川淵会見など。

日本に帰ってきて半日ですが、あまりの情報の多さについていけません。
まずは成田での川淵会見
この失言が本当に失言なのか、それとも意図を持ったリークなのか。


まずは本当に失言だった場合。
すでにこれだけの組織の長としては失格ですね。代表監督就任という非常に駆け引きの必要な交渉ごとにおいて、特に相手の了解もなく失言してしまう。企業が生き残りの新商品を開発している最中に、その企業のトップが商品のアイデアなり技術なりをポロッと話してしまったら、「決る前の過程を説明するのもいいかと思う」などという言い訳は通用しないでしょう。
1ヶ月近くにわたるドイツ旅行の疲れや、日本代表の無残な結果が心労を招いているのかもしれませんが、全ては自身の4年前の判断間違いが招いたことですし、途中にも修正するチャンスはあったのに放置してきた自分の責任なのだから同情の余地もありません。『勝ちゃいいんだろ』と開き直った段階で『負ければ全てを失う』覚悟をしていたと思うので、そろそろ覚悟を決めていただきたい。
今回の失言が本当に失言だった場合、2002年からの4年間だけでなく、この先の4年間をも失うほどの失言なのだから、自ら退場するなり、協会の正しい手続きに則って退場させるなり、日本サッカー協会の見識が問われる場面でしょう。


そして万が一、故意のリークだった場合。
日本代表の惨敗の責任が、自ら選んだ監督の失敗にあったことからマスコミと世間の目を逸らすためのリークだとしたら完璧なタイミングですね。これですでにジーコは過去の人になり、このリークが原因でオシムさんが代表監督を受けても受けなくても、川淵さんを筆頭とする集金マシーンには何の影響もない。オシムさんが受けてくれれば世間的な面目も保てるし、受けてくれなかった場合でも「オシムさんに頼んで断られたのならしょうがない」という世論ができる。どちらにしろ、今回のジーコ体制の失敗と、その監督を自らリードした自分の責任の所在問題は忘れ去られる。よくできたシナリオですね。
4年前のトルコ戦後には「監督がダメにした」と言い、今回は「選手の能力が足りなかった」と言う。便利な口だ。


どちらのケースを考えても、そろそろ決断の時ですね。過去の功績は功績として、日本協会から離れてFIFAの理事の椅子を狙うとか、アジアの要職につくとか、別の道にまい進していただきたい。
どのような形にしろ、4年前のジーコ監督の就任の目的と、それが4年間でどの程度達成できたのか、あるいはできなかったのかの検証を最低限お願いしたいものです。



そんな会長人事にこの人が立候補しています。
日本サッカー協会会長、立候補したい! FLORENT DABADIE BLOG
実際に外の人間にやってもらった方が、透明性が保てて良いのかもしれないと思ってしまいます。前回の代表チームに帯同していて、協会の良いところも悪いところも知っていて、それをさらに4年間外側から見てきた。本当に改革に対しどのようなアイデアがあるのか聞いてみたいし、今の協会閥がトップ周辺から去った時にどのような人材が入ってくるのかの方が今の会長の再任よりも魅力的です。
この話の実現の可能性は日本がブラジルに2点差以上で勝つのと同じくらいの可能性かもしれませんが、フローランさんだけでなく元サッカー選手で協会の外にいる方からもこのような声が多数上がってくれると良いなと思います。



そして大会前は”ファミリーだ”とか”まとまっている”と賞賛していたメディアから出てくるこのような話。
16人だけの寄せ書き―決起集会で露呈した温度差 スポニチ
あのチームをちゃんと見ていれば、大会前から空中分解していたことは普通に想像がつくと思うのですが。仲良しクラブはチームがまとまっているとは言わない。それは単に仲が良いだけ。ワールドカップ本大会という大きな仕事に臨むような緊張感があったとは思えませんでした。その原因が監督にあるのか選手にあるのか今は判断ができませんが、少なくとも大会が始まる前から他国よりも準備不足で突入してしまったことだけは確かなのではないでしょうか。
逆説的に言えば、あの無残な戦いが準備万端で行った試合だとは思いたくない気持ちもあります。



どのような形にせよ続投しないと自ら語っているジーコ体制はブラジル戦と共に終了したのですが、この4年間の失敗が監督の首を挿げ替えるだけで解決する問題だとは思えない。監督を代えて欲しいとはこの4年間ずっと思っていましたが、監督だけを代えれば状況は好転しても解決するわけではない。すべては、協会、監督、選手、メディア、サポーター、スポンサーその他サッカーに関わる人々が、いかに真摯に日本代表の強化と日本サッカーの発展に対し努力してきたか、その結果が素直にワールドカップという試合の結果に出るだけだろうと思います。結局のところ協会やスポンサーや多くのメディアや多くのサポーターはスターを並べるだけのチームに大筋で満足して同意してしまった。そのツケをドイツで払わされただけで、監督を代えたところでこの先4年間の結果が保証されているわけではなく、これらの真摯な姿勢は再び問われるものでしょう。まだ何も始まっていない。