面でした。実際にはどのようなプレーだったのかの詳細は分かりませんからこの場面についてはそれ以上言えませんが、それでも今日の主審の砂川恵一さんの笛はこれ以外でも引っかかるものが多かったですね。「それはファールだろう」というものは流し、「それは取らなくていいだろう」という場面で止める。たぶんヴェルディ側から見ても湘南側から見てもイラつく笛だったのではないでしょうか。まあ、審判批判はこのくらいで。


試合はこのまま2−0で勝利しましたが、それでも気になることがありました。
それは守から攻への切り替えが遅いこと。湘南と比べると非常に良く分かるのですが、湘南の選手はマイボールになった瞬間、前線の3選手ぐらいが全力で前に走ったりワイドに開いたりして、ヴェルディの守備陣を振り切ろうとします。しかし、ヴェルディの方は相手ボールを奪った瞬間、「やれやれ、良かった良かった」とでも言うかのように歩いてポジション修正している選手ばかり。これでは相手に守備を整える時間を与えるばかりで効果的な速攻は期待できません。GKの高木選手がボールを持った瞬間も速攻に移る気配は皆無。毎回速攻しろとは言いませんが、10回に1回ぐらいはGKが攻撃の起点になるような攻撃を見たいものです。チームを落ち着かせるために間を取る必要があることも分かりますが、相手の守備バランスが崩れている時も攻撃を狙わずピッチ上のフィールドプレーヤー20人が全員揃ってからボールを蹴る。これでは前向きでボールを受ける湘南の選手が容易に跳ね返せます。湘南の選手が後ろ向きに対応しなければならないような攻撃をもっと繰り出してほしいものです。


まあ、久しぶりの勝利なので小言もこれぐらいで。世間的には日本のサッカーはこれからワールドカップ一色になるのでしょうが、ヴェルディとしてはこれ以上上位に離されないように何とか勝ち点を積み上げて欲しい。というかこれ以上負け数が増えたら昇格なんて難しいでしょ。今現在4位のヴェルディが8敗ですが、1位の柏と3位の仙台は3敗、2位の横浜FCにいたってはまだ1敗しかしていません。最終的には勝ち点の勝負ですが、それでも自分たちの試合になりそうもない試合でも引き分けて勝ち点1を加えるようなしたたかさがないと厳しいと思ってしまいます。
とは言っても、とりあえずホッとした今日の勝利でした。17試合目で初ゴールの大野選手でしたが、これで本当にヴェルディの選手になったような気がしました。試合後にインタビューのために一人遅れてスタンドに挨拶に来た大野選手を見たら、胸が詰まりそうになりましたよ。移籍してきてキャプテンを任されて、その中での4連敗。でも、自身のゴールとこの勝利をキッカケにして、これからは連勝街道を驀進でお願いしますよ、大野キャプテン。