ドイツ日記 9日目

helguera2006-06-23

朝、起きるのが辛かった。
今日はカイザースラウテルンサウジアラビア対スペインの試合を見る予定だったが、朝起きるまで行くかどうか迷っていた。しかしせっかく買ったチケットだし、天気も良いし、見たくても行けなかった人がいるかもしれないし、などと考えて心を振るっていくことにした。


昨夜ホテルについたのが午前3時を過ぎていたし、それ以上に日本の敗戦が堪えた。川淵〜ジーコ体制には一貫して否定的だったが、「それみたことか…」という気持ちより、最後まで立ち上がれなかった中田ヒデの姿が痛々しくて、心が晴れなかった。川淵は個の力不足とか分かりきったことを言っているようだが、それは4年前のトルコ戦から分かっていたこと。それを補うのがチームであり戦術であり監督だろう。「監督がダメだった」とか「選手がダメだった」ではなく、なぜこのような無様な姿になってしまったのか、4年前の監督の選び方まで遡って猛省して欲しい。
日本代表については、そのうちにまとめよう。それより今日の話だ。


フランクフルト空港駅からマンハイム駅まで、一区間ICEに乗る。東京から新横浜のもう少し先まで行く感覚だろうか。そこからローカル線に乗り換えて、カイザースラウテルンまでは一時間くらいだ。つい先日もパラグアイトリニダード・トバゴの試合を見に行っているから、まわりの景色やスタジアムに対する特別な感慨が湧かない。ドイツでスタジアムに行くのに、通いなれた感覚になる場所ができるとは思わなかった。今回の旅ではフランクフルトスタジアムに続いて2度目の訪問になるカイザースラウテルンだ。


スタジアムに対する感慨は湧かないが、それでもこの試合がスタジアムで見る最後のワールドカップの試合であると思うと、かなり感傷的だ。ドイツに来る前は凄く長い日程だと思っていたが、来てみればあっという間だった。以下は、今回訪れたスタジアムのまとめ。

6.16 アルゼンチン 対 セルビア・モンテネグロ (ゲルゼンキルヘン
6.17 ポルトガル 対 イラン  (フランクフルト)
6.18 日本 対 クロアチア   (ニュルンベルグ
6.19 休み
6.20 パラグアイトリニダード・トバゴ (カイザースラウテルン
6.21 オランダ 対 アルゼンチン (フランクフルト)
6.22 日本 対 ブラジル    (ドルトムント
6.23 サウジアラビア 対 スペイン (カイザースラウテルン

よく見たものだ。
心残りは19日にドルトムントトーゴ対スイスを見られなかったことか。諸般の事情とは言え、返す返すも残念だ。ライン川は来年もあるけれど、ワールドカップは今年だけだ。


話が逸れた。
2度目のカイザースラウテルンだから、スタジアムへの道も慣れたものだ。また今日はカテゴリー2の席だったが、二度目の当日引き換えで二度目のOV(視角障害)席だった。何度も二度目が出てくる日だ。当日引き換えはフランクフルトと同様アルファベット順に分かれており、非常にスムーズに終わった。ドイツ人もやればできるのだから、他のこともちゃんとやればよいのに。入り口でのセキュリティチェックや場内誘導などはかなりいい加減だ。セキュリティチェックはそこそこ厳しくやっているが、手前は長蛇の列で奥はガラガラなどということが良くあった。整理とか誘導という概念はないらしい。


座席に座るとカテゴリー2なのに、ゴール真裏だ。ここは、カテ3か4だろう。でも、視角障害はテレビカメラの撮影が左側で行われているだけで、手前左側コーナー付近がカメラの三脚越しになるだけで、他は快適そのものだった。これで36ユーロ(約5200円)ならかなり得した気分だ。昨夜からの沈んだ気分がほんの少しだけ、晴れた。
試合はGL突破を決めているスペインにとっては消化試合だったが、個人的にはそれでもかまわなかった。予定の最後にこの試合をねじ込んだ理由はただひとつ、ラウルのワールドカップを見たかったからだけだった。ベンチに座ることの多い最近のラウルの状況を考えると、控え組みの出る試合のほうが見られる可能性が高い。思ったとおり、スタメンだった。


プレーについては前半の45分だけで、特に見所もなかった。というか、遠かった。しかし、スペインの至宝と言われたラウルも、もしかすると今回のワールドカップが最後かもしれないので、とにかく生で見ておきたかった。4年前は日本までたどり着かなかったし。
そんなことを考えながら見ていたが、ラウルは中田ヒデとまったく同世代だったはず。すべての思考がヒデのことに戻ってきてしまう。まったく、日本代表ってやつは…。


試合は予定調和のように1−0でスペインが勝って終了。サウジアラビアには、ノーチャンスの試合だった。ボールを持っても勝負どころのパスがつながらない。カウンターでも中盤で横パスが入ってしまうので、縦への攻撃のスピードが上がらない。シュートの精度が低い。日本代表とまったく同じだ。まあ、アジアで顔を合わせればいい勝負になってしまうのだから、当然と言えば当然だが。
試合後はすぐに席を立ち、カイザースラウテルン駅に向かう。うまく乗り継いでホテルに帰れば、今日のもうひとつの時間帯である夜9時の試合に間に合うのだ。途中乗り換えのマンハイムの駅でローカル線のわずかの遅れのおかげでICEを逃し(ローカル線の車窓からすれ違って行くのが見えた)、マンハイム駅で1時間次のICEを待ったが、前半15分から見ることができた。


本当はスイス対韓国の試合を見たかったのだが、トーゴ対フランスの試合しかやっていない。しょうがない、途中経過ぐらいは出るだろう。言葉が分からないとは、こういうときに辛いな。実況の喋る国名は分かるのだが、何を言っているのか分からない。しかし、さすがはサッカー大国、別会場で得点が動くと、この会場の得点表示の下に二段になって表示された。後半からは、このままの得点経過なら、グループ内順位がこうなる、という勝ち点表を見せてくれる。これは言葉が分からなくても、サッカー好きなら一目で分かる。よーし、密かに応援しているスイスがリードしている。スイスの勝ち抜けだ。フランスも苦しんだが、ヴィエラの活躍で勝ち抜けを決めた。少し、ほっとした。


ベスト16とベスト4の違いで4年間過ごしてきたのに、この先4年間さらに悲惨なGL敗退とGL突破ではどう過ごせば良いのか途方に暮れるところだった。それでも1分2敗勝ち点1得点2失点7得失点差マイナス5の国と、1勝1分1敗勝ち点4得点3失点4得失点差マイナス1の国では違いが大きいことには変わらないか。
心の中のもやもやは晴れないが、明日はドイツを離れる。日本代表については、明日以降考えよう。