ヴェルディ - 仙台 - サッカーのある幸せ

helguera2007-11-10

味の素スタジアムに行ってきました。
疲れた。本当に疲れました。入学試験でも入社試験でもここまで緊張しないというぐらい緊張して自宅を出て、スタジアムへ。たかがサッカーの１試合なのですが、この１試合に懸かっているものの重さが、スタンドにいてもとても重くのしかかってきます。サッカーは楽しいものだなんて忘れてしまいそうなほど、ガチガチに固まってバックスタンドから見ていました。
試合についてはあまりにも入れ込んで見ていたので、正直細かいことは覚えていません。ヴェルディが得点した場面も、試合後のリプレイを見るまではコーナーキックからの得点だと思っていたくらいです。だから間違っている記述もあるかもしれませんが、それでも直後の感想として残しておきます。

試合開始直後の印象ですが、仙台の出足が鋭かった。順位的に上にいるヴェルディが受けてしまったのか、勝たなければ何も始まらない失うものがない仙台の思い切りが勝っていたのか、とにかく仙台の中盤をヴェルディの中盤が掴まえ切れませんでした。そして前半１０分も経たないうちにヴェルディが失点します。失点につながったのはボランチの大野からの縦パスをカットされ、ショートカウンターを受けた結果ですから、ミスが出たらしょうがない。攻撃にかかろうとして前がかりになったヴェルディの薄い守備を簡単に破られてしまい、誰も寄せられないまま見事なミドルシュートを決められてしまいました。

この場面以外でも、前半のヴェルディは仙台の攻撃をまったく掴まえられなかった印象が強いです。斜めに、縦に走りこんでくる仙台の選手を追走するばかりで、守備での先手が打てない。逆にヴェルディの攻撃は仙台の守備に先手を打たれてしまって、縦にくさびを打ち込んでも次のプレーにつなげられない。フッキとディエゴを完璧に抑えられてしまって、ヴェルディの攻撃には得点の可能性がまったく感じられない前半でした。それでもフッキの個人突破でゴールの近くまで行ってしまうのだから、フッキも凄いけれど。
前半の印象として仙台の１０人のフィールドプレーヤーとフッキ１人のヴェルディが戦っている試合、そんな感じでした。前半を０−１とリードされて終わったヴェルディですが、前半のうちに同点に追いつく可能性よりも、２点目を取られて引き離される可能性のほうが高かったんじゃないか、０−１のままで良かった前半です。

エンドが変わった後半ですが、サッカーは怖いですね。前半の仙台の勢いはどこに行ったのか、ヴェルディが押し込んできます。ヴェルディからリードを奪った仙台は１試合少ないながらも、（その１試合をきちんと勝てば）前半終了時点では２位に順位が上がっていたわけで、そのリードを守ろうとしたのか。それとも逆に暫定３位に落ちて失うものがなくなったヴェルディが吹っ切れたのか。とにかく、前半の様相とはまったく逆になって、ヴェルディが圧倒的に仙台陣内に押し込んできます。

この辺りから同点の気配は非常に高くなりましたが、押し込んでも押し込んでも得点が入らない。限りなくゴールマウスまでボールが近づくのだけれども、ゴールを割ることが出来ない。とても苦しい時間帯でした。同点になりそうなのだけれど、いつでも追いつけそうなのだけれど、このまま追いつけないんじゃないか…。そんな不安も感じ始めた後半の３０分過ぎ、ついに仙台のゴールをこじ開けることが出来ました。左サイドからのクロスを合わせたディエゴのシュートがグラウンダーでゴールマウスに吸い込まれる。グラウンダーのシュートだったこともありますが、ゴールマウスに吸い込まれていく様子がまるでスローモーションのように見えました。リプレイで見るととても難しいシュートなのだけれど、打った瞬間に”入る”と確信できるような、そんな不思議な一瞬でした。

これで追いついたヴェルディも攻撃を仕掛け、さらに追いつかれた仙台も突き離しを狙う。それからじりじりとした１５分が過ぎましたが、結局勝利の女神はどちらにも微笑まず、引き分けで終わりました。順位的に上にいるヴェルディにとっては最悪ではない引き分けという結果ですが、フッキがイエローカードを貰って２試合を残して今シーズンを終えてしまったのが、ちょっと痛い。まあ、次の試合のことを考えて戦えるような生易しい試合ではなかったのでカードもしょうがないですが、それでも痛い。ディエゴが同じ試合で貰わなかったのがせめてもの救いでしょうか。

試合が終わった後は選手の挨拶が終わってもしばらく席を立てないほど疲れていました。サッカーが楽しいなんて、嘘ですよ。苦しい９０分間でした。長いシーズンの終盤にこんなに激しく狂おしい試合ができて、それをスタジアムで生で見ることができることは最高に幸せですが、体には悪そうです。こんな状態があと２試合も続くのかと思うと、ゾッとします。とにかく、９０分のうち７０分間もリードされている状況が続いて、本当に疲れる試合でした。でも、追いついて、引き分けて良かった。