サウジ戦雑感

少し時間が経ってもサウジアラビアが強かったとは思えないのですよね。そりゃ弱くはなかったと思いますが、サウジについてよりも日本の拙さが見えてしまう試合だったように思っています。メディアは「走るサッカー」などと単純に表現していますが、私はオシム監督が率いていた千葉の試合から感じていたことは、攻守の切り替えの時に、『ボールを奪ったら、周囲にいる体勢の良い選手が思い切り良くタイミング良く攻めあがっていくサッカー』であり、『ボールを奪われたらポジションに関係なく近くにいる選手が相手選手をつかまえてマンマーク気味に守るサッカー』であると理解しています。


もし、オシム監督が表現している”日本化”したサッカーの目標像が千葉と同じようなスタイルであるならと仮定するなら、サウジ戦の日本代表は攻守に亘って実現できていませんでした。「サウジが強かった」とか、「サウジに負けた」という印象よりは、「自分達が目指すサッカーと現実が遠かった」ショックが強いですね。マイボールになった時に、ボール奪取ポイントの周囲にいる選手がボールを追い越していくことで攻撃のスピードが生まれ相手ゴール前での数的有利が生まれる。『ジェフの黄色いユニの選手がゴール前にわいてくる』などと言われていたように、相手にとって予想外の早いタイミングで選手が攻めあがってくることが、オシム監督の目指すリスクを冒したチャレンジなのではないかと想像しているのですが、それに比べてサウジ戦は…。


そのようなタイミングで複数の選手が走れなかった原因が、コンディションの問題なのかそれとも意識の問題なのか外部からは分かりません。しかし、ボールと選手が停滞した時間が多かったのは残念でした。守備についても、「とりあえず自分のポジションに居ればいいんだ」というアリバイ守備が見かけられました。そうではなく、自らリスクを冒してでも危険な場所に急行する守備をしなければ、攻めあがってポジションを崩す可能性の高いオシムサッカーでは守りきれないと思います。
代表チームという急造チームの中で、限られた時間でどのくらいの完成度を求めるのかという問題はありますが、それでもサウジ戦を見た限りでは、「道は遠いなぁ」というのが正直な感想でしょうか。