余録 韓国 - ウズベキスタン

NHK-BSが生中継してくれたので、90分全部じゃないけど消音して見てました。


ウズベキスタンのFWはフィジカルコンタクトを取らないタイプの主審だと早く納得して、ファールをアピールするのではなくて体をはってマイボールにしないと、攻めに重心を移した味方守備陣がカウンター喰らうからキケンだ。特にどっちも応援してるわけじゃないけど。

もちろんこの試合で本大会の切符がかかる大事な試合なんだけど個人的にはどちらでもいいので、韓国が有利じゃない状況でアディショナルタイムが何分になるのかがこの試合の一番気になるところだったりします。

ウズベキスタンはゴール近くまでいい形でボールを運んでも最後はミドルシュートしか手がない感じ。ゴール前のアイデアやテクニックは韓国に分があるのかな。ウズベクはボール運んでるあたりはうまく連係見せるのにね。日本はゴール前でもやり過ぎだけど。

この感じはこの前の日本代表の試合がJ1の試合で、この試合が数日後にJ2の試合を見てるちょっと残念な感じにそっくりだ。戦いの魂は強く感じるけど、あとちょっとのテクニックに欠ける感じでじれったい。

ウズベキスタンの失点の場面はCKからの一発目のクリアの時にウズベクスタンのFWが体をはらずにファールのアピールをした所が負けポイントだよね、取らない主審なのに。そこを流されてからのクロス、そしてOGはその対価をDFが払った。

韓国は嫌いな国だからここで消えてもかまわないんだけど、それでもまだ韓国の目指しているサッカーの方が志が高いように思える。ウズベキスタンのサッカーは10年古い感じがする。勝負はどちらが勝つか分からないけど。

強烈なミドルシュートを持ってるが故に、攻撃の終わり方が全てそれで終わってしまうジレンマ。日本のサッカーを見ているとシュート打てよと思うことが多いけど、ウズベキスタンのサッカーはそこもミドルかいと突っ込みたくなる。


NHK-BSさん、放送してくれてありがとうございました。この試合を見ることで日本の立ち居地が再確認できました。日本はやっぱりアジアの中では負けてはいけない。見ている世界や見えている風景が違うはずだから。いろいろ五月蝿いから消音で見たけど、見て良かったです。

日本 - オーストラリア WCアジア最終予選

いや、めでたい。本当にめでたい。


心の奥底ではこの試合負けてもいいなってちょっとだけ思ってたんですよ、チケットなかったし順位表の勝ち点差を考えれば日本が本大会に出場できないことは考えにくかったし。そして日程的にはきついけどもう一試合本気で戦わなきゃいけない、本当の意味での真剣勝負も見ることができるし。でも、本田のPKが決まってテレビの音声から強いシュートがゴールネットに突き刺さってもなお回転するシュルルルって音が聞こえたときには嬉しかったですね。ジョホールバルゴールデンゴールほどではないにせよ、先制されてからの同点で決まるってのは筋書きがあるかのような展開です。リードしてから追いつかれて終わるよりも、同じ引き分けでも貴重な気がしますからね。


試合は、まあ、その、同じグループでは強豪だし地力はあるだろうオーストラリアが相手でしたけど、練習試合でのブルガリア程の怖さがなかったのも事実。ゴリゴリ来る感じは欧州予選を戦っている最中のブリガリアのほうが厳しかったかな。特に今日の試合の後半の立ち上がりはオーストラリアが意識的に抑えてきているかのようで、あの時間帯に得点が欲しかったですけどね。隙を見せたらやられちゃうぐらいの相手ではありますが、隙がなくても崩されちゃうような怖さはなかったです。ただ、あのクロスが直接入っちゃうというのは、今の日本代表がチームとしての運気が下り坂に入ってるという象徴のように感じてました。チームもそうだけど、特にGKのバイオリズムみたいなものがここ3試合は下がり気味です。ただ、それまでの試合で助けられたことも多いので責める気はありませんけど、ついてないなぁという感じでした。


でも、あの時間帯のあそこでPKが回ってくるか? って感じですよね。やっぱり持ってる選手は違う。相手を崩しきることはできなかったけれど、残り時間が少なくなってゴリ押しでゴール前に攻め込んだ結果のPKゲットですから、PKでしか得点ができないとくさすセルジオ越後さんみたいな人もいるとは思いますが、あれは日本代表の攻撃の圧力でもぎ取った得点だと思ってます。そしてど真ん中に蹴りこむブレない心も素晴らしい。あれこそまさにホームの力。


オーストラリアがガツガツとは来ないのもありましたが、今日の主審はとても冷静で試合をうまく進めた素晴らしい笛だったと思います。お互いのファールも凄く近くで見てるから文句の言いようもないし、判定そのものもストレスがない。バーレーンの方だったみたいですが、J2でも笛を吹いて欲しいぐらいです。日本びいきとかそういうことではなく、素晴らしい仕事をしてくれた主審には何か表彰をしたいぐらいな気持ちになります。スタジアムの状況やホームの大観衆とともに、影から試合を盛り立ててくれたMVPって感じでした。


ザックの選手交代は…、分かるっちゃ分かる交代だったんだけど、ちょっとタイミングが悪くなっちゃいましたよね、結果論として。引き分けでもOKな試合なのだから栗原投入で守備を強化しつつ得点の可能性として本田を前線に残しチャンスメイクを長友と香川の2箇所からにする。相手の交代でオーストラリアが2トップ気味になっていたので3バックにするのかとも思いましたが、選手が並んでみたら守備を強化して得点も狙う妙策だったんですが、結果的には選手を動かした直後のタイミングでうまくカバーできていないサイドを突かれちゃったから失敗だったのかな。交代直後の長友の突破から日本が先制してたら素晴らしい選手交代だったのですけどね。
その後は点を取れって交代カードだったけど、それも交代選手がピッチの中で効果的に使われたかどうかは疑問でした。ただ、ザックの明確な意図は伝わったけど。


アジアカップ優勝までがザックの冒険の第一ステージだったとすると、WC予選突破を決めた今日までが第二ステージだったと思います。このステージまでは大きな変化や挑戦はやりにくかった。チームを比較的固定されたメンバーでひたすら熟成させるのが第二ステージだったと思います。
でも本大会の切符を取ったからにはこの先一年は新鮮な戦力を試したり形を変えたりできる冒険の第三ステージに入ったと思います。ワールドカップ本大会の出場選手23人を発表するまでの第三ステージでは大いにチャレンジしてチームの幅を広げて欲しい。そしてメンバー発表からの直前合宿そして本大会が最後の冒険である第四ステージです。まさしく起承転結。そこでの勝負をこころおきなく挑めるよう、この先1年を有効に使ってくれればまったく文句がない代表監督だったねと振り返ることが出来る監督になりそうな気がします。


引き分けで決めて喜ぶのかという文句を言うセルジオ越後さんのような人もいると思いますが、今日の試合が引き分けでも決まるほどの貯金を作ったのも最終予選での前半戦のこの監督でありこのチームの頑張りの結果なのだから、何の文句を言われる筋合いもないことです。この第二ステージの最低限の結果は本大会の切符を掴むことだから、求められたミッションに1試合を残してきちんと結果を出している優秀な監督です。大いに喜んで次のステージに進んで欲しいと思います。
裏の試合でイラクが負けて次の試合は本当の消化試合になりましたが、その試合こそが新戦力の発掘の最初の試合となるわけですから、実は次のイラク戦も結構楽しみにしています。

オーストラリア戦 前夜

明日、つか今日だ、いよいよWCアジア最終予選のオーストラリア戦。引き分け以上で出場決定だけど、それでも今からソワソワする。さっきリンク先の1993年Jリーグ開幕セレモニーを見ていてそれからの20年を走馬灯のように思い出してた。

http://youtu.be/8lnnImnDc9w

開幕セレモニーの後の試合の結果はともかく、これで日本のサッカーがもっと盛り上がるんだと感じた93年5月。その秋には忘れもしないアメリカWCの出場を引き分けで逃す。絶望とは思わなかったけど、サッカーの神様はこんな仕打ちをするのかと思った93年の秋。

それから4年の時が流れてフランスワールドカップ予選。ジョホールバルでは勝ち越されてようやく追いついて延長に持ち込み、多数のチャンスを作りながらもようやくのゴールデンゴールでの出場決定。見ていて心臓が止まるほどではなかったけど、あれも心臓に悪い試合だった。

自国開催の2002WCは予選免除、本大会が楽しみだけど予選がないのはちと物足りなかった。ただ自国とはいえベスト16まで進出したことでアジアの混戦から一歩抜け出したのも事実で、そこからのドイツ、南アの予選が苦しいながらも本大会に行けない様な不安感はなくなった。枠も増えたし。

そして明日、テレビ局は煽るけど2試合残しで勝ち点が他の4カ国のダブルスコアに近くなってるから、正直最終予選とはいえヒリヒリ感はもうない。でも、ホームの大観衆の声援を受けて、2002年のベルギー戦のような、変な言い方だけど地に足が着いていないような試合をして欲しい。

http://youtu.be/Eany2hZDjHA

勝ち点に余裕を持って相手を受けて立つような試合ではなく、腰高でフラフラしてるけど大声援を背に受けてひたむきに相手ゴールに突き進むような試合。崩してゴールとかではなく、あの試合の鈴木のように足をギリギリまで伸ばしてボールに触るような、そんな焦燥感を感じさせるような試合。

余裕を見せたり綺麗なプレーではなく、ギリギリのところで闘っている姿をホームの大観衆にプレーで見せて、そしてさらにスタジアムの雰囲気が選手のプレーに煽られて一段階ヒートアップするような試合を見せて欲しい。闘え、ニッポン!

クラブや選手のストーリーとは

サッカーの集客について考えるときに、映画や舞台を見に来る人の動機を参考にしています。例えば出演している人が好きだから、演出家や監督の作品のファンだから、ストーリーや作品のジャンルに興味があるから。何かしらの興味がまず先にあって、それからチケットを買い劇場に足を運ぶ。
もし、出演者も知らない人で、演出家や監督も無名で、ストーリーについてもイメージがわかない、そんな舞台や映画に対して、わざわざお金を出して見に行く気持ちになるのかどうか。


興味があるの反対側にあるのは、無関心だと思います。人は興味がある対象に対してはお金を出してでも手間暇をかけてでも見に行こうと思うけれど、興味がないものに対しては行動しない。すでにスタジアムに通ってくれている人々は別にしても、スタジアムに通える範囲に住んでいて時間的経済的にその余裕もあるのに来てくれる人が増えない理由。それは関心がない以前に、クラブや選手のことをまったく知らない状態に近いのではないかと。


例えば三浦カズ選手について、カズのまたぎフェイントは試合の勝ち負けに関係なくお客さんが喜ぶ。それは客が先にカズのマタギフェイントを知っているからこそ実際に見ると喜ぶわけで、知らなかったら今どきあんなフェイントは通用しないだろって切り捨てられちゃうかもしれない。またカズが得点後にカズダンスを踊るのだって試合の流れには一切関係ないけれど、それでもお客さんは喜ぶ。


Jの開幕当初でクラブ数が少なかったころには日本代表の選手=そんなにコアなお客さんじゃなくても顔と名前とプレーの特徴ぐらいは分かってた選手が、それぞれのクラブに何人かいて集客のきっかけになっていた。でも、最近は日本代表選手のほとんどが海外のクラブに所属しているし、ましてやJ2には全国的知名度のある選手はほとんどいない。
だとしてらそれぞれのクラブは、地元のお客さん予備軍に向けて自分たちのクラブに所属している選手のアピールポイントをもっと積極的に売り出さなければいけないんだと思う。カズのまたぎフェイントじゃないけれど、●●選手のロングスローは凄いから一度見る価値があるとか、ドリブル突破が売りの選手、クロスの精度が凄い選手、ミドルシュート、長い距離のサイドチェンジのパス、ヘディングの競り合いでは負けない選手、90分間走り負けない選手。何でもいいんです、ただ全ての選手にセールスポイントが欲しい。一芸に秀でてるものが欲しいし、クラブはそれをお金を使ってでもお客様予備軍に売り込まなければいけない。


サッカーはスポーツですが、お金を払って見に行く形態を考えればエンターテイメントでもある。そうであれば今まで興味のなかったお客様を呼び込むためには、お金を払ってでも見たいという何かを自分たちで作りださなきゃいけないと思うのです。それが勝敗のクラブもあっていいと思うけど、全てのクラブが強くてビッグクラブになれるわけではなく、むしろ弱くて小さいクラブの方が多いかもしれない。それでも安定的に運営をしていくためには、勝敗にかかわらずお客様を喜ばせる何かがないと厳しい。手持ちの資産の中で考えるなら、選手の個性を売りにするのが一番良いし、正統な方法でもあると。


J開幕当初のようなクラブが何の努力をしなくてもメディアが取り上げてくれる時代はとうの昔に終わったので、今はクラブがお金を使ってでも地域のお客様予備軍に自軍の選手をアピールして、まずは認知してもらわないと何も始まらない。興味のない人にスタジアムに来てもらうためには、という命題はすべてのクラブが考えているのだろうけれど、何を売りとして来てもらうのかというのが今のクラブ運営からは見えてきにくい。スターシステムではなく、サッカーの本筋に関わる部分でのそれぞれの選手のアピールポイントを見つけ宣伝していく。選手を集めるときに勝ち負けだけではなく、客を呼べる選手かどうか。日本のサッカーって、その部分をどう考えているのかな。非常に気になります。

2ステージ制におけるJリーグの想いはズレてないか?

ようやく成熟してきた日本のプロサッカーリーグであるJリーグを開幕当初の2ステージ制に戻すことが検討されていると聞いて、ちょっと耳を疑ったんですよ。何だかタチの悪いデマや景気づけにあげるアドバルーンじゃないかと。でも、どうやらJリーグは結構本気で考えているようで。優勝クラブを2つ作り、それらを1年の最後に戦わせて年間の勝者を決める。確かに盛り上がるし、見た目は面白い試合が増える。でも、それってJリーグが自分達のリーグの売りを”勝負”だと思ってるってことですよね。1ステージ制だと優勝争いや残留争いに絡まない=勝負に絡まない消化試合が増えるので魅力が少ない。それを2ステージ制にすれば前期優勝、後期優勝、それにチャンピオンシップと3回の優勝争いの機会が生まれ勝負のかかった試合が増えると。だから2ステージ制だ。
でもね、ヴェルディなんていう昔は強かったけど現在は弱小クラブで2部リーグの常連さんなんていうクラブをずっと応援していると、サポや観客は勝ち負けを観にスタジアムへ集まっているのか? と思うのです。


とても荒っぽい確率論で言えば、自分達のクラブの勝ち試合を見られる観客は1/3で、引き分け試合を見る観客も1/3で負け試合を見る観客も1/3。もちろん自分達のクラブが勝った時の嬉しさは観客動員の大きな要因になるかもしれないけど、残りの2/3のクラブの試合では勝ち負けだけがリーグ戦の価値ならばお金を払って試合を見に来てストレスを抱えて帰るというあまりに理不尽な娯楽になってしまうわけです。でも、そうじゃないのではないかと。


自分達のクラブも観客動員に苦戦してるから、Jリーグの試合を純粋に商売や営業として考えた場合、お客さんである観客は何を得るために最低1,000円から高ければ5,000円以上の金額を払ってスタジアムに足を運ぶのか、ということを常々考えています。チケット代だけではなく、スタジアムまでの交通費と少なくない時間をかけて集まり試合を見る。これは試合の勝負、勝ち負けを見に来てるのか? 確かに勝ち試合は嬉しいし、劇的勝利などの試合のエクスタシーは他の娯楽では味わえないような魅力があります。ロスタイムのゴールで勝った試合なんかは、電流が背中から脳天まで突き抜けて天まで昇っていくような、有り得ない快感。でも、毎試合そんなものは体験できないし、むしろ苦行に近いような試合のほうが多いと思う。それでも少なくない観客が試合に集まる。


最近考えてることなのですが、これらの人々はストーリー=人生を観に来るのではないかと思ってます。
例えば応援するクラブのクラブ人生としては全てのクラブに誕生のエピソードがあり、J加盟の瞬間、初めてのリーグ戦、初勝利、初優勝、昇格、残留、降格、運営の危機、そしてクラブの再生など、そのサッカークラブを人間に例えたときの人生の悲喜交々。いい時ばかりではなく、むしろ辛く我慢する事の方が多い日々。
そしてもう一つが応援するクラブに所属する(過去に所属した)選手のサッカー人生。地域で巧かった選手がジュニアユースやユースに入り、そこで頭角を現しトップに昇格し、初めて試合に出場し、初ゴールをあげ、やがてはクラブの中心選手になっていく。でもいつか衰えるときが来て惜しまれつつも引退をする。また少なくない選手は移籍をしたりもするが、他のクラブでの活躍も気になるところ。何らかの事情で外に出たとしても、サッカー人生の最後を自分達のクラブで終えてくれたらこんなにうれしい事はない。また、移籍して加入してきてくれた選手だって昨日までの敵だけどマイクラブのユニフォームを着てくれた瞬間から全力で応援し、その選手のそこからのサッカー人生は自分達のクラブの歴史となる。
もちろん毎試合そんなドラマチックなことはないけれど、それでも今年のクラブの一年はどうなのか、この選手の今年のプレーはどうなのか。勝ち負けではないところに価値を見出して通ってくれている観客も多いのではないかと。


Jリーグ100年構想って嫌いだけど好きだったんですよ。最初は読売が川渕さんやリーグから目の敵にされてましたけど、クラブとしての人生やそれぞれの選手のサッカー人生を考えたときには100年かけても地域に根付くという発想は素敵だなと。親が応援していたから子供もいつの間にか応援するようになり、いつかは孫もスタジアムに通う。決して読売的なスター選手がいるから応援するとか、常に強くて試合に勝つから応援するのではなく、気がつけばクラブがそこにあるから自然に応援する。私はJリーグ100年構想をこんな風に理解してます。
翻って我がヴェルディはホームタウンの移転や運営会社の変更など、様々な地域に根付かない(根付けない)クラブ運営をこの20年間に渡り行ってきました。昨年と今年では監督が変わったことで選手まで大幅に変わり、クラブとしてのアイデンティティイを失うほどの変化をしてしまっています。選手の総入れ替えなどは、クラブ人生の自殺に匹敵するような愚かなことだと思う。これではクラブに親近感などを持てるわけがない。


Jリーグやそれぞれのクラブが今までスタジアムに来たことのないお客様を呼び込むために必要なのは、2ステージ制などの結果生まれる勝負ではなく、それぞれのクラブが地域のお客様を呼べるストーリーだと思っています。同じ学校や同じ地域出身の選手がそのクラブにいる。ユース出身の選手が半分ぐらいいる。例えば九州のクラブだったら監督も選手も九州出身じゃなければ集めないなんていうクラブがあっていいかもしれません。
地域性だけではなく、ヴェルディだったら試合に勝とうが負けようがパスをつなげる選手だけを集めるとか、伝統的に堅守速攻を売りにするクラブがあってもいい。そのクラブのストーリーやそれぞれの選手のストーリーをもっと際立たせて、日本全国にアピールするのではなく、自分達のクラブの商圏にだけアピールする。


所詮優勝争いに絡むクラブなど極一部であって、多くのクラブは絡まないしそもそもJ1にすら上がれない。それぞれのクラブがその商圏の1〜2万人に向かってストーリー(=クラブ人生)と所属選手のストーリー(=選手人生)をいかにアピールしていくか。それを100年かけて(あと80年か…)やっていく。松本のように、うまく地域を巻き込んで。
Jリーグが今考えなければいけないことは、2ステージ制に象徴される勝負に客が集まるという考え方を推し進めることではなくて、20年の歴史の中で根付くことに成功したクラブと失敗したクラブのやり方を分析して、都市圏や郊外など条件が違うことがあるけどそれでも活かせる方法はクラブの垣根を越えて共有していく、そんな戦略だと思うんだけど。それぞれのクラブに様々なストーリーがあってクラブを象徴するような選手がいて多くのサポがその選手の選手人生を見届け世代を超えて語り継いでいく。スタメンを保障するとかではなく、クラブのレジェンドを大切にするということが、そのクラブの歴史を作り伝統を生んでいくのだと思います。そしてそれがそのクラブのストーリーとなる。


5年10年ではどうにもならないことだけど、既に浦和における福田選手やブッフバルト選手・監督や名古屋におけるピクシーなど、そういう存在も生まれてますよね。そういうクラブは目先の成績では左右されないぐらい、観客の心を深く掴んでいるのだと思うし、そういう存在がいないクラブはこれから歯を食いしばって作っていかなければいけない。何もそれは選手だけじゃなくて監督だっていいわけですよ、ファーガソン監督のように、その存在がすでに伝説。
Jリーグはここで2ステージ制に戻すなどという目先の焦りを見せなくてよいと思うんだけど。もっと腰をすえてリーグやクラブの在り方を考えて欲しい。だって100年構想を捨てたわけじゃないんでしょ?

ヨルダン - 日本 WCアジア最終予選

いや、負けちゃいましたね、見事な完敗です。
負けるならこうして負けるという、王道を行くような負けっぷりでした。最初はボールを持てるけどシュートが決まらない。ボールをもてるが故にパスをまわしすぎてシュートの意識が薄くなる。シュートを打たない時間帯が続くと相手が守備になれてきて流れが相手に行ってカウンターを喰らう。セットプレーから失点。後半は意欲的に前に出るも、薄くなった守備ラインを個人技でぶち抜かれて追加点を奪われる。2失点で吹っ切れた日本が猛攻して1点を返す。さらに猛攻してPKを奪うも、相手の守護神が好セーブで流れを取り戻す。そのまま終戦
ヨルダン側の演出家がヨルダンサポーターが一番盛り上がれる筋書きを書いたんじゃないかというぐらい、ヨルダンから見れば格上の日本からの劇的勝利、日本から見れば完敗。


しかしこの負けでも日本のサッカーが弱いとかうまくいってないとかはまったく思いませんでした。負けるならこんな形だろうという想定内の負け方。技術や戦術で勝っても、気持ちで負ける。その気持ちっていうのは、ゴールをこじ開けて得点を奪うんだって気持ち。今の日本代表でその気持ちを一番強く持っている本田の欠場が痛かったし、いないことで存在感をさらに大きくしてしまった。ちなみに私はこの試合で本田の変わりに2列目の中央に入った香川選手に関してはゴールを奪う技術を一番高く持っている選手だと思ってますが香川や清武には強引さが足りなくて、ヨルダンの選手には技術がないけど必要な気持ちがあった、という試合だったと思ってます。


ただ、負けたからと言っても、特にショックは感じていない。冷静に考えればここまでアジア最終予選を6試合戦って、ホームの3試合は3戦3勝で勝ち点9を取りこぼすことなく確保し得失点差は+10。アウェイの3試合を終えて1勝1敗1引き分けで勝ち点4を稼ぎ得失点差はプラスマイナス0。合計の6試合で勝ち点13の得失点差+10はまったく問題ない成績だし、他の国の勝ち点と残り試合の組み合わせを考えれば、日本が3位以下に落ちる可能性は限りなく低い。次節のオーストラリア戦のホームの試合をきちんと戦えば、全然OKです。


ただ、そのきちんと戦う部分に本田のメンタルが欠けてもきちんと戦えるのか? という部分については弱さを露呈してしまいました。遠藤や長谷部は経験豊富だけど、そういうタイプではないし、DFラインに田中マルクス闘莉王もいない。ピッチサイドでレポーターをしていたゴン中山さんの魂だけでもピッチに入れたいぐらいです。いつまでも本田がいなかったからと言っている訳にもいかないので、その部分は早急に代わりの選手を見つけなきゃいけないと思ってます。それ以外についてはこの試合の敗戦についてはあまりないかな、こんな試合もあるよねって感じです。
あぁ、吉田選手がぶち抜かれた場面は思わず苦笑いしてしまいましたけど。体を当てさせてももらえなかったし。相手が縦へのドリブルからシュートコースを探しに横にコースを変えたときに他の選手がカバーに入ることもない。1失点目はともかく、この2失点目は防げたよな、と思ってしまいます。PKの失敗は、そんな予感がしていたので。

オマーン - 日本 WCアジア最終予選

日本も強くなりましたねぇ、本当に。中東アウェイの試合で先制をしたにも関わらず追いつかれてしまった展開で、20年前なら逆転されたかもしれないし、10年前ならなんとか引き分けで逃げ切ったかもしれないけど、今の日本代表は勝ち越しましたからねぇ。もちろん相手が中堅国というか成長国のオマーンであり、10年20年前に戦っていたのは全盛期のサウジアラビアやイラン、イラクだという違いはありますけど、それでも勝ち越せるのはメンタルや技術の成長とか進歩を感じる試合でした。


高地とか灼熱とか、サッカーの技術戦術の前に地理的気候的条件が大きく影響する試合でしたから、日本のミスが多いとか走れていない選手がいるとかセルジオさんのように重箱の隅を突いてもしょうがない試合だと思います。欧州リーグ所属の選手は試合の合い間を縫って、Jリーグ所属の選手もリーグ戦終盤の大事な試合をこなしつつの集まってすぐの試合ですから、内容よりも結果が全ての試合です。親善試合は内容を重視し公式戦は結果が全ては当たり前のことですが、今日の公式戦は試合の設定から見ても内容を云々しても一番しょうがない試合だと思います。まず、結果。


その前提条件の中でも吉田選手は辛そうでしたね。今日のセンターバックの2人のうち今野選手は攻守に効いてて何をやってもうまくいきそうな雰囲気を持ってる試合でしたが、吉田選手は何をやってもうまくいかないような持ってない試合でした。ただ上にも書いたけど、この試合はそれを論じてもしょうがない。そのような選手を抱えてる中で、ベンチにいる選手の顔ぶれと見比べながらやりくりするしかない試合でした。


そして1枚目の交代のまだやれそうな前田選手アウトの酒井高徳選手インという交代も、あまり走れなくなっていた本田選手をどうするか考えた結果の、守備の負担を軽くするために1トップへあげたのではないかと思いながら見てました。前田選手は有効なカードだけど、本田選手のパスとキープと左足も捨てがたい。状況としては日本がリードしているのだから、フレッシュな酒井高徳選手をDFラインに入れてスタミナのある長友選手で中盤を固めて、あわよくば本田選手の左足で追加点。まあリードしてるから得点はできなくてもしょうがない、ぐらいの交代だったのではないかと思います。ただ、オマーンに同点弾を決められてしまったので交代の意図は半分外れたのですが、酒井高徳選手の突破から勝ち越し点が生まれましたから結果オーライでしたけど。


それにしても日本のサイドバックの選手層だけど、内田、駒野選手が怪我で使えないのに試合中に長友選手を一列上げられる交代ができる選手層を作ってきたのが日本の強さですね。ザックさんが鉄板のスタメンと言われながらも、実は地味に選手層を広げてたのもあるし、その選択肢を生み出す日本サッカーの底力って感じです。選手交代は1枚だけど複数のポジションを動かすことで試合の流れを変えることを狙う交代は時々見ますが、長友選手のように複数ポジションをそれなりの力でこなせる選手がいてこその采配ですしね。


同点にされたあと勝ち越しを狙うのか引き分けオッケーなのかザックさんの交代を興味深く見ていたのですが、細貝選手のチョイスも中盤の底に動ける選手を投入して守りを固めつつ、遠藤選手を一列上げてワンタッチでのビッグチャンスを狙いたいという欲張りな交代でした。結果的には途中交代の酒井高徳選手のクロスに対しニアに飛び込んだのは遠藤選手でしたし、ザックさまさまという感じです。先の読める恐ろしい監督なのかツキを持っている監督なのかは分かりませんが、今の日本代表にはよくマッチしている監督であることは確かなようです。


結果が全ての公式戦で、さらにあの気候では引き分けもやむなしの試合の中で、岡崎選手の勝ち越しゴールには喜びやガッツポーズよりも何だかうまくいき過ぎて笑っちゃう感じでした。日本が勝ち越した瞬間に静まり返ったスタジアムの雰囲気も笑っちゃいましたけど。テレビでも何度か映ってましたけどカエルの一平くんがいたのにも笑ったな。