日本 - 韓国

韓国も強いとは思うのですが、何だか目指しているサッカーのレベルというか格が違ってきてしまいましたね。まあ、1年ちょっと前に埼玉スタジアムでいいようにやられた試合はなかったことにして。


韓国のサッカーって分かりやすいですよね。サイドを突いてクロス。中央突進。ミドルシュート。それで得点できてしまえばこれほど効率的な攻撃もないのでしょうが、近代サッカーがちょっと前のバルセロナや南米の国々やスペインのようなパスで崩すサッカーが主流だとしたら、韓国という国は現在対極に位置してしまっているように思えます。選手の世代交代や自国リーグでの不祥事など代表チームのピッチ以外での様々な要因があるのだとは思いますが、今日の試合や1月のアジアカップを思い浮かべるとちょっとライバルとして特別視する必要はもうないのではないかと思います。


もちろん日本だっていつも強いわけじゃない。トルシエ監督のときに中田ヒデ世代が出てきたときや今のザック監督と本田+香川などというのはいつでも存在するものではなくて10年周期で大きな波のように訪れるものかもしれません。でもね、日本が代表だけではなくJリーグまで含めて目指しているようなサッカーの結果が今の日本代表で結実しているように思えるのです。香川選手などはJ2から海外リーグ移籍とか、やはり代表だけが強化されているというわけではなく、ユース世代よりも前からの様々なサッカー関係者の努力の結果として今の日本代表がある、そんな風に思えてしまうのです。そこにその選手達をいかせる手腕を持った監督が就任してくれた。ザック監督の就任はちょっとだけ幸運もあるかもしれません。でも、声をかけて断られるだけではなく、来てみようかなと思える結果を今まで地道に積み上げてきたからこそのザック監督の就任だとも思うのです。


試合についてはもう、攻撃は素晴らしい。3点を取った後は選手達の気持ちの余裕が出すぎて鋭さがなくなったり、また選手交代により流れるようなパスワークがギクシャクしてしまったりした部分もありますが、アジアカップ優勝を経て一段ステージを上がったような気がします。守備については、ちょっと物足りない。簡単なパスミスで相手にボールを渡してしまうだけではなく、日本のDFの中にももうちょっと守備の強い選手がいるのではないか、と思ってしまう場面もありました。まあザック監督は”守備だけ”を考えて今の選手達を選んでいるわけでもないでしょうが、ちょっと不安の残るプレーが多かったかな。まあ、守備が不安定なのはアジアカップから同じですけどね。


松田直樹選手があんな形で亡くなってしまった直後の試合だけに選手達の胸の中にも様々な思いがあっただろう日韓戦でしたが、偶然にも松田選手の背番号と同じスコアで終わりました。なでしこのワールドカップ優勝で盛り上がった日本サッカー界でしたが、松田選手の訃報でちょっと衝撃を受けてしまっていた状況だったと思います。特にファンでもなかった私でさえ、心の中に重い重しが詰め込まれているような数日を過ごしていましたので、直接関係があった方々の衝撃はいかばかりかと思います。でも、今日の試合で日本サッカーはまた1歩前に進めたのではないかと思います。松田選手、お疲れ様でした。DFラインから攻め上がるあの姿を忘れない。