股旅フットボール

helguera2008-04-25

最近、サッカーに対する”執着心”が少し薄れているのですよね。
日本代表はグダグダだし、ヴェルディもいまひとつ…。そんな状況で読んだこの本ですが、ちょっと衝撃的でした。


股旅フットボール―地域リーグから見たJリーグ「百年構想」の光と影股旅フットボール―地域リーグから見たJリーグ「百年構想」の光と影
宇都宮 徹壱

東邦出版 2008-04
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日本サッカー界のJ1を”1部”とカウントするなら、J2(2部)、JFL(3部)を飛び超えた”4部”の地域リーグを取り上げている本なのですが、そこに描かれているサッカーやクラブに対する”情熱”は何らJリーグと変わることない、いやむしろJリーグを超えている凄みすらあります。まだビジネスとして成り立つ前の段階の話が多くなるわけですが、そこには手弁当で駆け回り奮闘するたくさんの方々の情熱が溢れています。


この本を読むまでは自分にとってとても遠かった地域リーグが、この本を読み終わってからはとても身近に感じてしまいます。まあ、登場人物の中に意外に読売〜ヴェルディラインの関係者が多いということもありますが…。それがなくても、登場人物の方々のサッカーやクラブにかける情熱や執着心は、読んでいる私をぐいぐいと地域リーグに引き込んでいきました。「ちょっと成績が悪いから」とか、「負けが込んでいるから」とか、そんなことを気にしている自分がくだらなく思えるほど、この本の中には”情熱”と”誇り”が詰め込まれています。


ただ、副題にもある『地域リーグから見たJリーグ「百年構想」の光と影』という、影の部分の問題も確かにあります。同じリーグの中にプロ(Jリーグ入り)を目指しているクラブとアマチュアのままでいきたいクラブが混在している状況や、地域リーグからJFLへ昇格するための試練とでも呼ぶべきレギュレーションなど、早急に解決すべき問題が多くあるにもかかわらず、そのことが問題として取り上げられることすらほとんどない現状など、読んでいて悲しくなってしまう状況も日本サッカー界の現実なのでしょう。私もこの本を読まなければ気づくことすらなかったと思います。


Jリーグや日本代表周辺について書かれた本はたくさんあると思いますが、日本サッカーを支える存在でもあるはずの地域リーグについて書かれている本は、果たして今までどれくらいあったのでしょう。本当に読んで良かったと思える本でした。写真も、綺麗で印象的なものが多いですし、サッカー好きならぜひ読んでみてください。