天皇杯 浦和 - 磐田

helguera2006-12-23

埼玉スタジアムに行ってきました。
スタジアムでサッカーを生観戦するのは1ヶ月ぶりでしたが、やはりスタジアムで見るのはいいですね。テレビで見るのと何が違うのだろうと考えるのですが、暑さ寒さやテレビ局の手の入らない現場の音声や歓声が肌で感じられることでしょうか。テレビの画面には映りきらない位置にいる選手が走っているか立っているか、そんなものも見ることができますね。スタジアムで見るサッカーは面白いです。


天皇杯という中立のカップ戦にもかかわらず、なぜ浦和のホームである埼玉スタジアムで行うのだろうか、やはり日本サッカー協会は集客が最優先なのだろうか、そんなことを考えながらスタジアムに行ったのですが、天皇杯の決勝は東京の国立競技場と決っているわけで、関東以外のチームが決勝まで勝ち上がると、結局はアウェイと同じような環境で戦うのですよね。ただ、関東圏などという同じ地域で行われるならともかく、モロにどちらか一方のホームで行われると言うのはフェアなのだろうかと考えてしまいます。


そんなしょうもない悩みとは無縁とばかりに、試合は開始から磐田のほうが優勢に進めているように感じました。浦和はワシントン、三都主、田中闘選手が欠けているせいか、前線でボールが収まりません。浦和の前線では永井選手が独特の間合いでうまく動いてボールを受けようとするのですが、やはりワシントン選手ほどの恐怖感は感じませんでした。これは浦和が得点するのは大変かも…と感じてしまいました。


対する磐田は浦和の攻撃をうまく受け止めつつ、中盤から前線の両サイドの裏を目がけて縦に長いボールを出したり、福西選手が起点となって中央突破を試みたり、とても攻撃が多彩でした(但し、中盤の選手の足が止まるまで…でしたけど)。これは磐田が得点するのも時間の問題だろうと思いながら見ていましたが、やはり磐田が先制しました。
磐田の左サイドからのクロスを中央で跳ね返した浦和のDFでしたが、その跳ね返したボールが右サイドにいたフリーの磐田の選手の元にこぼれました。誰だか分らなかったのですが中央から浦和の選手が慌ててプレスをかけに行ったのですがその前に再びクロスを入れられてしまい、中央でドフリーになっていた前田選手に頭で決められてしまいました。揺さぶられたというか、二次攻撃にやられてしまった印象でした。


磐田が1点リードのままハーフタイムに入りましたが、浦和は攻撃のてこ入れをしないと厳しいなと思っていました。そして後半の開始から小野選手が投入されました。これで浦和がボールをまわせるようになるかもしれないと思ったのも束の間、カウンター気味に磐田の攻撃が決り、右サイドの突破から中央へショートクロスが入り、これを中央へ走りこんできていた福西選手が見事な左足ボレーシュートで突き刺しました。このプレー以外でも福西選手の攻撃力は効いていましたね。中央をショートパスで突破したり、攻撃の時は思い切って上がってきたり、頼れる選手です。ただし、ボールを奪われた後に自陣に戻るのに慌てる気配がまったくないのはどうかと思いましたが(笑)。


この2点目で浦和魂に火がついたのか、それともやはり小野選手の投入が効いたのか、ここから先は完全なる浦和の時間帯でした。磐田の1点目と似たような展開で左右に揺さぶった後の永井選手のヘディングが決り1点差。すぐに小野選手らしからぬヘディングシュートが決まり同点。そして圧巻は勝ち越しとなる3点目ですが、ゴール前に走りこんできた小野選手がボールを浮かせてGKの上を越して見事な勝ち越し点でした。後半投入の小野選手の大活躍で勝ち越して、負ければ終わりとなってしまうブッフバルト監督の最後の試合にさせないという浦和のための試合になってしまったか…、と思ったのですが、磐田もさすがでした。
勝ち越されてから1分も経たずにカウンター気味に鋭い攻撃で同点とし、試合を再度振り出しに戻しました。その後両チームに惜しいチャンスははあるものの両GKのファインセーブなどもあり、延長の30分を戦っても決着はつきませんでした。


その延長ですが、後半45分間の両チームイケイケ状態とくらべて延長の30分間の固かったこと。まずは失点したくないという気持ちが強くなったのか、両チームとも守備の意識が高くなかなかシュートまでいけません。シュートまでいけたとしてもさすがにスタメンの選手は体がぶれてしまいシュートが枠に飛びませんでした。もちろん延長の30分間も見応えのある攻防だったのですが、Jの長いリーグ戦を戦ってきた両チームですから、『延長なしでPK戦ではダメなのかな…』などとも思ってしまいました。
で、予想通りPK戦にもつれこんだわけですが、PK戦も凄かった。とにかく両チームの選手が外さない。浦和の先行だったのですが、5人目までどちらも全員決めて、6人目に浦和のGK都築選手が蹴りに出てきた時は『これでどちらかに決るのか、決めたら浦和、外して磐田…』とも思ったのですが、6人目でも決着がつきませんでした。都築選手が蹴りに出た時に大きくどよめいたのですが、自分が蹴るつもりでコートを脱いだのに都築選手が蹴ることになってセンターサークルに戻った背番号19(内舘選手)の背中が寂しげだったのが印象的です。



結局、磐田の10人目が外して、120分で3−3、PK戦も10−9という大激戦の末浦和が次に進みました。時間の経過につれ、ましてやPK戦に入ってからはやはり圧倒的なホームの利というものがあったと思います。天皇杯ということで2階を開放しない浦和戦では珍しい埼玉スタジアムでしたが、それでも浦和サポの声援は大きく力強かった。
そして後半頭から出場した小野選手ですが、やはりボールタッチやしなやかな身のこなしなどは他の選手と一味も二味も違います。はやく体調を万全にして、日本代表にも戻ってきて欲しいものです。
また、磐田の頑張りも凄かった。福西選手を後半途中で交代させてしまった時は「終わったかな…」と思ったのですが、とんでもありませんでした。若い選手が頑張っている姿は羨ましいです。来季の磐田は手強くなりそうです。