ドイツ日記 3日目

helguera2006-06-17

しかし夜の8時を過ぎても明るい空というのは、どうなんだろう。
今日はフランクフルトで15時開催のポルトガル対イランの試合を見るため、移動が楽な日だ。滞在しているホテルがフランクフルト空港駅にあり、スタジアムはSバーンというローカル線で1駅の場所にある。言い換えれば国際空港から1駅の場所に48,000人収容のサッカー専用スタジアムがあるわけだ。贅沢すぎる。市街地であるフランクフルト中央駅(日本なら東京駅か?)からでも2駅目という、サッカー好きにはたまらない立地だ。それでもスタジアムは周囲を森に囲まれて、スポーツをするには素晴らしい環境にある。まあ、1駅の間隔が日本より長い(遠い)ことは確かだけど。


今日の試合のチケットは4次販売で買ったので現地引き換えになる。それでも何せ1駅の場所に滞在しているので、朝はゆっくりできた。昨日と違って長距離列車の発着する駅ではなく、空港地下のローカル線でスタジアムに向かう。
列車に乗る前に、やはり空港の地下にあるスーパーマーケットで接着剤を買う。日本から持ってきたPCの周辺機器が壊れたので修理するためだ。日本で言うアロンアルファ的なものを探したが、よく似た黄色いパッケージでぜんぜん違う商品があった。よく似たといっても、チューブは金属製だった。しかし、使ったときの匂いは、そのまんまアロンアルファだった。


Sバーンでスタジアム駅に着きスタジアムに向かうが、Sバーンでアクセスするとスタジアムの裏口に着くようになる。正面側に回るには線路沿いの森の小道をかなり回りこんで歩いていかなければならない。日本のように、スタジアムを簡単に一周できる道が取り付けられていない。まあ、普段のリーグ戦では使える通路が、ワールドカップの特別警戒で使えないだけかもしれないが。


当日の引き換えはプレハブのかなり大きな小屋(テント?)で行った。名前とパスポートを確認し、サングラスを外せとまで言われた。それでもアルファベット順に発券済のチケットが用意されていて、アルファベットで指示された窓口に行くと待つことなく引き換えられたのには驚いた。ここ数日でドイツ人の仕事を信用していなかったので、もう少し混乱するのだと思っていた。


チケットを受け取ってから、今度は正面入り口近くから出ている市電(路面電車)で市街地に向かう。試合開始まで3時間、そのまま待つには長すぎるし、観光するには短すぎる。市内までは15分ぐらいなので、試合開催日当日のフランクフルト中央駅周辺を見に行った。当日と言ったが、到着してから空港周辺でしか生活していないので、初めてのフランクフルト中央駅だ。歩行者専用となる駅前のカイザー通りを様々な屋台と様々な国から来たサポーターが埋めていた。試合開始が近いのでポルトガルサポとイランサポは少なかったが、それでも参加している国もしていない国も、呉越同舟で通りを歩いているのは印象的だ。ワールドカップは戦いであるとともに、サッカーファンのお祭りなんだな。


市街地からスタジアムまでSバーンで戻ったが、これがとんでもない混雑の満員電車だった。埼京線のラッシュをさらにひどくしたぐらいのどうしようもない状態だった。日本人は混雑に慣れているから車内中央に皆が少しずつ詰めていくが、こちらでは様々な国の乗客が入り混じっているので、通路の乗客が奥に詰めないので、出入り口付近は大変なことになる。ドアが閉まらずに乗車できない乗客も多数いたが、東京のように乗客の諦めが潔くないので、ドアが閉められない状態で5分ぐらいそのまま発車できずに止まっている。ドイツの鉄道恐るべし。


スタジアム駅に到着してからスタジアムまでの道は慣れたものだ。今朝同じ道を歩いているから。周辺でまったりすることなくまっすぐ自分の席に向かう。今日の席はカテゴリー1のOV(見切り席)だ。どれくらいの視角障害かと楽しみに行ったら、見事な障害物だった。席に着くと階段通路の一番下の防護手すりがピッチの80%を遮る。手すり越しではなく普通に見えるのはポルトガルサポの陣取った側のゴール前だけだった。手すり越しに他の部分も見えるのだが、イランサポ側のゴール近くになると選手や副審が平気で手すりの陰に消えてしまう。まあ、分かっていて買った席だし、試合と試合の間にある滞在都市での試合だったので第一優先だったし、しょうがない。試合の対戦カードとしてはその後にあるケルンのチェコ対ガーナのほうが魅力的だった。


試合はイランを通してアジアの限界を垣間見るような試合だった。組織と個人で上回るポルトガルに対し、組織でも個人でも上回れないのでは勝負にならない。日本も組織を捨ててしまったツケを残り2試合で払わされないと良いのだが。
試合終了後の乗客輸送がまたドイツクオリティだった。駅までの道はスムーズだし、列車も本数は来るのだが5本あるホームのどこに次の列車が来るのかとか、ホームに乗客が固まっているところがあったりしても一切駅員は気にしない。来るまではドイツのイメージとして「規律と秩序」的なものを持っていたが、実際には随分いい加減だ。これでは公式で買ったチケットが送られてこないのは当然かもしれないと思った。


1駅5分を乗るために30分近くホームで待ったが、それでもホテルには1時間以内で着くという移動の楽な日であることは確かだ。接着剤を買ったマーケットでビールと夕食を買い、シャワーを浴びてから18時キックオフの試合をホテルの部屋のテレビで見る。もちろん、ビール片手にだ。何という贅沢。チェコ対ガーナは良い試合だった。
そしてテレビを点けたままPCに向かっていると、今度は21時キックオフのイタリア対アメリカ戦が始まった。何という、贅沢。