千葉 - 名古屋

この試合と「横浜FM 対 新潟」のどちらをテレビで見るのか迷いましたが、試合開始数分間の雰囲気でフクアリの試合を見ました。
ヴェルディと大宮に関連しないJリーグの試合を久しぶりにじっくり見ましたが、フクアリのピッチは随分と荒れてますね。マスコミには「走るサッカー」と一括りにされている千葉のサッカーですが、選手が走った先に正確なパスが出ないことには話は始まらないわけで、チームの目指しているサッカーがダイナミックで面白そうなだけに、ピッチが荒れ果ててパスミスにつながっているのは非常に残念でした。スタジアム単体で見ても、あれほどサッカーが見やすく良い雰囲気を作れるスタジアムであるだけに、芝の荒れ方は残念です。今年の梅雨の日照不足と屋根の日陰が影響しているのだろうと思いますが、どうぞ良いメンテナンスをお願いします。


さて、試合は名古屋の新外国籍選手のヨンセン選手に注目したテレビ中継が気になりましたが、試合が落ち着いてくれば確実に千葉ペースとなりました。試合開始直後は名古屋も中村選手などが積極果敢なアタックをしかけますが、千葉の選手の守りもしつこく、なかなか決定的なチャンスには至りませんでした。しかしそれでも試合開始直後の名古屋のサッカーを見る限り、「どうしてこのような順位で苦しんでいるのだろう」というのが正直な感想でした。それとも、前線に明確なターゲットマンができたことで全員の理解がシンプルな方向に統一された結果なのでしょうか。ボランチに入った藤田選手がこぼれ球を拾いボールを散らしているところからいいリズムが生まれているように見えました。


一方の千葉は相変わらず全員攻撃全員守備のサッカーを目指しているかのような、動きの多いサッカーでした。基本的なスタートポジションはあるものの、チャンスと見ればDFでもためらうことなく上がっていくし、ピンチならボールに近い選手から果敢に守る。名古屋に引かれた時間帯はDFラインのボール回しからの展開に苦労しているように見えましたが、名古屋がちょっとでも出てきた時間帯にボールを奪ったら、切れ味鋭い攻撃を仕掛けきります。この試合の千葉を見ていて、「仕掛けきる」というのが千葉の凄みなのかな、などと考えていました。「走るサッカー」ではなく、「走りきるサッカー」。チャンスと思ったら何となく走って止まるのではなく、ボールすら追い越して走りきる。
たとえそこにボールが入らなくても、その選手が走りきることで相手もついていかざるをえず、元の位置にはスペースができる。今度はその空いたスペースにさらに後方の千葉の選手が走りこんでくる。いつしか、千葉の選手が数的有利になっている。少ない手数で攻めきれるならそれも良し、攻めきれないなら走りきって局面での数的有利を作る。前半の千葉はいつでも得点が入りそうな雰囲気でした。


しかし時間が経過しても千葉に得点が入らず、「こんな展開で先制できないと、セットプレーからころっと名古屋に得点が生まれそう」などと思いながら見ていたら、案の定前半の44分に左からのクロスに対しピンポイントでヨンセン選手が走りこんで見事なヘディングシュートを決めました。サッカーは怖いね。判定で決まるスポーツなら『7:3で千葉リード』ぐらいの前半だったのですが、ハーフタイムのスコアは0−1です。サッカーは怖いです。



後半開始からは千葉が前半にも増して鋭い攻撃を繰り出し、あっという間に2点を取って逆転してしまいます。攻撃でボールを前に運ぶだけではなく、前半のボール運びにさらに鋭いシュートの意識を監督がハーフタイムに植え付けたのかな、そんなことすら思い起こさせる切れ味鋭い千葉の攻撃でした。
これでこの試合は千葉のものかと思いきや、名古屋の選手交代でまたまた試合が動きます。後半25分前後の玉田選手の投入で前線がさらに活性化した名古屋の攻撃に、今度は千葉のDF陣が翻弄されます。セットプレーの流れから玉田選手がゴールライン沿いをえぐり、中央へグラウンダーのクロスを送り込み、それを押し込んでまずは同点。さらに3分後にヨンセン選手が今日2得点目を決めて逆転してしまいます。サッカーは怖い。


これでさらに猛攻を仕掛けた千葉でしたが、名古屋も鋭いカウンターを繰り出し、一進一退の白熱した攻防が続きます。試合終盤は立て続けに名古屋の選手ばかりが傷んでしまい、良いゲームを締めくくるには物足りない印象になってしまいましたが、どちらのサポでもない私が見てもとても面白い好ゲームでした。でも、負けたチームのサポから見たら好ゲームでは納得できないのでしょうね。いくら良い試合でも勝ち点がついてこないと納得できないのかな。しかし、ヴェルディのサッカーを見慣れた目には、千葉のサッカーは100年進んだサッカーに見えました。100年はオーバーか(笑)。