ヴェルディ - 千葉

42試合のうちの1試合とは分かっていても、痺れる試合でした。神頼みはしないタイプなんだけど、PKの場面で祈ったのはどれくらいぶりだろう。


あと1試合を残して長いJ2リーグ戦の前半が終わる20節は思いがけず1位千葉と2位東京ヴェルディの首位を賭けた試合となってしまいました。本当は首位と勝ち点3差ぐらいの3位あたりにつけておいて、シーズン終盤で追い込むというのが一番プレッシャーがかからないような気もしますが、目の前にチャンスがあるなら掴みたい。過去のJ2リーグ戦を考えても19節までに6敗もしているクラブが首位に立てるなんてあまり思い浮かばないけれど、今年は上位が混戦で思わぬチャンスが転がり込んできた、という感じです。ただの1試合なんだけど、重い試合でした。


試合そのものは90分を通してほとんどが千葉の試合。やりたいことをピッチ上で表現できていたのは千葉だと思います。ヴェルディは千葉の高い位置からのプレスに圧倒されて、いつもの内容の試合はほとんど出来なかった。ちょっとした時間帯に千葉のプレスが緩んでヴェルディがボールを持てていたときもありましたが、いつのまにかプレッシャーを掛けられてボールがGKまで戻されてしまったりと、まったく思うようにはいきませんでした。
でも、ここぞというチャンスを決めたのはヴェルディだった。


今年のヴェルディの試合を随分とスカパーで見ていますが、自分達のセットプレーに関しては全然得点の予感を感じない。それなのに相手のセットプレーに関してはロシアンルーレットのように何回かに1回は必ず失点してしまう。自分達の攻撃時のセットプレーは淡淡と見て、相手のセットプレーには諦観する。(諦観 = あきらめ、悟って超然とすること) これが今年のヴェルディでした。でも、今日は違った。最初のコーナーキック杉本健勇の高さと位置取りで制し、千葉のセットプレーはことごとく跳ね返した。「どうしちゃったの?」という感じでした。2点目のPKゲットは阿部の予測的位置取りとファーストタッチからの切込みで勝負ありって感じでした。PKを阿部が蹴るときは前節のやり直しが頭に浮かんで思わず決めてくれと祈ってしまったけど。その後の右サイドを森の突破からのクロスを、中央に飛び込んだ杉本健勇がヘディングでクロスバー直撃したシュートを決めてくれれば言うことなしの試合だったけど、まあそんなにうまくいくわけはないですね。


試合終盤に千葉のオーロイが出てきてからは、もう全てを運命に委ねるような気持ちで見てました。あと10分早く、2点差になった直後にオーロイ投入だったらやばかったかもしれませんが、1点はオーロイに取られたものの残り時間に救われました。危なかった。自分がヴェルディの監督だったら、オーロイが出てきたときに途中交代で投入していた巻をマンツーマンでマークにつけていたかもしれません。それぐらいやばかった。


千葉は全員が良く走るいいチームでした。これだけプレスを掛けたら失点が少ないだろうし、あれだけ走ったら数的優位を作りやすいだろうし、本当に良いチームだった。ピッチサイド解説の野々村さんも言っていましたが、ヴェルディには差のつけられる選手が2人(杉本、阿部)いた、それが全ての試合だったと思います。千葉の方が完成度の高い良いチームだったけど、個の力が瞬間際立ったのはヴェルディだった。
42試合のうちの20試合が終わっただけなのでこの後どうなるか分かりませんが、今まで上位同士の対決にはことごとく負けていた今年のヴェルディなのでまずはようやく一山越えたって感じです。まだまだたくさん山はあるけど。