日本 – サウジアラビア

helguera2006-11-15

札幌ドームに行ってきました。
北海道は過去に何度も来たことがあるのですが、札幌ドームは初めての訪問だったので非常に楽しみにしていました。午後を札幌市街地の観光にあてて、夕方5時過ぎに札幌駅近くのホテルを出て地下鉄で札幌ドームに向かいました。


地下鉄の終点で降りれば徒歩10分ちょっとと聞いていたので、『埼玉高速鉄道埼玉スタジアムのような位置関係かな』と思いながら行ったのですが、地下鉄の駅も降りてからの歩道も4万人規模の人々が一度に集合し一気に解散することを考えられていない細さで驚きました。スムーズに人を裁けるのはせいぜい1万人前後だろうと思われる貧弱な人の動線でしょう。試合終了後には混雑が予想されたので30分以上ビールを飲んで時間を潰したのですが、それでも地下鉄に乗る人で歩道は大渋滞。遥か昔に行った静岡エコパから愛野駅への大渋滞を思い出しました。


そんな貧弱な札幌ドームへの動線でしたが、一歩中に入るとそれはもう快適! 外ではコートを着て息が白くなるほどの寒さなのに、中にいればTシャツ1枚でちょうど良い涼しさでした。自然とともに行うのがサッカーの基本かもしれませんが、一人の観戦者としては非常に快適なスタジアムでした。今日はバックスタンドホーム側25列付近で見ていたのですが、傾斜も適度で非常に見やすい造りでした。ピッチにも適度に近く、観戦環境は非常に良かった。ただ、後半のある時間帯で“大熊ヴォイス”がバックスタンドまで直接聞こえたのには驚くやら呆れるやら(笑)。


試合については…結果的にスコアだけ見れば完勝なはずなのですが、どうも見終わった率直な感想は押されていたというものに近いですね。日本とサウジ、アジアの中では力を同じくする列強かもしれませんが、目指しているサッカースタイルは日本の方が理想が高いのだろうと思います。しかし、守ってカウンター攻撃の場面ではサウジの攻撃は鋭いし、後半のボールをキープしている時間帯でもサウジの選手は足元のしっかりした技術も持っているし、やはり隙を見せたら怖い相手です。ただ、日本がピッチコンディションとフィジカルコンディションの2つを高いレベルで維持できる試合なら、やはり日本の方が強いのだと感じました。驕りは禁物ですが、それでもやはり負ける相手ではないというのが正直な感想です。


その日本ですが、スタメンの発表から頭の中に「???」というマークが浮かぶような、相変わらずのオシム流スタメンです。川口選手はいいとして、フィールドプレーヤーの発表で、「三都主、加地」ときて『ふーん、手堅い両サイドだ』と思ったら次に「駒野」ときて、あれ? 「田中闘、今野、阿部」は3バックだと思ったのですが、駒野をDFで使って今野か阿部をボランチに使うのか?などと考えてしまいました。「中村、鈴木、巻、我那覇」という辺りは素直に分かったのですが、試合を始めてみるとこんな感じだったでしょうか。


__我那覇__巻__
__三都主_中村__
駒野______加地
____鈴木____
_今野_田中_阿部_


DFはマンマークだったと思うので位置は流動的ですが、ことのほか左サイドの三都主選手と駒野選手の連携がうまくいっていたように感じました。サイドにいるとそこでリズムが詰まってしまうことも多い三都主選手ですが、今日はスタートポジションが中央寄りということで、三都主選手のところにボールが入りそうになると、入る前に駒野選手がタッチライン沿いを全力で駆け上がっていく。そこに三都主選手からタイミングの良いパスが通る場面が何度か見られました。左右のサイドができる駒野選手ですが、三都主選手との併用がここまで効果的とは思いませんでした。


また右サイドの加地選手も久しぶりに見たような気がしますが、やはり良い選手ですね。DFからの長いサイドチェンジのパスから突破を図ったり、左サイドの駒野選手よりも奥深くまで相手のゴールライン沿いに切れ込んだり。やはり日本代表に加地選手が加わるとストロングポイントが一つ増えるような気がします。
また前半の攻撃は中央の中村選手に早い段階でボールが収まると、そこからサイドチェンジのパスが出たり一度タメを作ってから裏へのパスを狙ったりと攻撃のリズムを作り変化を生み出していたと思います。


ただ、後半のある時間帯から中央の選手が消耗したせいか中村選手までボールが入らなくなり、3バックと鈴木選手だけでボールをまわすことになると、まったく日本のボールが前に進まなくなってしまいました。前線の選手や中盤の選手の疲労もあったかもしれませんので、前線などの受け手の運動量不足の側面もあるのでしょうが、日本の後ろ4人に対しサウジの前線が3人寄せてくるだけでリズムが作れなくなってペースを明け渡してしまうのは情けなかったです。


川渕会長に「下手なんじゃないか」と名指しされた巻選手ですが、やはり得点に絡む仕事だけでなく前線での潰され役や中盤の守備が劣勢になると自陣ゴール前まで戻って守備をするなど、チームにとっては必要だし有効な選手ですね。元日本代表の選手でもあり監督でもある会長はどこを見ているのでしょうか。
ただ、日本が常に先手をとって優位に試合を進めた今日の戦いでしたが、オチがあんなものだったとは…。田中選手がボールを持っている時から、『うわっ!』と思っていたのですよね。『初代表のFWの高松選手に蹴らせれば良いのに…』と思いながら見ていましたが、譲るような性格じゃないですよね。蹴り終わった後、こちらまで大きくズッコケてしまいましたが。