ドイツ日記 2日目

helguera2006-06-16

時差がないということは、何と幸せなことか。


今日はフランクフルトからゲルゼンキルヘンに行く。アルゼンチン対セルビア・モンテネグロの試合を見るためだ。フランクフルトからゲルゼンキルヘンまでは約2時間半。ICEという特急に乗っていく。日本で言えば新幹線のようなものだ。ドイツの鉄道には1等と2等があるが、それぞれ該当するジャーマンレイルパスを買っておけば、特急だって乗り放題だ。日数や人数の問題もあるが、今回の旅では1日あたり3,000円相当だ。東京から新幹線を使って仙台を往復する時間くらい鉄道に乗って、一日で3,000円なんて、何と安いことか。乗り心地も、快適だ。


フランクフルトでICEを待っているときに、日本代表ユニを着ている人と話しをした。ボンに日本代表の練習を見に行くそうだ。正しい日本人サポーターあるべき姿なのだろう。ボンを通り過ぎてアルゼンチンの試合を見に行くなんて、非国民だな。でも、他の国のサッカーを真剣に見るからこそ、日本代表に足りないものに気づくことも多いと思う。言い訳がましいな。


エッセン駅でICEからローカル戦に乗り換えゲルゼンキルヘン駅に溶着。駅の建物からアルゼンチンサポでお祭り騒ぎだ。駅に続いている商店街の通りがお祭り状態になっている。よく見ると、セルビアサポも多い。試合の勝敗とは別に、どちらのサポも自国がワールドカップに出場することと、その場所に自分自身がいることのできる幸せを謳歌しているようだ。もちろん勝負だから何時間後には勝者と敗者が存在するのだが、試合の勝ち負けだけではなく、そこにいることを楽しむことも大事なことだ。


通りを往復したら、路面電車に乗ってスタジアムへ向かう。入場ゲートが赤、青、緑、黄色の4色に色分けされているが、特に警戒が厳しいと言うほどでもない。簡単な身体検査の後にはチケットを機械に差し込んで、グリーンランプが灯れば入場OKだ。当然のことながら名義確認など行われている気配もない。運悪く止められる人間もいるかもしれないが、それは本当に運が悪い人だけだろう。ゲートの色が違っていても通してくれるし、4年前の開催よりもフレンドリーで融通が効く。ただし、ペットボトルだけはその場で回収か飲み干すかしろと言われたので、意地で飲み干した。まあ、それくらいはしょうがない。


入場してみると、アルゼンチンサポーターのすぐ近くだ。一番危険な場所ではないが、それでも試合展開によっては、飛んだり跳ねたりするエリアだった。試合中ずっと裸で踊っているような場所からは少しずれていたので、試合も見ることができた。
試合は…、大変な試合だった。試合を見ながら、アルゼンチンの多彩な攻撃は組織なくして自由と自主性だけで完成するものだろうか、そんなことを考えていた。ボールよりも人が動くサッカーを展開していたが、正直うらやましい。得点力も、羨ましい。


試合終了後、行きが路面電車だったので帰りはシャトルバスに乗って駅に向かった。しかし、これが失敗だった。途中までは快適に走っていたが、合流箇所から先は一向に進まなくなってしまった。ワールドカップだからといって特別な交通規制は行われていないようで、余計なことを考えずに帰りも路面電車にするのだったと後悔した。
しかし、あとで友人に聞くと、路面電車は途中まで快適に走る(途中の停留所には一切止まらずに素通りしていく)が、目的地の駅に近づくと乗客の乗り降りに時間がかかって連発された路面電車が中々ホームに入れないらしい。どっちもどっちだったか。


ゲルゼンキルヘン中央駅付近で友人と合流し、スポーツバーのような店の大型スクリーンでオランダ対コートジボアールの試合を見る。現地時間15時から17時まではスタジアムで生サッカーを見て、スタジアムから市街地に移動して18時から20時までビール片手にバーで試合を楽しむ。時差のない、現地ならではの贅沢だ。店内中央にはオランダサポが陣取り、周囲をアルゼンチンサポが囲むという不思議な図式の中に、日本人の集団が7人。結果はともかく、オランダもコートジボアールも凄いサッカーだ。人が走るサッカーは素直に羨ましい。


試合終了まで店内で見て、ホテルのあるフランクフルトに戻る。しかし、サッカー好きの考えることは皆一緒で、ゲルゼンキルヘンでの試合が終了してから3時間以上経っているにもかかわらず、駅は大混雑だ。乗換駅までは東京のラッシュ状態だったが、ICEに乗り換えてからは、混んではいるものの快適な車内だ。眠かったが、寝過ごしてしまうとシュツットガルトまで連れて行かれてしまうので、眠気と戦うのが大変だった。仙台から東京に帰るのに乗り過ごして、気がつけば静岡に連れて行かれてしまうようなものだろうか、日本のように鉄道が分割されていないので、長距離の列車の便がいいことは利点だが、寝たまま乗り過ごしたら悪夢だな。
パブのようなスポーツバーの、ビールも料理も旨かった。