ドイツ日記 0日目

成田空港近くのホテルにいる。
さっきまでは飛行機の離着陸の音も聞こえていたが、今は静かだ。明日の飛行機でドイツに向かう。部屋のテレビではスペインとウクライナの試合が流れているが、明日の夕方にはテレビで見ている彼の地に渡るという実感が沸かない。


ドイツへの旅の準備は去年の春から始まった。そう、まだ日本が本大会に出場することが決まる前。というより、予選をヨタヨタしながら戦っていた頃だ。FIFAのチケット一次販売が始まったからだ。代表の戦い方には不満もあったし文句も言ったが、もちろん日本のTSTを申し込んだ。日本代表に勝って欲しい、強くなって欲しい、美しいサッカーを見せて欲しいからの文句だ。日本代表を応援しているが、すべてを信じているわけではない。協会の一貫性のないやり方や監督人事、それによって決まった代表監督など、すべてを信じてすべてを肯定するほど人が良くできていない。良いところは良いといいたいし、悪いと思うところは悪いと言いたい。そして間違っていると思うところは間違っているとはっきり言いたい。思いがあっても黙っていることも強さだと思うが、思いを正直にぶちまけることも強さだと思う。その意味では、スカパーの土田氏の発言はものすごい強さだと思う。


話がそれた。
日本TSTを申し込んだが、外れた。抽選に一回で当たるほど、強運な人間ではないことはフランス大会でも分かっている。あの時だってチケットを確保できないままフランスに渡った。しかし、最終的にはアルゼンチン戦とクロアチア戦を見ることができたので、悪運が強いのだろう。
運と言えば日韓大会のときも最後まで日本戦のチケットは買えなかったのだから、やはり強運な人間ではないことは確実だ。日本戦をスタジアムで見ることはあきらめて、他の試合で楽しもうと思いかけたときに、懸賞で申し込んでいた日本戦が当たったのだから、やはり悪運が強いのか。埼玉でのベルギー戦と大阪でのチェニジア戦だった。そういえば、日本が史上初のGL突破を果たしたのは今日と同じ6月14日だ。本当にちょうど4年前。あれから4年、日本代表にもいろいろなことがあったものだ。あれから日本代表は強くなったのだろうか、弱くなったのだろうか。その答えももうすぐ出る。


チケットの二次販売は早い者勝ちだったが、当然買えるわけもない。しかし、そんなことも忘れかけた頃、突然今まで売り切れていたチケットが再販売された。日本戦も出たようだが、そこまで早く気が付かなかったので、この二次販売でアルゼンチンの試合を手に入れた。なんとなく日本がアルゼンチンかブラジルのグループに来るような気がしていたし、4年前のワールドカップでアルゼンチンの最後の試合となってしまった宮城にもいたからだ。アルゼンチンの選手が崩れ落ちて泣いてしまったあのスウェーデン戦だ。あれから4年、アルゼンチンが強い決意でドイツ大会にのぞんでくることは容易に予想できた。きっと面白い試合になるだろう。


ドイツ大会の組み合わせが決まった。日本はブラジルの組だった。予想が半分当たったが、チケット的には外れだ。しかし、持っていたチケットがオランダ対アルゼンチンになった。ラッキーだった。この時点でドイツ行きをアルゼンチンの2戦目と3戦目を軸にして、そこに日本戦を絡める日程にしようと決めた。日本の対戦相手を見ても、クロアチアとブラジルだ。簡単に勝てるような相手ではないが、痺れる試合にはなるだろう。この日程を軸に、間で見ることのできる試合を三次販売の抽選で申し込んだ。イングランドスウェーデンの試合なども申し込んだが、実際に当たったのはパラグアイトリニダードトバゴの試合だった。微妙だ。


その後、再び早い者勝ちの4次販売と5次販売で、日程の空いているところに試合を埋めていった。すでにいくつかの試合のチケットを持っていたので、旅行会社のツアーに申し込むよりも自分でエアーやホテルを手配する方が都合が良いことになった。それでも各社のツアーの日程や値段はチェックしていたが、自分が思っていたより10万から20万円は高い値段がついていた。ワールドカップ恐るべし。
何とか日本戦も手に入れた。最悪は現地に行けば何とかなると思っていたが、事前に手元にチケットがない状態で飛行機に乗る心細さは8年前のフランスで充分だ。とにかく、準備完了だ。


ドイツにはパソコンも持っていく。フランス大会のときはパソコンを持っていくなどとは考えもしなかったが、今ではパソコンを持っていかないことが考えにくい。凄い環境と心境の変化だ。しかし、海外でモバイル環境を簡単に構築できるようなスキルはないので、接続できるかどうかは運を天に任せるしかないが。
0−4か、日本の逆転負けもきついが、ウクライナの4点差もきついな。アクロバティックなボールの持ち出しからアシストをしているのはプジョルじゃないか。ウクライナ、きついな。