2010WC日記 31日目

FIFA2010ワールドカップ南アフリカ大会、決勝。
スピーディでハイプレスでファールの多い試合。世界のサッカーが目指すのは、こんな試合内容なのか。


ツール・ド・フランスの山頂ゴールを見て、シャワーを浴びて2時間仮眠して、決勝戦を3時間見て、2時間仮眠して仕事に行く。こんな生活も今日が最後だと思うと寂しいようなホッとするような。1ヶ月に渡るお祭りが終わってしまいました。まずは素晴らしい中継をしてくれたスカパーさんに感謝。


さて、決勝の結果はサッカーの内容に鑑みればスペインの優勝はものすごく妥当な結果だと思います。タコのお告げに人間が左右されるということが受け入れられなかったので個人的にはオランダを応援していました。が、それでもスペインの優勝は納得の内容でした。
すばやくパスをつなぎ攻め込んでくるスペインに対しドイツは見ているだけになってしまいましたが、オランダはカード覚悟のファール連発でバンバンスペインの攻撃の起点を潰しにきました。それはそれで試合の勝利に向けた一つの方法だし、ドイツのとった戦術よりは非常に現実的な作戦だったと思います。前半のスペインはオランダの激しい当たりに対してかなりイライラしているように見えました。


でも、それでも自分たちのやり方を貫いて攻撃しようとするスペインに対し、相手の攻撃を”潰し”てワンチャンスに賭けようとするオランダ。どちらが美しいサッカーをしているのか、どちらが本当に難しいサッカーにチャレンジしているのかを考えると、やはりスペインがより勝者に相応しいと思います。長いリーグ戦の戦いの中で弱いチームが相手を壊す戦いを選択するのは現実問題としてしょうがないと思いますが、4年に1度のワールドカップの決勝の舞台で、相手を壊すサッカーが勝者になるのは、どうかなと。でも、ロッペンが縦パス1本で抜け出してカシージャスと1対1になったときは思わず『決めろー!』と叫んでしまいましたけどね。


審判について、試合開始から景気良くイエローカードをバンバン出しているのを見ていたら、これは退場者が出るなと思いましたが、90分間については1人も退場者を出さずに試合をコントロールしていたのには痺れました。いろいろな判定の問題があった今大会でしたし、スペインの決勝点が決まる直前のオランダのシュートはコーナーキックなのにゴールキックと判定されてしまったりと、小さな問題点はあったとは思いますがそれでも90分間の終盤に差し掛かって選手がエキサイトしている状況でも落ち着いて毅然とした態度で選手を諭すようにコントロールしていた態度はJリーグの審判にも見習っていただきたい。


延長に入ってからのオランダの退場者については、これはもうどうしようもないと思います。疲れて相手のスピードについていけないDFが、自分たちのカード覚悟のファール連発で貯めていた1枚目のカードによって退場になるだろうことは、延長に突入した時点で予想できましたからね。ドイツは攻めないでスペイン戦を自滅しましたが、決勝のオランダは最初からカード覚悟のファールを連発した結果、最後の最後で激しい守備ができずにじり貧になっていった印象でした。
まあこの試合でオランダが自滅したというのはかわいそうだし相応しくないと思いますので、やはりスペインが強かったと言うべき決勝戦だったのだと。


とまあ自分の感想をつらつらと書いてきましたが、ここにマトメられているオシムさんの総括が全てなんだろうと思います。
最終日 「きょうのオシムと世界標準」 スカパー公式

オランダは欧州のモダンサッカーを創ってきた。
その貢献を忘れるべきではない。
しかし、数年先の世界のサッカーを考えると、
きょうの試合はスペインが勝ってよかったと思う。