ヴェルディ - 山形

helguera2007-07-14

西が丘サッカー場に行ってきました。
いつもならスタジアムに行ったときにどんな場所に座っていたか記録するために自分の席から写真を撮るのですが、今日は台風の影響で滝のように降る強い雨のせいでカメラを取り出すことすらできませんでした。ということで試合終了後に何とか辿り着いた赤羽駅の駅中の中華で挙げたささやかな祝杯の写真です。雨降りという言葉ではなく、シャワーのようなという雨でもなく、時に滝のように強く振る雨に打たれながら、危うく2時間の難行苦行の修行の時間になるところでした。なぜ修行かって言えば、試合の展開がこんなでしたからねぇ。台風の影響で被害を受けたり避難したりする人もいる中でサッカーを見ていることができるというだけでも幸せなことなのですが、カッパを着て滝のように強い雨に打たれヴェルディの拙攻を見守っている時間は果てしなく、永遠に続く苦行のようでした。


仕事を早めに抜けさせてもらって赤羽駅に着いたのが18時30分過ぎ、駅からはタクシーを使い入場し席を決めてカッパを着て荷物をビニール袋に入れたらもう試合開始10分前、トイレに行く時間も飲み物を買う時間もなくキックオフです。
ヴェルディは現在DFに怪我人が多く、『まさかゲンの悪い4バックじゃないよね?』と心配していたのですが、スタメンを見ると服部を下げた3バックのようで安心しました。左から服部、戸川、一柳の3バックでボランチに菅原と佐藤という守備ブロックでした。


_フッキ__広山__

___ディエゴ___

藤田______海本

__佐藤__菅原__

_服部_戸川_一柳_

____高木____


このスタメンの布陣を考えると、今季の補強の中でももっともチームを救っているのは服部の加入だったかも知れません。基本は左サイドをやりながら、出場停止や怪我人の状況によってはボランチだったりDFだったりをそつなくこなす。これがベストな布陣だとは言えませんが、土屋、萩村、富澤とレギュラークラスのDFを3人も欠くチーム状況の中でもそれなりのDFラインを組めるのは服部サマサマです。ヴェルディに来てくれて感謝です。


ところが試合は開始15分を見ただけで、『今日のヴェルディが勝つとしたら、0−0のスコアレスドローだけだ』と思わされてしまうような試合内容でした。”勝つとしたら引き分け”という、正しくない日本語の表現になってしまいますが、それぐらい山形の出足が良くヴェルディの出足が悪く、勝てる気がしない試合の入りでした。雨でスリッピーなピッチコンディションの中で、とにかく『アクシデンタルな失点を喫することなく前半を終えてくれ』とだけ願いながら前半を見ていました。『イーブン状態のまま後半に入れれば、前半から飛ばしている山形の足が後半には止まるかもしれない』と淡い期待を持っていましたが、後半に入っても山形の足は止まることなくヴェルディのパスを寸断してしまいます。


ヴェルディの選手は全体に体が重そうでとにかく足元パスを繰り返すので、フッキやディエゴの足元に入るパスをことごとく狙われ、カウンター攻撃を浴びてしまいました。「ディエゴが持ったらフッキに預けリターンパスを貰う」とか「フッキが持ったらディエゴに預けリターンを貰う」というパターンが多いのですが、足元に入った瞬間とリターンパスをことごとく狙われ、その奪ったボールを山形がサイドから縦に通しアーリークロスを狙われていました。全部が決定的なピンチではありませんでしたが、雨で何が起こるか分からない今日のコンディションでは1本でも決まればアウトですから、常にヒヤヒヤものでした。


そんな後半の30分過ぎ、ヴェルディから見て右サイドを突破されたカウンター攻撃からあっさりとヴェルディが失点してしまいます。ヴェルディの攻撃は手数が掛かるけれどなかなかシュートにはいけないのですが、山形の攻撃はサイドからのクロスか中央のポストに縦に入れて落としたボールを前向きの選手が狙う。シンプルな形だけですがその分ヴェルディの守備陣形が整う前に攻めきられてしまうので辛いものがありました。ヴェルディの攻めにはイライラが溜まるけれど、山形の攻めは常にナイフで一突きを狙っている、そんな怖さの差がありました。この先制点でさらに元気百倍の山形に対し、ヴェルディは相変わらずボールは持つけれどパスをつなぎ過ぎ奪われてしまうという悪循環で、最後の切り札である船越を投入するものの有効な攻撃はまったく行えません。


ロスタイム3分が表示され、さらに焦りは募りますが相変わらず効果的なシュートはまったく打てず、それどころか前線にボールすら運べません。前節の仙台戦はテレビ前で試合を見ている自分に対し、「何で俺はここ(テレビ前)にいるのだろう…」と思っていましたが、今日の試合の終了間際も違う意味で「何で俺はこんな強い雨の中、ここ(スタンド)にいるのだろう…」と思っていました。
ところがロスタイムも3分近くを経過し、ピッチ中央で一回主審の笛が吹かれファールか終了か分からない状態のまま山形サポが少し喜んだもののもう少しだけプレーが続けられ「これがラストプレーだな…」と思った攻撃で、右サイドから中央に切り込んできたフッキが左足を振り抜き、こともあろうにそのシュートが放物線を描いてゴールマウスに綺麗に吸い込まれました。その瞬間の気持ちは言葉では言い表せませんね。体の下の方から腕を突き抜けて何かが天に上っていくかのような、逆稲妻のようなガッツポーズと雄叫びが体の中を突き抜けました。こんな瞬間があるからマイクラブを応援するのは止められない!!!


試合を通して考えれば引き分けでOK、引き分けられてラッキーという試合でしたが、ヴェルディのゴールと同時に終了した瞬間は勝ったかのような高揚感でした。勝ち点は1しか取れなかったけれど、強い雨の中寒さに震えながらスタジアムにいた甲斐がありました。雨と寒さと試合内容と様々なことが重なって本当に疲れる試合でしたが、とにかく引き分けられて本当に良かった。