エル・ゴラッソ 山内元編集長インタビュー 後編
エル・ゴラッソ9/22号に掲載された前編に続き、昨日発行の9/28号に山内元サッカーダイジェスト編集長のインタビュー後編が掲載されました。
−−W杯後のことをうかがいます。
「僕があれを書いたのって、特に協会がどうのこうのとか、考えてなかったです。そこまで。ちょっと書き過ぎたかなって思ったんですけど、最後の方にきて。これでみんなが言われるのは嫌だなと」
−−媒体が。ダイジェストが。
「はい。だから、ちょっと結びがあんなに偉そうになったんですけど。『これは私の責任において、私の意見として』と。俺はそう思ってるよというのを強調したかっただけなんですけど、ちょっとかっこいいふうになっちゃって。だから、無力感、なんじゃこりゃというのが素直に出ちゃったのかなというところがあって。本当は、そんなにダイジェストだけが批判したとかいうのはそれこそ後付で、そうなるとも思ってなかった。いろんなところから、なんじゃこれはというのが出るんじゃないかと思って」
−−なるほどねぇ。
「だから、出た後で、あれ、意外と誰も言ってないんだなというのがあって。でも、なんで言わなかったのかなと純粋に思いました。逆に」
−−オフサイドトラップにかかった?
「本当にそんな感じはしましたよね。その最初の批判の文章を書いた号は6月29日発売だったんですけど、試合自体はもう終わってますけど、本当は26日発売号で書きたいなと思って。そうしたら川淵さんが帰国してなんか言うから、それが24日だから、それを聞いてからじゃないと逆にフェアじゃないかなと思ってたら、あの失言問題とか、総括しないとかトンチンカンな姿勢があって、ジーコ会見もありまして。あれ!? なんだこりゃと。それを素直に書いただけなんですけど、本当にそれが圧力とかに関わるものだという意識がなく、普通なもんだと思ったんですけど、そういうもんでもなかったんですね」
−−圧力ってどうなんでしょう?
「たしかに新聞はやりづらいのかもしれないですね。僕も新聞の世界は分りませんが」
−−協会批判を書いたその時点では、山内さんは辞めようと思ってたんですか?
「辞める辞めない、書いてやるぞ、批判してやるぞ、というよりも、むしろ僕らの代表が、W杯がああいう形で終わり、それをこう、ないがしろにしようとしている人たちが、協会の上のほうにいるらしいぞということのほうが大きくて、その時点で、8月とか9月に辞めようというのは、さっき言った、自分の6年間やってきたこととか、それで、雑誌も自分もリフレッシュしたいと思っていたのは事実ですけど、辞めちゃうから書いちゃおうとか、書いて辞め逃げみたいな形になっちゃったかもしれないけれど」
−−そういう意識はなかったと。
「なかったですね。むしろ、あのW杯を見て、みんなはどう感じたんだろうという。ファンの人たちと、同じ目線なんじゃないかなと」
−−その後、どう感じていますか?
「それはいまだに、なんでかなと思ってます。例えば、6月29日発売のウチのその前に出ていてもおかしくない話しだし、そう思っているんだとしたら、なぜ書かないのか。代表を取材している人はもの凄くいますよね。だから、そういう人たちが書いていれば、その後ネットで騒がれることもないわけだし。逆に悩みましたよ。自分が違う感覚なのかと」
(エル・ゴラッソ9/28号より、一部引用)
この文章の後は、その後のネット上での騒動や、サッカー専門誌の編集長としての批判記事を書くことの責任など、また今後のサッカーダイジェスト誌についてなどを語っています。
インタビューの中でも語られていますが、ダイジェスト誌が書いたことより、他の媒体がほとんど批判を書かないことがもの凄く異常なことだと今でも思います。結局、結果についてすら批判ができないのなら、内容や過程での批判など望むべくもない。情けないぞ、日本の評論家。
さて、ここのところエル・ゴラッソを買う数少ないモチベーションになっていた”えのきどいちろう”さんのコーナーですが、この記事をもって連載終了となるそうです。ますます買う理由がなくなってしまう…。