中田英寿引退特別番組

まずは番組の内容についてよりも、このような番組が作れるくらい中田選手の周りでは引退に向けての準備というか、撮影が進んでいたことが恐ろしい。引退の発表は7月3日だったけど、この撮影は6月25日に行われていた?
周到に準備されたストーリー。


番組としては面白かったのですよ。でも、そこに選手として戦っていた選手が、あまりにも冷静にその試合を語られてしまっても少し違和感があります。物事を客観的に見られることが中田選手の良さかもしれませんが、同じ選手の立場なのに一段高いところから見られているような、他の選手はそんな感想を持ってしまうのではないかと思う。自由の代償が話し合いの不成立だったのですね。下げたい宮本、上げたい中田。結局最後まで答えは出なかった。
でも、それは出ないですよ、だって各自のサッカー哲学の違いですから。欧州でプレーしている選手と日本でプレーしている選手の詰める距離、フリーだと思う距離も違う。1m空けてもボールを戻す選手の多い国と、1m空いていればシュートを打つ国の違い。


ただ、2時間をかけて中田選手の真実だけを事実のように話されるのは違和感があります。同じ時間をかけて宮本選手の真実も聞きたいし、小野、稲本、小笠原、中田浩二選手の真実も聞きたいです。
で、たぶん23人全員に聞けば、23通りの真実が出てくる。本当は、それを目標の達成に向けて一つにまとめるのが監督の仕事でしょう。23人のバラバラな生い立ち、バラバラなプレー環境、バラバラな価値観を持つ選手たちを一つにまとめるのが優秀な監督。やはりその根源を放置した協会の責任は重い。選手の責任、監督の責任、協会の責任と比べて考えると、間違った方向に進んでいるチームを修正できる力を持っていたのは協会だけだった。何ら手を打たなかった協会の責任は、重い。