信じろと言われても。

まずはじめにヴェルディというクラブフロントの方が、チームが不振にあえぐ中でも個人的意見とはいえ、現在の思いや考え方を発信し続けてくれていることには、非常に感謝しています。チームが好調で連戦連勝ならBlogを書くことも楽しくできるでしょうが、昨シーズンから続く低迷したチームの状況で、それでもなお書き続けることは苦痛を伴うだろうし、強い気持ちが必要でしょう。
繰り返しになりますがそれらを踏まえた上で、それでもなお”意見を発信してくれていること”には、感謝しています。しかし、意見の内容には残念な気持ちを覚えます。


チーム一丸に 栄光への道 8/28 ヴェルディ取締役 田中尚雅 さん
夏休みも終わり 栄光への道 8/29


8月28日のエントリーでは『クラブのフロントや選手だけでなくサポーターも一丸であるべき』と訴え、29日のエントリーでは『最後まで信じてくれる人たちとともに戦う』と信じない人を切り捨てています。信じることは必要だし、信じることが生み出すパワーというのもあると思います。そして、そのことは一面では正しい。


しかし、ヴェルディサポとヴェルディフロントの間には、昨シーズンから積み重なってきた不信感が前提としてあると思います。昨シーズンのJ1からの降格そのものではなく、そこに至るまでのアルディレス監督解任後の後任監督が適切だったのかとか、昨シーズンの途中加入の外国籍選手が適切だったのか。降格決定後にサポーターが1シーズンでの再昇格を目指そうと気持ちを切り替えている矢先の、シーズンオフの選手の大量放出への不信感。J2の新シーズンを戦うべく選んだ新人監督の是非に対する不信感。新シーズンに向けての獲得選手が適切かどうかへの不信感。今シーズン途中にも関わらず、外国籍選手が入れ替わるという事態を招いている外国籍選手補強策の失敗に対する不信感。そして最大の不信感が新監督の選手起用方法や采配に対するもの。


私はまだしていませんが、先日の国立競技場での柏戦ではヴェルディ側からもラモス監督の紹介に対してブーイングが聞こえました。昨シーズンのシーズン途中の監督交代による失敗を考えれば、一概に監督交代が正しいとは思いません。しかし、上に書いたような様々な不信感が払拭できていない現在、ただ「クラブを信じろ」と言われても素直に信じられるものではない。「信じろ」という言葉で信じられるわけではなく、信じられるに値する行動をクラブが取っているのかどうかが問題だと思います。
行動とは昇格に向けての納得できる選手補強であったり、納得できる監督選びであったり、結果の出る外国籍選手の補強であったり、クラブと監督のコミニケーションであったり、クラブとサポーターのコミニケーションであったり。それらの形に見える行動がない限り、現状では信じることは簡単ではないと思うのです。


クラブと監督のコミニケーションが現在本当に取れている状況なのだろうか。1試合ごとに使う選手にまでクラブが監督に言及してしまったら、それは監督に対する内政干渉になってしまうと思いますが、例えば各クール毎に話し合いを持つとか、連敗が続いた後に話し合いを持つとか。勝敗は時の運にも左右されますからしょうがない部分もありますが、今シーズンのヴェルディを見ていて、チームの選手起用の一貫性のなさには呆れ返っています。数試合同じ選手を使って、その間にチームが負ければ選手を変える。DFにしてもMFにしてもFWにしても、誰を育てようとか、誰を柱にしようという意志は、平本選手に対するもの以外は見えてこない。
クラブにもクラブの様々な事情があって、買える選手にも限りがあると思いますが、クラブの獲得している選手と監督の使う選手を見ているときに、本当に両者の意思疎通がうまくいっているのか疑問に思います。というより、クラブが監督に対して意見が言えない状況になってしまっているのではないかと危惧します。


選手や監督やクラブ職員はクラブに雇われている立場ですから、ある程度の理不尽があっても「信じろ」と言われたら立場上信じるしかないでしょう。しかしサポーターやファンはクラブを構成する要因としては同じでも、それらの人々とは立場が違う。お金を払って試合を見に行くのです。それには、払ったお金に見合う満足感が必要でしょう?
自らのお金を使い、手間と暇をかけてスタジアムに集う。勝敗は時の運もありますが、それでも負けても納得できる試合を見せなければ、お金を払う人は減るし信じる人も減るでしょう。

  1. 内容の満足できる勝ちゲーム
  2. 内容には満足できないけれど勝ちゲーム
  3. 内容の満足できる負けゲーム
  4. 内容の満足できない負けゲーム

勝負事だから常に満足できる結果が出るわけではないけれど、少なくともお金を払って見に行く以上、3番目以上の試合が見たい。例え4番目のような試合だったとしても、チームが正しい方向に進んでいると思えることがあれば我慢もできますが、迷走するチーム状態の中で4番目のような試合を見せられれば、そこには「信じて欲しい」という言葉だけでは超えられない問題があると思います。


今日の試合は次につながるのか。次につながると信じられれば負けゲームにも耐えられる。しかし、今年のヴェルディの戦い方は継続性が感じられない。毎試合リセットされて、新しいテストが延々と繰り返されているように感じます。今シーズンを考える時に、シーズン開幕から現在までで、ヴェルディの中の成長した部分って、何か思いつきますか。選手個人でもいいし、チーム全体でもいいのですが、開幕時点よりここが進歩した、ここが強くなったという部分。私は斉藤将選手の成長と両サイドバックの補強ぐらいしか思いつきません。


昨シーズンの迷走、シーズンオフの迷走、そして今シーズンの迷走を見せられていると、言葉だけでは信じられないのです。そんな信じられないクラブを簡単に捨てられるのなら話は早いのですが、そうもいかないから質が悪いし、話がややこしくなるのですけどね。
言葉よりも行動が必要なのは、クラブではないでしょうか。クラブのフロントは有効に機能しているのか。クラブが良い結果を残すために唯一直接的に行動できるクラブフロントの方から”気持ち”や”信じる”という言葉を連発されると、余計に不安になってしまいます。だって、言い方を変えれば”信じること”という気持ちの問題以外に打つ手がないと告白しているのと同じですからね…。