Jリーグを見殺し…

少し旧聞に属しますが、こちらのコラムについて。
Jリーグを見殺しにしていいのか  大住良之 さん


書いてあることは至極もっともだと思うのですが、このコラムの時点でJ2は見殺しにされているし(笑)、すでに過去に自分でもエントリーを書いているので読んだ直後には感想を書きませんでした。
見出し  拙ダイアリー8/21
見出しから考えるサッカーメディア論(というほど立派なものではないけど…)  拙ダイアリー8/25


しかし、こちらで敬愛するケット・シーさんがこのコラムについて触れているので、備忘録的に少しだけ。


「地域密着を理念とするJリーグを全国放送で扱うための切り口として、現在の日本代表ブランドに頼るだけではなく、ビッグクラブという道もあるのではないか。」という提言だと思うのですが、確かに大都市圏にビッグクラブという存在があっても良い頃なのではないか、と思います。人気があって、実力もあって、資金力もあって、それに見合う大きなスタジアムもある。関東に一つ、関西に一つ、あとは東海に一つぐらいあればいいのかもしれません。巨人、阪神、中日ではないけれど、浦和、G大阪、名古屋などが考えられるのかな。サッカー少年やサッカー選手が『いつかは○○でプレーしたい』と思ってしまうほどの人気クラブ。そして近隣のクラブは打倒ビッグクラブに執念を燃やす。
そのような健全な対立関係が出来上がれば、知名度的にも取り上げる切り口的にももう少し日本代表ブランド以外の見方ができるのでしょう。


スペインで例えればバルセロナレアル・マドリーがあり、バルセロナにはエスパニョールが闘志を燃やし、レアル・マドリーに対してはアトレチコ・マドリーが闘志を燃やす。もちろんクラシコと呼ばれるバルセロナレアル・マドリーの直接対決は盛り上がるし、この2クラブを差し置いて虎視眈々と優勝を狙っている強豪クラブも存在する。現在の日本のように各クラブの力関係が拮抗し、昨年優勝争いをしたチームが今年は降格争いを繰り広げてしまうような戦国リーグも面白いかもしれないけれど、ある程度各クラブの住み分けができているとドラマの設定じゃないけれど、視聴者が安心して見られるパターン化が図れるのかもしれないと思います。水戸黄門の印籠や遠山の金さんの桜吹雪ではないけれど、安心して受け入れられるある程度のパターンがあって、時にそれとは違う結果が出るとより熱狂する。そのほうが伝える側も伝えやすいのではないか。


今まではそのパターン化を三浦カズとかラモスとか中田ヒデとか小野伸二とか中村俊輔とか、選手個々のキャラクターに頼ってしまっていた部分があるのではないか。こんな場面でカズならこうする、ラモスならこう言う、ヒデならこんな服を着る(嘘)、小野ならこんなパスを出す、中村ならこんなFKを蹴る…、選手個々のドラマ性に頼っているうちは、スターシステムでプレー以外の部分も取り上げないとうまくいかない。しかしJリーグがスタートして13年が経過し、各クラブそのものがもっとキャラが立ってきて、各クラブそのものにドラマ性が備わってくれば、今の選手個人寄り日本代表ブランド力頼みの切り口から、少しは試合そのものの切り口に変わってくるのではないか。そんなことを考えてしまいました。
ビッグクラブが存在する世界になれば、またそれなりの弊害も出てくるのだと思いますが、やはり”クラブがあってこそ”のその国のサッカー文化だし、”リーグは代表よりも大事にされる”ことが当たり前だと思うし、「まずはじめにクラブありき」という姿勢の中での全国区での報道の切り口というのは、奥が深い問題ですね。