ロンドンオリンピック サッカー日本代表 女子

銀メダル、本当におめでとうございます。
欲しかった金メダルにはあとちょっとで届かなかったけれど、決勝の内容を考えても金メダルに勝るとも劣らない銀メダルだったと思います。


こちらの女子日本代表は男子と違ってワールドカップ前からほぼ同じ選手が選ばれていて、スタメンについてもほんの少しのポジションチェンジやGKのスタメン変更などありましたが、やはり積み上げてきたものの大きさが違う懐の深い代表チームでした。もちろん自分たちのやりたいサッカーはあると思うけど、対戦相手だって全力で勝ちに来てるのだから全ての試合で思い通り試合を運べるわけでもないし、一つの試合のなかでも相手の時間帯になってしまう時もある。それらを全て仕方がないこととして受け止め、その時にできる最大限の努力をして最後まで諦めない。特にワールドカップ優勝という成功体験をすでにしているチームだから、諦めない先で何が得られるか、耐え続けて相手の気が緩んだ時に何ができるかを知っているチームの強さのようなものを感じました。


ワールドカップの時点では個人的に評価の低かった大儀見(当時は永里)さんでしたが、今回のロンドンでは利いてましたね。彼女がいないときに前線でまったくボールが落ち着かない。一人でも何秒間は確実に時間が作れるし、ポストプレーも距離の短い落としだけではなく、サイドチェンジのような大きな視野の広いプレーもできる。ゴール前の決定力の部分では永里さん時代の面影を感じる部分もありましたが、この大会のなでしこの中でMVPを選ぶなら私は大儀見さんを選びます。今回特に押し込まれている試合での存在感の大きさは群を抜くものがありました。


チーム全体としてはワールドカップの時に比べてやや運動量が少ないかなと感じる時間帯もありましたが、それでも中2日の6連戦を考えれば責めることはできません。攻撃の時も守備の時も数的優位を作ってフィジカルで勝る相手に対応していくのがなでしこの基本かもしれませんが、さすがにこの日程では押し上げができない時もあった。攻撃については一人でなんとかできる選手が生まれそうな予兆はありますが、守備の時に特に強引にドリブルを仕掛けてくる相手に対してディレイするだけではなく体で止めてイエローカードは覚悟するみたいなもう少しずるいプレーも必要なのかな。フェアプレーがなでしこの信条なのは分かりますが、やはり強引にこじ開けてくる相手を止めるには数的優位だけではどうにもならない時もあるし、特にボランチセンターバックに力強さを求めたい。


もう少し交代選手が明確に役割をこなせればとは思いましたが、それでも交代の手は男子より有効に機能していたと思いますし。決勝の最後の時間帯で岩渕さんがあれを決めていれば歴史が変わったかもしれませんが、相手のGKを考えるとこれも責めることはできない。これからのなでしこリーグの試合でシュートを撃つときに、あのGKをぶちぬくことを常に考えてプレーして次の機会にはソロさんの守るアメリカゴールをこじ開けて欲しいと願っています。
澤さんはもちろんのこと川澄ちゃんや大野さん、岩清水さんにはすでに貫禄すら感じられるし、鮫島さんは相変わらず可愛かった。表彰式の丸山さんにはちょっと引くものもありましたが、負けてなお魅力を放つなでしこは日本の誇りであり日本のイメージを変える存在であると思います。本当におめでとうございました。