柏 - 東京ヴェルディ

helguera2006-10-14

柏の葉公園総合競技場へ行ってきました。
柏には行ったことがありましたが、日立柏サッカー場だけしか行ったことがありませんでした。ということで初体験の柏の葉でしたが、今までに行ったことのないスタジアムに行くのは楽しいですね。日立柏からホームを移転するしないで揉めた記憶があったのですが、行ってみれば良いスタジアムでした。柏の葉が悪いというよりは、日立柏サッカー場が良すぎるのですよね。
秋の空がとても高く澄んでいて、日向は程よく暖かいけれど、日陰は少し肌寒い。風がホーム側からアウェイ側に吹きぬけていてメインスタンドの屋根の下に座っていると寒いくらいでした。ヴェルディ好きにとっては、試合も寒いものでしたが…。


第4クールに入って調子が上向いてきたヴェルディでしたが、結果はともかくこの試合も試合の入り方はとても良く感じました。コンパクトな陣形から相手の選手に対しそこそこ激しくチェックにいく。シーズン初めの頃のように、相手の攻撃を”ただ立って見てるだけ”という状態はまったくなくなりました。中盤や柏のFWに入ったボールに対し、ボランチに入った富澤選手やCBの萩村選手が積極的に前に潰しに行く。前線からは広山選手が下がってきて守備にも参加する。ヴェルディに得点が入る気配はありませんでしたが、失点の心配もないだろう…、そんな立ち上がりでした。『こんな試合がせめて第2クールからできていれば…』と考えてしまうほど良い感じでしたが、かなり遅すぎました。


しかし、そんな上下にはコンパクトに対応できるようになったヴェルディの守備も、柏の左右のゆさぶりにはあっさりと破られてしまいましたが。ヴェルディから見て左サイドの柏の攻撃に対し、中盤のマルクス選手と左SBの石川選手のポジションがかぶり、相手の突破をあっさり許してしまった石川選手。この場面では悲しいほど守備が軽く、そこを自由に突破された瞬間に失点を覚悟しました。ドフリーで入れられたクロスは何とか高木選手が弾き返しましたが相手の選手ともつれ、ゴール前が混乱しているうちにもう一度シュートを浴びてゴールマウスを割られてしまいました。


でも、この失点を見ても、前半が0−1のままでいければ後半に何とかできるんじゃないか、そんな安心感をもって試合を見ることができたのは、先ほども書きましたがシーズン初めに比べれば大きな進歩ですね。パニックになることもなく、また再び試合を進め始めたときは大丈夫だと思ったのですが…。
そんな安心感も柏の左右に大きく展開する攻撃の前に木っ端微塵に吹っ飛ばされました。カウンター的な早い攻撃に対し、潰し所を見つけられずにズルズル下がるのはヴェルディ守備陣の弱点なのですが、それでも縦にだけのカウンター攻撃なら何とか止められました。でも、今日の柏の攻撃は縦に早いだけでなく、大きくクロスを入れてヴェルディの守備陣を左右に振ってきたので、逆サイドやもう一度折り返されるとヴェルディの守備陣は為す術なしって感じでした。4バックがうまく左右にシフトして動くとか、中盤もサイドを埋めに来るとか、そんなシステマティックな守備は一切なし。特にヴェルディの左サイドは途中から”見てるだけ”になってしまいました。


終わってみれば1−4の完敗でしたが、得点差よりも中盤から前線の守備のやり方に両チームの成熟度の違いを強く感じました。相手を前に行かせないことを主眼にしているかのようなヴェルディの守備に対し、柏の攻撃はヴェルディのボールを奪いに来る強い意志を感じました。前線の選手も中盤の選手も、激しく早くヴェルディの選手を囲い込み、ボールを奪って攻撃につなげる。ボールを奪えなくてもヴェルディのパスコースをバックパスだけに限定してしまう。この試合でヴェルディは何本GKの高木選手にバックパスを出したことか。中盤の攻防で勝負の行方はほとんど見えていたのでバックパスが多くても腹も立ちませんでしたが、柏もヴェルディも今年からJ2で戦うというスタートラインは同じだったはずなのに、半年で大きくチーム力の差をつけられてしまいました。選手の差なのか、監督の差なのか、それともクラブの差なのか。
少なくとも、守備の構築に関する監督の差は大きくありそうでした。


試合結果は残念にも一方的な展開になってしまいましたが、それ以上にびっくりしたのが柏に得点が入っても悔しいという気持ちが自分に湧いてこなかったことです。クラブとしては昇格を諦めたなど口が裂けても言えないでしょうが、自分の中では今シーズンはすでに終わっていることが、今日の試合を見ながらはっきりと分りました。今日ピッチに立っている選手の中で来シーズンもヴェルディにいる選手は何人いるのかな…、などということも考えてしまいました。
とにかく、来シーズンこそ本当の意味での昇格レースに加われるよう、監督なのか選手なのかまともな強化をして欲しいものです。