日本 - トリニダードトバゴ  新たなる旅立ち

helguera2006-08-09

国立競技場に行ってきました。
いや、楽しいサッカーでした。選手が走るサッカーというのがこれほど面白いものだったということは、代表チームに限っては4年近く忘れていました。攻撃でも守備でも素早く切り替え、動く。攻撃の時は空いているスペースに動くし、守備の時は相手選手に詰める動きをする。とにかく、選手がひと時も休まず、動く。3番の選手は時々サボっていることもありましたが、それでも14番を着けていた時と同じ選手とは思えませんでした。


試合に入る前に、練習の時点から前の代表とは選手の動きと緊張感が違いました。フィールドの選手はビブスなしと赤ビブスと黄ビブスに別れ、全員が始めから激しくボールを奪い合う。選手の顔や名前から、ビブスなし組がスタメンの守備ユニットだろうという想像はつきましたが、それでも誰がスタメンで誰が控えかは練習からは分かりませんでした。以前のようにスタメン組だけがピッチ中央でボールを追い、控え組は端っこで笑いながら鳥篭をする、そんな緩い雰囲気はピッチのどこからも感じませんでした。時間的にはスタメンを告げられているとは思いますが、全員が先発するような、そんな緊張感のある練習でした。


試合については簡単に。時間のない代表チームの常套手段として、調子の良い強豪クラブからユニットごと選抜して使うという浦和組がとにかく機能していました。4バックのDFラインに左から田中闘選手と坪井選手。その前の中盤の底に鈴木選手と長谷部選手。左のMFに3番を背負った三都主選手。前線には田中達選手。そして右のMFには元浦和の山瀬選手。これだけ7人も浦和系の選手で固めれば、急造チームでもある程度の連携は作れますね。今まではそんな簡単な常套手段すら久しく忘れていました。
古くは松永、井原、柱谷哲選手をユニットで使ったり、西沢と森島選手をコンビで使ったり。そんな短時間でも選手の最大限の力を発揮させ得る方法ですが、それでも代表チームとしてのパフォーマンスはドイツに行った代表チームを凌駕していたように感じました。


そんな中央ブロックに右SBとして田中隼選手。左SBには駒野選手。この2人が堅実な守備とここぞと言う時の効果的なオーバーラップでサイドを駆け上がる。足元にボールを貰うのではなく、スピードに乗ったまま前のスペースに出されるボールも素晴らしいのですが、それでも前に出ると信じて駆け抜ける両SBも素敵でした。たった一人でも適正でない選手が守備にいると、その選手を過剰にカバーしなければならないあまり、周囲の選手の意識もその選手に引っ張られてチームがゆがんでしまうことはこの4年間で充分に学びましたが、バランス良く適切に選手を配置すると、こうもスッキリとボールが動くのかと言うのは、これも久しぶりの感触でした。三都主選手の2点目も、あれほど長距離を走りこむのは田中達選手だと思ったのですよ。でも、適材適所に選手を配置し、きちんとモチベーションコントロールをすれば同じ選手がこれほどまでに見違える動きをする。監督の存在と能力は、これほどピッチ上の選手に影響を及ぼすのかと感じました。


試合についてはおおよそOKな感じでしたが、気になったのは坪井選手の足のスタミナ。あれぐらいの時間で足が攣るのが続くと、スタメンとして使えるのか疑問がわいてしまいます。公式戦の交代枠3人のうちの1人を坪井選手用に使うのは厳しいですね。今回はすべてのクラブから選手を選べませんでしたし練習時間も3日間でしたから難しい部分もありましたが、9月初旬のアジアカップ予選アウェイ2連戦の時はどのようなDFの選手を選ぶのか興味深いです。


また、新監督最初の試合ということで、選手たちも開始からフルパワーで試合に入りましたが、後半は動きの量が落ちているように感じられました。これは千葉の試合でも感じることですが、動きのいい時間帯に先制し試合を決められれば良いですが、惜しいチャンスを外し続けると後半に動きが落ちたところを相手に疲れてしまいます。かといって省エネサッカーではオシム監督の目指すサッカーは実現できないと思うので、運動量とスタミナ持続時間のバランスを、どのような方法で帳尻あわせをするのかも興味深い。
試合についてはビデオを見直してからじっくりもう一度味わいたいと思いますので、このぐらいで。


試合終了後ですが、前からこちらでも取り上げていた『川渕会長にレッドカードを!』のデモに参加してきました。集合場所の日本青年館に着いたときには、もうすでに広場に集まるサポーターを囲むように取材陣が取り巻いてしまっていたので、広場を出発してから列の中程に合流しました。
思っていた以上の人数が集まっていて(ざっと300〜400人ぐらいでしょうか)、当然集まった皆がそれぞれのクラブを応援している人たちなので、コールの声も大きく迫力のあるデモ行進となりました。


最初のうちは「川渕 辞めろ!」という単純なコールだったのですが、途中から「川渕 辞めろ! Jリーグなめんな!」に変わり、外苑西通りに入った頃は浦和の応援歌の替え歌で「辞めろ! 辞めろ! 川渕辞めろ!」と歌ったり、横浜FMの応援歌を使って「川渕 辞めろ〜!」と歌ったり。打ち合わせもない烏合の衆でも、同じJリーグを応援している仲間として、相手チームの応援歌でもすぐに替え歌が合ってしまうところは、妙な感動がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=guuK_hLz2pg


今回のデモが即川渕会長の動向に影響するほどの大きな圧力になるとは思いませんが、川渕会長に今までのように好き勝手をさせないための圧力となり、何かを変える第一歩になればと思います。サッカーや代表チームは、一部の協会個人とスポンサーのために存在するのではなく、すべてのサッカー選手とサポーターのために存在する。そんな当たり前の姿に戻る第一歩になれば良い、そんな心境です。