ドイツ日記 5日目

helguera2006-06-19

ライン川を、下った。
今日はトーゴ対スイス(ドルトムント)の試合や、スペイン対チェニジア(シュツットガルト)の試合のどちらかに行きたかったが、諸般の事情で観光の一日となった。観光も2案あって、片道3時間往復だけで6時間近くもかかるローテンベルグ観光とライン川下りのどちらにするかを考えたが、昨日の疲れが思いのほか大きく、ゆっくり出発できるライン川下りにした。本当は一日何もしないでウダウダしているというのも候補に挙がっていたが。


フランクフルト空港駅からICEに乗り、次の駅のマインツまで15分間乗ってローカル線に乗り換える。これが2両しかない車両で、そのうち1両の半分が自転車置き場になっているので、ローカル戦にも拘らず混んでいて座れなかった。車内が暑いし座れないしで、「何でこんなに自転車を置くスペースがあるんだよ」と心の中で毒付いていたが、その理由は後で分かった。


ライン川を観光船で下るのは、マインツからケルンまで運行しているようだが、さすがに全部乗ると6時間位かかるので、見所の中心になるビンゲンからボッパルトまでだけを乗ることにした。それでも、2時間30分の予定だが。
ビンゲン駅でローカル線を降りて、10分ぐらい歩いてKDラインの船着場に向かう。本当はひとつ手前のビンゲンStact(西とか東とか、同じ地名の後ろに何か付いている駅名)駅で降りたほうが近かったようだが、初めて行くのだからしょうがない。でも、最初で最後だろうけど。


観光船はかなりの大きさだったが、始発はビンゲンの対岸のリューデスハイムだったので、ビンゲンに到着したときはすでに一杯だった。船首とか3階展望席とかは満席だったので、2階の船尾に陣取り出航を待った。眺めは快適だが、エンジンの振動と排気ガスの臭いが玉に瑕だ。それでも舷側に立てば、風が臭いを流してくれるので快適だった。
ライン川の水は茶色く濁っていて日本の感覚で言えばとても綺麗とは言えないが、それでも川の両側に残る手付かずの自然と時折現れる古城と今も生活している古くからの家々が最高の背景となってライン川を引き立てているようだ。時々両岸をドイツ鉄道の列車が通るのも、アクセントになっている。また、道路も途切れることなく車が通り、決してすたれている感じではない。また川と道路の間にはサイクリングロードが整備されており、平日にもかかわらずかなり多くのサイクリストがツーリングを楽しんでいた。往復するのは精神的に疲れるだろうから、行きか帰りにローカル線に積んでいくのだと分かった。そのための2両にもかかわらずの巨大な自転車スペースだったのか。


また、同じ川を様々なタイプの運搬船が上下していた。観光だけの川ではなく、今も実際の生活で産業で使われている現役の川なのだと強く思った。航行する船の国旗も、ドイツだけでなくスイスなど他の国の国旗も多かった。それらの運搬船に車を1、2台積んでいるのが面白かった。到着後の現地の足にでも使うのだろうか。それにしては高級車もあったけど。


景色はとても綺麗だったが、それ以上に驚いたのは乗船していた3時間近くの間に、橋が1本もなかったことだ。所々に人や車を乗せる渡船場があるが、橋はなかった。ある意味不便かもしれないが、そのおかげで景観が保たれ、また小さな町ばかりであるにもかかわらず川の両側にドイツ鉄道が走っている。日本だったらよろこんで何本も橋を架けているだろう、そんなことを考えてしまった。


サンクト・ゴアールという船着場で団体客のほとんどが下船したので、ようやく船首のいい場所に座ることができた。静かで快適だった。でも、そこから先は大して見るものもない。それでも日差しと風が心地よかった。
日差しと言えば今日は一日曇りがちだった。決して涼しいとは言わないが、それでも昨日の暑さと比べれば天国と地獄だ。どうして日本が試合をする日は暑いのだろう。不運を考えてしまう。試合開始時間は放映時間の配慮もあるかもしれないけれど、その日の気温や天候は運次第だ。暑さで先に相手がへばってくれるのなら、それは幸運かもしれないけれど、内容のある試合を期待するなら不運以外の何ものでもない。次は夜9時キックオフだからこの2戦よりは走ってくれるだろう。


話がそれた。下船予定のボッパルトに到着したので、ドイツ鉄道の駅に向かう。ボッパルトの町並みは古い感じを残した良い町並みだったのでゆっくり歩きたかったが、帰りの列車の時間が迫っていた。やはり船も15分遅れで到着したからだ。しかし、時間通りという考え方がどうでも良くなってきた今日この頃。
ボッパルトからは快速のようなRBという列車だったが、船で3時間近くかかる道のりを30分弱で戻ってきてしまった。時間を短縮し効率を良くすることが贅沢なのか、それともわざと時間をかけて物事をこなすことが贅沢なのか、考えてしまった。


乗車した列車がフランクフルト中央駅に向かうものだったので、フランクフルト空港駅で降りずに中央駅に向かう。今日フランクフルトに移動してくる友人と夕食を共にする約束をしていた。昨夜のクロアチア戦後にヘナヘナになって帰ってきてから食事した店に、2夜連続でお邪魔する。店の正確な場所は分からなかったのだが、幸運なことに昨夜食事をともにした方とフランクフルト市街で偶然会って、正確な店の場所を教えてもらうことができたからだ。何だか、運命的な出来事だった。


楽しい食事を終えた後、タクシーでフランクフルト中央駅に向かう。中央駅から空港駅まではSバーンも出ているが、一番最初に出るICEに乗った。日本の感覚で言えば、東京駅から品川駅に移動するのに新幹線を使うようなものだ。かなり贅沢な使い方だが、ジャーマンレイルパスを持っているとその日の乗車はすべて料金に含まれているので、お金を払う必要がなくとても得した気分だ。得といえば今日乗ったライン川観光船も、KDラインという会社はジャーマンレイルパスでそのまま乗れるのでお金を別に払っていない。これも得した気分だった。


フランクフルトの街中を歩いていると、そこいら中のカフェで道路に向かってテレビを出しており、すべてがワールドカップの試合を放送している。そのおかげでウクライナサウジアラビアの得点経過も目に入ったが、今日は意識してか無意識かは分からないがサッカーのことをほとんど考えない一日だった。
昨日、何か試合あったけ。