サッカーダイジェスト山内編集長、離任。

ドイツワールドカップ以降、唯一に近い形で協会批判を展開してくれたサッカー専門誌サッカーダイジェストの山内編集長が離任するとのこと。詳しい事情はご本人と実際の会社の人しか分からないことでしょうが、サッカーダイジェスト9.5号(NO868)の123Pのコラムを読みました。
必死に行間を読もうとしましたが、結局のところ、本当の理由は分かりません。しかしその文章からは、何かをやり遂げた清清しさよりも、志半ばで離れることになった無念さの方を感じてしまいます。


以下、一部引用させていただきます。

伝えたかったのは、サッカーはピッチの上だけではない、ということ。サッカーのある生活と風景、そこに集う人々の、この素晴らしきスポーツを愛して止まない想いを表現したかった。いまやサッカーが大きな利益や利権を生み出すビックビジネスであるのは紛れもない事実だけれど、それでもサッカーは誰のものでもない、それを愛するすべての人々のものだという、当たり前ながら失われがちなものを、青臭くても書き綴って生きたい。それが私のスタンスだった。


山内編集長にとって、現在の日本サッカー、ひいては日本代表は”誰のもの”に感じられていたのでしょうね。このコラムに挿入された写真が『川淵会長にNO』と書かれたデモの写真であることは、意味深です。

8月9日に行われた川淵会長の解任を求めるデモの始終を見届けた。その是非の議論もあるようだが、デモに参加したサポーターやファンの、サッカーは「誰か」のものではない、との意思表示に大きな意義を感じた。愛するサッカーと、サッカーのある生活を守ろうとする多くの人々の想いに対して、今後も報じる側としてほんのわずかでも響き合い、応えていけたらと思っている。


今後どのような場で山内氏の言葉や文章に出会えるのかは分かりませんが、これからも氏の活躍できる場所があり、”健全な批判”というものを許容できるサッカー界であることを願ってやみません。


最後に、同じページに掲載されている山内氏と時を同じくしてサッカーダイジェスト誌を離れる日野編集部員の文章も一部引用させていただきます。

これから日本サッカーをより良くしていくために、日本代表を強くしていくために、もっとみんなが健全な批判精神を養わなければ。もちろん、何がなんでも噛み付けばいいというわけではない。さっきも言ったように、良いものは良い、悪いものは悪いということ。そのための判断基準を提供するのがメディアの役割だし、特に専門誌にかかる期待は大きい。今まで以上にダイジェストの批判力が必要になると思う。


今号をもって編集部を離れる両氏のこれからの活躍を願うと共に、これからのサッカーダイジェスト誌が”健全な批判精神”を持ち続ける良質なメディアとして存在し続けられるのかどうか、見守りたいと思います。


サッカーは誰のもの?