2010WC日記 20日目

大会が始まって初めての試合がない日。
特に日本のサッカーファンはとても寂しい気持ちで今日一日を過ごすのでしょう。


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今回の南アフリカ大会で一番残念だった出来事が、森本に出場の機会が与えられなかったこと。チームの内部のことは外からは分からないので、フィジカルコンディションに問題があったのかもしれない。しかし、森本自身に何ら問題がなく、それでも出場機会が与えられなかったとしたなら、やはりそれは岡田さんのチーム作りの遅れ(または直前での路線変更)によるものではないかと思っています。
森本「起用されなくて残念」伊紙に語る 産経ニュース


この2年半にわたる岡田さんのチーム作りの中で、異常なほどに選手を固定したポジションにCBがありました。確かに中澤、闘莉王の2人は高さなどの身体能力は日本人DFの中では飛びぬけたものがある。でも、ワールドカップ本大会クラスの相手と戦うには、絶対的なスピードでは劣ってしまう。また、直前になって守ってカウンターというサッカースタイルに切り換えたこともあり、チーム全体の守備ブロックを随分と下げた位置に置かざるを得なくなった。


アンカーの位置に阿部を置くことにより、中盤の選手の人数の中でも攻撃の枚数が1枚減る。対戦相手と自分たちのメンバーを見比べた時に、どうしようもないことではあるが攻撃に行く距離は遠くなり、押し上げる枚数は少なくなってしまう。阿部のアンカーで腹を括った時点でペナルティエリア周辺のスピードで威力を発揮する森本の起用の目はなくなってしまった。攻撃の枚数が減った時点で岡崎、玉田などの手数を必要とするアタッカーも使いスづらくなってしまった。パスの受け手を必要とする中村俊も使いづらくなってしまった。


もちろん、初めに本田の決定力に期待して本田ワントップありきの布陣だったかもしれません。本田のワントップをどうすれば生かせるのかが攻撃陣の選ぶ基準だったとも考えられますが、本大会での対戦相手との力関係や、直前の親善試合4試合の守備の崩壊ぶりを考えても、やはり守備ありきに直前になって舵を切ったと考えるほうが自然に思えます。


では、初めに守備ありきで考えた時に、果たして今回のフィールドプレーヤー20人の選考は妥当だったのか、という後悔が残ります。「勝っているチームはいじるな」という考え方も分かりますが、本大会4試合を全て同じスタメンで戦うという方法も、選手のコンディションを考えれば疑問が残る采配です。大会直前に方向転換をしたことで、1つの布陣しかチームを仕上げられなかった、スタメンのオプション、途中交代で攻撃的に出るオプション、守備を固めるオプション、これらのチームの幅を広げる作業にまで時間がまわらなかったと思えてしまうほど骨格はあっても肉付きが薄いチームだったのではないか。


PK戦で次に進めないことが決まった直後、本当に悔しさを感じなかった。勝てるチャンスもあったのにチャンスを逃してしまったと感じていたけれど、それでも悔しさは感じなかった。なんだか、このチームの限界が垣間見えていた気がして。長友など選手が出場停止になって勝ち進んだ場合、別の選手が出てきて穴を埋めてくれるとは思いますが、それはあくまでスクランブル状態での対応であって、チームの幅と言える総合力ではないのではないかと感じてしまう。
今回のチームは魂の入った良いチームだったと思っています。でも、うまくやれば内側の魂が入るはずの外側たる仏をもっと大きくて懐の深い仏に作り上げることができたのではないか。悔しさよりも後悔が残る終戦でした。


まだ次があるって言えるほど気持ちの切り替えができていませんが、岡田監督をはじめとしたチームスタッフ、選手の皆さん、そして現地南アフリカで応援したサポの皆様、本当にお疲れ様でした。4試合、ワクワクできたことは本当に幸せでした。惜しかった、良くやった、は言いません。協会は何が足りなかったのかを死ぬほど考えて、次の戦いに生かして欲しいと切に願います。