日本 - スイス

面白い試合でした。
スイスの19番ベーラミ選手にとっては、悪夢のような試合でしょうね。2回PKを献上し、FKから自分のマーカーにヘディングシュートを決められてしまう。日本の4得点のうち3点に絡んでしまいましたから、最悪です。ただ、それを抜きにしても欧州の中堅強国である(TBSが煽っているような強豪国とは思えないのです…)スイス相手に、試合を通して互角以上に試合をコントロールできたことは素直に嬉しいです。


前半の早い時間帯にセットプレーから2失点しましたが、試合開始から日本がボールを保持していました。前半のスイスは守備のプレッシャーが早く、日本がボールを回す位置が随分低かった。後半はスイスの守備が少し遅く緩くなったことで中盤でも回せるようになりましたが、それでもサイドの守備は最後まできつかった。日本にとって親善試合ながらも強化試合としては最高の相手だったのではないでしょうか。欧州遠征の初戦オーストリア戦での課題を修正する練習時間も取れたし、フィニッシュまでいききれない部分も随分改善されていたと思います(後半は)。


前半の日本は低い位置でのボール回しを強いられていましたが、田中闘選手のロングフィードが非常に目立ちました。中盤でボールがうまくつながらない状況でのロングフィードは武器になりそうです。また今回の試合では松井選手など受け手の動き出しも早く、コンパクトなスイスの頭上を越えて良い展開につながっていたと思いました。
また後半の日本の中で田中闘選手の攻め上がりも非常に大きなアクセントになっていました。惜しいシュートチャンスもありましたが、攻撃の活性化には最高のプレーでした。つられてかどうか分かりませんが、中澤選手も上がってましたね。自分たちの時間帯にするために敢えてリスクを冒す。あとはもう少しサイドの選手がリスクを冒してクロスまで上げきってくれればスッキリするのですけれど。


また、中村俊選手の守備にも感動しました。前半の20分過ぎに自陣ゴールラインまで相手選手に併走し最後まで諦めずスライディングタックルを仕掛ける(ちょっとPK献上かと不安がよぎりましたが…)。また交代間際の後半43分頃にも相手のカウンター攻撃の基点になりそうだったサイドの突破を止める。このプレーはファールになってしまいましたが、それでも試合終了間際にあそこまで執念深く守備をする中村俊選手には感動しました。
逆に前半の39分頃のスイスのカウンターで守備に入った遠藤選手(だと思うけれど…)の守備が軽かったのはヒヤリとしました。攻守で言えば攻に比重のかかる選手だと思いますが、あの場面や時間帯ではファールでも止めると言うプレーが見たかった。


後はカメラワークも気になりました。現地映像なのかTBS製作なのかは分かりませんが、ボール周辺の局面ばかりで、いくら実況や解説が「スイスの守備はボールに連動して素晴らしい」と語っても画面の中にはスイスの全体像が映らず、連動性の良さが画面を通じて見えなかったのが残念です。これは好みの問題になってしまうのかもしれませんが、もう少し引きの画面でのピッチが見たい。


試合を通じて両チーム合計7点が入りましたが、そのうち6点目までがセットプレーという試合でした。その分、最後の決勝点となった山岸選手の飛び出しから折り返して中村憲選手のシュート、そしてこぼれ球を矢野選手が押し込むという決勝点は美しかった。巻選手のヘディングシュートの軌道も美しかったのですが、矢野選手のシュートの弾道の力強さはこれからの日本代表に力を与えてくれそうです。アジアカップから直前のオーストリア戦まで、閉塞感が漂っていたような日本代表の攻撃に対する一つの答えのような躍動感を感じる得点でした。
それと最後に少しだけ。オーストリアというオシム監督の第二の故郷と言われるような場所での大会で、良い試合を見せることができて本当に良かった。初戦のPK戦だけでは寂しすぎましたから。